大嫌いな弟
俺は弟が嫌いだ。
最近俺の弟が生まれた。
ママもパパも大喜びで毎日可愛がっている。
そんなあいつが気に食わない。
前までは俺にみんなべったりで、いつでも頭を撫でてくれて遊んでくれてたのに。
あいつが来たせいで前のようにママとパパは俺に構ってくれなくなった。
俺はパパとママがいなくなった、静かな部屋のベビーベットを横の隙間から覗いた。
生まれてから半年ほどたった弟は思ったより全然小さい。
踏んでなんかしまえば普通に潰れてしまいそうなほど、
俺は少しの間その顔を見ていた。
小さくて守りたくなるような寝顔。
かわいい。
いや違う、俺は今からこいつを倒すんだ。
そしてパパとママを取り返すんだ。
まずはこいつをここから出さなくちゃ。
でもどうやって、
「う、うわーー!!!!」
考えを巡らせていると、弟は泣き出してしまった。
おい!泣くな!泣きやめ!
何を言っても無視して家中に響き渡る甲高い声で泣いている。
廊下からドタドタと足音が聞こえてくる。
どうしよう、パパかママが来る。
俺は急いで横にあったソファの上で丸くなった。
部屋のドアが開いた。
ママがベビーベットまで駆け足で寄ってきて弟を抱き上げる。
「はいはい、大丈夫ですよ〜」
あやしている。
俺は息を殺した。
ママがこちらに目をやる。
「ちょっと、そうたー?ちゃんと見ててって言ったじゃん!」
いや違う俺は本当に何もしてない!
俺は叫んだがその声を聞いた弟の鳴き声がまた大きくなる。
「そうた、泣き止まないからちょっと静かにして」
また怒られた。
もう何を言ってもダメだな。
俺は悲しくなって、ソファの上で丸くなって寝た。
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時は過ぎて弟が小学生デビューを果たした。
最近の弟は俺のことが好きすぎるみたいだ。
家に帰ってくるや否やずっと俺にべったりだ。
外にだって遊びに連れまわされる。
やれやれと思いながらも少し嬉しい。
今日もまた学校終わりに俺と一緒に公園に遊びにきていた。
「追いかけっこしよ!」
「そうたが鬼ね!」
そういうと弟はかけだした。
全くあいつは何がしたいんだか、
無邪気な笑顔で駆け出していく弟を見て昔のことを思い返す。
ベビーベットで泣き喚く弟はもういないのだなと、
俺は少し寂しい気持ちを持ちながら弟を追いかけようとした。
「いたっ、」
ん?
弟の声が聞こえた。
「お前どこ見て歩いてんだ?」
誰だあいつ。
弟の目の前に弟よりも一回り大きい男が立っていた。
「おいごらお前、慰謝料だせよ。」
「ご、ごめんなさい、あ、あの、お、お金持ってなくて、」
「ゴニョゴニョ、ゴニョゴニョ、はっきり喋れやゴラ!」
おい!やめろ!俺の弟に手を出すな!!
気がつけば俺は男と弟の間に立っていた。
「何だてめー?」
黙れ!俺の弟に手を出したタダじゃおかねぇぞ!
ごっ、、
俺がそう叫ぶと男が俺に蹴りを入れた。
「そうた!」
弟の声が聞こえたがそれどころではなかった。
目の前が真っ白になった。
痛みをそれほど感じないほど怒っていた。
俺は男に蹴られて飛ばされた後、ギアを上げて男に飛びつき噛み付いた。
「おいはなせ!」
黙れ!お前からやったんだろうが!
男は俺を振り払おうとしたが俺は離さない。
「いてぇ、わかったから」
何もわかっちゃいねぇよ!噛みちぎってやるよ!
「わかった、頼むから離してくれ!」
男が泣き出した。
俺は男が泣き出したのと同時に噛み付いていた所から離れた。
「クソいてぇ」
男は泣きながらこの場を走って立ち去る。
良かった、助かった。
俺は今更のように蹴られたところの痛みを感じながらその場に座った。
そういえば弟は、
そう思うと同時に弟が俺を抱きしめた。
「怖かったよ〜」
泣いている。
お前に怪我がなくて良かったよ。
「そうた、ありがとう〜」
俺は怪我がない弟を見て安心した。
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、、、っ
玄関が開いた音が聞こえた。
弟が帰ってきた。
あの日からまた6年の月日が流れた。
弟はすっかり大きくなり来年から中学生だそうだ。
「そうた!」
今にも泣きそうな顔で部屋で横になっていた俺の元に弟が寄ってきた。
今日は何だかいい日だな。
朝からママもパパもずっと横にいて頭を撫でてくれる。
今日はお仕事が休みなのかな?
弟が俺を抱きしめた。
びっくりしたな何だよ
「やだよ、やだよ」
何だよ嫌なことでもあったか?
「死なないでよ。」
んーそれは無理な話かもな寿命だし。
「また一緒に遊ぼうよ」
それはいいぞ、たくさん遊ぼう。
「小さい時僕を守ってくれてありがと」
いいよお前が笑ってくれるなら、俺は何でもするよ。
「大好きだよそうた」
目の前が暗くなっていく。
あぁ幸せだなみんなに囲まれて。
泣きじゃくって涙でびしょびしょの弟の顔は笑顔だった。
「わん」
最後の力を振り絞って出した声はかすれたがきっと伝わっているはずだ。
俺も大好きだよ




