枷
人は一人では生きられない。
一人で生きてはいけない。
一人で生きる人間は枷がない。
枷のない人間は獣だ。
ヒト科のホモサピエンスという獣だ。
自分という世界しか知らない愚かで狂った獣。
背中が軽すぎてはダメなのだ。
だから人は自らに枷を嵌める。
貴方の大事な人は貴方の足枷。
そして貴方は大事な人の足枷。
お互いに縛りあい、お互いを抑えあう。
共に生きていこう。
共に死んでいこう。
だが、枷は軽く少ない方がいい。
重く、多いほど人は壊れて行く。
重みに耐えられずに。
人は一人では生きていけない。
でも一人分の重さしか耐えられない。
重くなればなるほどに人は潰れて壊れてしまう。
枷は貴方に嵌っている。
貴方は枷で嵌っている。
枷は一人では嵌められない。
枷は一人では嵌らない。
二人で一人だから重みは二人分まで耐えられる。
お互いが枷で捕まえて離さない。
共に依り添いあって生きて行く。
人は依存する生き物なの。
お互いに依存しあう愚かで愛しい生き物なの。
狂愛して潰して殺し抜く生き物なの。
それに気付かない愚かな生き物なの。
貴方は誰の枷になる?
それとも枷なく生きる?
人は枷があっても無くても狂う生き物なの。
同じ狂うならどっちがいい?
縛り縛られ動けぬ狂愛者か。
自分の世界しか見えぬ狂愚者か。
それとも貴方は絶妙なバランスを持っている?
軽過ぎず、重すぎず、そんな道を歩むのかな?
そんな貴方もいつか狂う。
バランスに気を使い過ぎて狂ってしまう。
人は、枷無くしては生きられない。
でも枷があっては狂ってしまう。
ならどうしたらいいの?
枷のない世界に行きましょう。
死ねば悩むことも無くなるから。
ね?