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孰々草  作者: 喜悦楽壊
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イケメン

質が落ちてきている、というのが我が家の総意である。

イケメンとは『イケ』てる『メン』ズの略らしいが何処か扱いが軽いように思えてならない。

流行る前は本当に格好いい男が呼ばれていた。しかし、言葉の広がりとともに基準が格段に落ちていった。今では極普通の男ですらイケメンと呼ばれる有り様、何よりそれにノる男の情けなさといったら筆舌に尽くし難い。


『イケメン』が生まれる前の言葉が何とも言えず私は好きである。

『色男』字面だけでも艶っぽく感じるのは最早私だけだろうか。色気のある男は街中では見る影もなくなった。歩いていると、男ですらふっと目を向けてしまう。そんな男が昔はいたのだろう。早く生まれたかったものである。

『男前』これは説明するまでもない。

男の中の男、はて?自分で書いておきながらよく分からない。

自分としては一本筋の通った粋であり、微かな野暮ったさのある男、といったところだろうか。粋も過ぎれば野暮になるがそこを小粋で抑える、微かに混ざった野暮が堪らない。

書いていて分かった、自分の中の『男前』とはつまるところ、江戸っ子なのだ。真っ直ぐに、だがただ真っ直ぐなだけでなく遊びがある。そんな男のことなのだ。

勿論、「それは違う」と思った方もおられるだろう。だが私にとっての『男前』だから間違いではない、あなたにとっての『男前』も間違いではない。


日本語には『別称』と呼ばれる言葉がある。

例えば神無月は十月の別称である。

美男の別称は一つしかない、『桂男』

これはどうやら妖怪らしい。月に住む絶世の美男子で満月以外の時に長く眺めていると魂をとるとされている。

中国に於いては仙術を学んだ罪で月の桂を伐っているらしい。


メディアが音頭を取り、囃し立てた挙げ句、基準が大いに下がり『似非』イケメンがはこびるようになってしまった。

大き過ぎる流れは最早変えられず、ただ自然に涸れるのを待つのみである。

イケメンではなく、男前が、色男が、本当にいい男が見られる日は何時になるだろうか。

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