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あなたは空からふってきた  作者: 豆真木あずき
8/8

最終話「職人の前で」

「殺してくれって、貴方『不死』なんでしょ?」

「ああ、自分で殺る分にはな」

「だが無意識の間に致命傷を負えばわからない。さっき買ってきた睡眠薬で寝てる間に『お前』が俺に致命傷を与えれば……」

「そんなこと、できるわけないじゃない!」


依頼人の言葉はしかし静寂を生むだけであった。その言葉に今度は職人の口元がつり上がる。


「なんだ?人を殺す覚悟もないのに『心臓を下さい』なんてほざいてたのか?」

「だって、貴方がやるものとばかり」

「もう俺は研究所のモルモットじゃないんだ。そんドMなことしねえよ」

「でも村の人たちにはしてるじゃない!」

「あいつらには俺を匿ってくれた恩義があるからな。腕の一本や二本大したことない。だがお前にそんなものはない」

「自分でやれっていうの?」

「隣の部屋に生理食塩水と臓器保護ケースがある。俺を殺した後、心臓を摘出して移せば四五日はもつだろうよ」

「……」

「さあ、どうする?」


▼▼▼


長い長い夜が明け、依頼人は職人の家を後にする。

手元にあるのは生理食塩水漬けにされた職人の最期の『作品』


「……」


それを大事そうに抱えて依頼人は歩く。だが、その顔に生気はない。彼女はただ、遠い祖国で待っている彼女の母親の元へと帰るだけーーー。


「ありがとな」


そんな言葉がどこからか聞こえた気がした。


           完

これにて物語は完結です。最後までお読み頂き誠にありがとうございました。作者の次回作にご期待下さい。ではまたどこかで。

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