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2 予知夢と書いて、悪夢と読んだ

(まさや)は違和感を覚え、空を見上げて絶句した。

そして気付いた。

朝だから明るいわけじゃない。何かが空で燃えているから明るいんだと


(なんっだ…これ!)


はるか遠く。地平線の先に静かに落ちてくる大きな赤い光。

普通見たら大騒ぎになるこの惨状(さんじょう)

なのに何の音もしない。

虫の声も、風の音、そして人の声も。

一言でこの現状を表すならば、不気味だ。


皆、今の俺のように、驚きのあまり喋れなくなっているのだろうか?

…いや、そうじゃない。

恐らく今は末明(みめい)…又は早朝(そうちょう)頃なのだろう。

つまり、皆が寝静まっている時間。


小さな爆発音1つ鳴り響いて、光に包まれた。

勢いよく、辺り一面のガラスが割れる。

最後、火に囲まれて…そして…。



(うわあぁぁ)ーーーーーーーーーーー

ーーーーーー「ぁぁぁ!!」



カーテンの隙間から、朝日が俺の目に差し込んだ。

朝日がさっきの夢を思い出させて身震いする。


「はあっ…はあっ…!寒っ!!」


俺は、生まれつき黒い右目に

違和感を覚え冷たい手でおおうう。

寝ている間にけていた毛布を

急いでつかつつまる。


霜降そうこうの時期。汗で濡れた体が更に冷える。


「…どうしよう…どうしよう…どうしよう…。」


小さい頃から予知夢を見た。

俺が見た夢は、その日のうちに何時(いつ)も現実となる。

今になっては、よくある事として俺は見て見ぬふりをしていた。


小さい頃は、面白くて周りの人に良く話していた。

皆も面白半分で聞いてくれた。

しかし大人になっていくにつれ、普通じゃないと気付いた周りの人は

俺を気味悪がって避けるようになった。


…まぁ、当たり前だよな。

言った事がその通りになるなんて、自分でも気味が悪いし。


占い師に聞いて当たるとかならまだしも

身近に、こんな得体の知れない奴がいるなんて、俺でも関わりたくない。


もしかしたら、自分自身の死ぬ(よち)を見られるかも知らないし

実はソイツが原因で事件が起こってんじゃないかって思うしな。


だから、俺の親は周りの親に避けられたし、姉も友達が少ない。

最悪な事に、父さんの仕事先にも影響が出て、家族四人引っ越す破目はめに…。

だから見て見ぬふりをする…いや、していたんだ。


「そうだ…大輝(だいき)…大輝に聞いてみよう…。」


ベットの下に落ちていたスマホを手に取り、(かじか)む手を動かす。

やっとの思いで親友の大輝に、今日見た夢についてメールを送った。

この力について、彼と姉の佐奈栄(さなえ)だけが唯一の理解者だ。


メールを送って数秒後、大輝からメールが来た。

返信を見て、思わず笑ってしまった。


『とりあえず、もう起きたなら一緒に学校行こうか。

まってるから。』


俺の力を気味悪がらないのは姉か大輝だけ。

俺は急いで、パジャマを脱ぎ捨て制服に着替え、家を飛び出した。



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