表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/21

第2話 遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)



 ――【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】。


 それは数年前から政府主導で実施されるようになり、今年から学校でも行われるようになった、少子化対策の一環。


 簡単に言えば、男女間の遺伝的相性(・・・・・)の良し悪しを調べる身体検査だ。


 ――この世界は、男の数があまりにも少ない。


 それ即ち夫婦となる男女が少なく、生まれてくる子供も少ない……ということを意味する。


 なので年々出生率は減り続けており、日々ニュースにも取り沙汰されている。


 医療の進歩で女性同士でも子供は作れるようになったし、女性同士の同性婚も珍しくはなくなったけど、やはり国としては男女夫婦が増えてほしいのだろう。


 ウチの国は健康的な男女の夫婦が多いですよ、というのは他所の国へのアピールにもなるから。


 なので国としては積極的に男女に結婚してほしいのだろうが……ぶっちゃけた話、結婚願望のある男の数は減ってきているというのが実情。


 なんでも「女子たちから恋仲になるよう迫られすぎてトラウマになった」という男が多くなってきているとか、なんとか……。


 まあ倍率百倍の世界だからな。

 必死になる女子がいるのも……わからなくはない、うん。


 幸い、俺の周囲にはそこまで露骨に迫ってくる女子は、今のところいないけど。


 そういうアレやコレやといった理由で出生率が低下していく中で、政策として始まったのが――【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】。


 よく聞く話だが、


『男女間の遺伝情報が遠いほど遺伝的相性がいい』

『遺伝的相性がいいほど健康的な子供が生まれやすい』

『いい香りがする人とは遺伝子から相性がいい』


 ……なんてのがある。


 要するに遺伝的相性がいいと健康的な子供が生まれやすいから、国家が相性のいい異性を探すのをサポートしますよ――というキャンペーンが【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】なのだ。


 ……なんだか自分で言っていてディストピアめいているというか、ちょっと倫理に問題があるような気もするが、それだけ今の少子化は問題ってことなんだろう……。


 いやまあ、なんもかんも男が少なすぎるのがいけないんだけども。


 ……俺としては正直、あまり印象のいいキャンペーンじゃないんだよなぁ。


 国に結婚相手を見繕われるみたいで、なんか抵抗感あるし……。


 でもこの【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】、世間的には案外とウケがいいらしい。


 政府が販売している検査キットを使ったり地方自治体の役所なんかで気軽に行えるのもあって、マッチングアプリ感覚で使う若者が多いのだとか。


 数が少ない男の側からしても、交際相手の選択を絞れるから助かるって意見が多いとも聞く。


 実際、【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】の診断結果で結婚を決めたってカップルも増えてきている。


 それから、どうも「【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】で良判定が出た相手とは性格的な相性もいいし、身体の相性もいい」らしくて……。


 ……ちなみにここで言う身体の相性ってのは、S〇Xの相性って意味な。


 結局、なんだかんだ【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】で付き合ったカップルは満足度が高いらしいのだ。


 俺は正直、本当かよそれって思ってるけどさ。


 ま、国はあくまで【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】で相性のいい相手を探しますよってだけで、実際に交際するかどうかは個人の判断に委ねてはいるから。


 なので文句を言う筋合いはないのだが。


「ハ、ハジメはさ、【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】って、もう試したことあるの……?」


「いや、まだない」


「!」


 俺の隣を歩くなのかは、一瞬嬉しそうな顔をする。


 でも何故か、彼女の表情はすぐに不安そうなモノへと変わった。


「わ、私もまだやったことなくて……」


「じゃあ、俺と一緒だな」


「……私と相性のいい人なんて、本当にいるのかな?」


「きっといるよ」


「む~……適当言ってる」


「アハハ、バレたか」


 はぐらかすように笑う俺。


 ――適当なもんか。


 なのかは非の打ち所がないほどの健康優良女子だ。


 そんな彼女が、遺伝的相性がいい異性が見つからないワケがない。


 ……。

 …………。

 …………願わくば、その遺伝的相性がいい相手が()だったらいいのに、なんてな。




 ――この後、学校に到着した俺たちは朝のホームルームが終わり次第【遺伝子相性診断(ゲノムマッチング)】の検査を行った。


 やること自体はシンプルで、綿棒で唾液を採取したら保管筒に入れて終わり。


 その後は検査機関に送られ、結果が送られてくるのを待つだけ。


 データベースに保管された情報の中から遺伝的相性がいい異性が見つかれば、先生がこっそり教えてくれるという。


 そうして、一週間後――。


 俺は衝撃の事実を知らされることとなる。


もし少しでも「面白い」と思って頂けましたら、何卒ブックマークと★★★★★評価をよろしくお願い致します!<(_ _)>

評価を頂けると、本当に嬉しいです……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ