3 他愛のない日
私の名前は八重 佐奈栄。
まず朝起きて初めにやる事は化粧。
雑誌やインターネットで得た知識を使い
学校に行く時でも、私は堂々と化粧をしている。
(私は、先生にも気付かれないくらいメイクが上手なのだ。)
メイクを終え、次に髪を結う。
毛先が痛んでボロボロになっている髪を
何時ものポニーテールにする。
(寒くても、今日も項見せちゃうんだから♪)
変身が終わったら、この静まり返った家の中で
ご飯を食べながらメールをする。
(もちろん、愛しの大輝に♥)
朝の挨拶と、天気の情報を打ち込み、送信する。
すると、パンを食べ終わって、牛乳を飲もうとした時
メールが届いた。
飲むのを中断し、急いでスマホをタッチする。
そして、メールの内容に不満を抱き
牛乳を一気飲みし、コップを机に叩きつけるように置いた。
「なによ!1分たって返信は『おはよう』だけ!?
『今日も可愛いね』くらい書いときなさいよ大輝の馬鹿!!」
まだ会っていないのに書ける内容ではないが
頭に血が上った私はそれどころじゃない。
とりあえず不満をメールにして送信した。
私は怒りながら、スマホで今日の運勢を見る。
『天秤座の貴方は残念12位だにょ~。
今日は素直に行動しないと後悔するかも。
好きな人に当たらない事。ちゃんと日頃の感謝を伝えましょう。
ラッキーアイテムはカエルの目玉
アクセサリーにして、相手にも見えるようにつけましょう。
相手の視線を独り占めできるかも!?』
「何よこれ!?今の時期カエルなんて見つかる訳無いじゃない!!」
私が、占いに大声で突っ込んでいると
「突っ込む所はそこか…確かに視線独り占め出来そうだな…
気色悪いし…。おはよう姉ちゃん」
何時の間にか居たのか、弟の政哉が私のスマホを覗いて
突っ込んだ。
私は驚きながら、恥ずかしくてスマホをしまう。
「お…おはよう政哉。珍しいね早いじゃん!」
「うんっ。目が覚めちゃってさ…。」
「あぁ…今日も夢見ちゃったんだ。」
「うん。夢見ない様に快眠グッズも快眠運動も色々してんだけどな…。」
そんな他愛のない会話をしながら、学校に行く準備をする。
正直言って、学校なんか退屈で行きたくないが
愛しの大輝が、休み時間かまってくれるので行く。
今日も見た目も完璧だし、家を出た。
珍しい事に今日は弟とも一緒に登校する事になった。
大輝を独り占め出来ないのが不満だけど…我慢しよう。
どんよりとした曇り空の下
政哉と私は、待ち合わせ場所に向かう。
途中、湿った地面を見て
(カエルどっかに居ないかな~)
カエルを探した。
しかし、この時期はやっぱり、カエルは見つかりそうに無かった。




