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Das Heldenlied Neu ヘルデンリート・ノイ  作者: Siberius
Neu Artemidora
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ファーブニルの襲来

セリオンはホテルに宿泊した。

次の日は空気が澄んでいた。

セリオンは空を眺めた。

そこに遠くから何かが近づいてくる。

「? 何だ、あれは?」

セリオンは視力を強化してそれを眺めていた。

それはドラゴンだった。

「あれは……青いドラゴン! まさか、ファーブニルか!」

ファーブニルはリヒテンシュタイン州を襲撃した。

ファドゥーツの州軍がただちに出撃した。

ファーブニルは軍の基地に降り立った。

ファーブニルは炎のブレスで州兵を焼き尽くした。

州兵たちは勇敢に立ち向かった。

州兵たちは剣や槍、弓で攻撃したが、ダメージを与えられない。

ファーブニルは口に魔力を集めた。

ファーブニルの口から赤紫の熱線が放たれた。

ファーブニルは軍の基地を薙ぎ払うよう熱線をはき、基地を破壊した。

それは見るも無残な光景だった。

多くの兵士が犠牲になった。

ファーブニルは接近してくる者たちを足で踏みつけ、爪で薙ぎ払い、炎のブレスで焼き尽くした。

兵士たちの死体が次々と築かれていく。

これが「暴竜ファーブニル」だった。

ファーブニルは破壊と殺戮に飽きたのか、翼をはばたかせて上昇すると、どこかに消えていった。

セリオンはバイク「メルツェーデス(Mercedes)」で現場までやって来た。

「ファーブニルは、もう去っていったか……今は一人でも多くの人を助けないと!」

セリオンは負傷者や瓦礫に埋まっていた人々を救助した。

それだけではない。

肉体の治療も大事だが、精神のケアも大切だった。

州軍は基地をファーブニルに破壊され、多くの兵士たちを殺害された。

破壊と殺戮――それがファーブニルなのである。

ゆえにわざわざ、軍の基地を狙って攻撃を仕掛けてきたのだ。

ファーブニルがいかに狂暴であるかがわかる。

それにあの強さはセリオンが今まで戦ったことのあるどのドラゴンより上だった。

それでもセリオンは「勝てない」とは思わなかった。


「ねえ、いいだろう? 俺たちとお茶しない?」

「……結構です」

女性は広場で男たちからナンパされていた。

男たちは女性が拒絶しているにもかかわらず、しつこくナンパしてきた。

女性はとうとう怒り心頭に来たらしく、一人の男の陰に隠れた。

「あら、今来たの? 私は待ってなかったわ。それじゃあ、これからデートに行きましょう!」

「!? おい、どういうことだ?」

男性――セリオンはとっさのできごとに認識が追い付かなかった。

(しっ! 今は私とデートするってことにしておいて)

(やれやれ)

「俺の女に何か用か?」

「何だ、じゃねえ!」

「俺たちを侮辱するつもりか!」

「痛い目を見たいらしいなあ!」

セリオンは大剣で三人をあっさりと片づけた。

三人とも気絶する。

「あらー! こんなに強かったのお兄さん! お礼にいっしょにお茶してあげる! いいでしょー?」

「おいおい、俺はおまえを助けるとは言ったが、お茶をするとは……」

「いーの、いーの! 硬いこと言わないでお茶にしましょう!」

セリオンは女性に強引にカフェ・フォーゲル(Vogel)にまで連れて行かれた。

女性は長く黒い髪に、赤紫の瞳をしていた。

二人はテラス席に座った。

「これは私からのおごりよ。好きなのをたのんでいいわ」

「ではコーヒーをいただこう」

「私はショートケーキにしようかしら」

「ところで、君の名前を聞いていなかったな?」

「そうね。私はカミラ(Kamilla)。ツヴェーデンの錬金術師よ」

「錬金術師か……どうなんだ? ビジネス的には?」

「そうねえ……自分のやりたい仕事を優先的にやると、収入は減るし、自分がやりたくない仕事でも高収入ということはあるわね。結局はバランスの問題よ」

カミラがコーヒーに口をつける。

この店のコーヒーは匂い、香り共に一級品だった。

「ところで、あなたは何者なのかしら?」

「俺はテンペルの聖騎士だ。名はセリオン。テンペルからの任務で暴竜ファーブニルを追っている」

「ファーブニル!? それって昨日、州軍の基地を襲った奴?」

「そうだ。あいつは弱者には興味がない。ゆえに強そうな者がいそうな軍の基地を襲ったんだ」

「そう……大変ね、あなたも。テンペルの聖堂騎士って何が仕事なの?」

「それは非常時の軍事力、平時はモンスターの討伐か、邪悪な者たちとの戦いだな」

「へえ、そうなの」


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