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第1話「道端で」
あなたは空からふってきた。
そして
目を丸くしているわたしの横で
力なくつぶやいた。
「また失敗した」
「あなた、もしかして職人さん?」
「そうだが、お嬢ちゃんはだれだい?」
「わたしは依頼人。あなたを探してたの」
雪が降りしきる中、依頼人の氷よりも澄んだ目が職人の目に突き刺さる。
「そして見つけた」
この時職人がわかったのは
その辺で雪合戦をしている子どもたちと比べても
目の前の少女は一際小さいだろうということと、
茶色の巻き毛が綺麗だということだけだった。
「依頼人?こんな依頼人がいるもんか。俺の膝よりも小さいじゃないか」
「依頼人に対して失礼よ。お金だってちゃんと持ってきたんだから」
「生憎金には困ってないし依頼を受ける気もない。それに今日は足元の雪が深い。帰りは気をつけるんだぞ」
職人は尻が地面に着くスレスレまで膝を折った。
そうしないと依頼人が被っている帽子に積もった雪を払ってあげられなかったからだ。
だが職人が歩き出すと依頼人はそんな気遣いなどお構い無しに質問をぶつける。
「待ってよ!どこに行くの?」
「ああ、そこの肉屋だ」