結局のところ、なるようにしかならないのは理解してるつもりなんだけどね
2012年7月21日(日)
まもなく開始されるサバイバル配信とは、Re:live1期生梵天寺杏子さんの名を世に知らしめた、彼女の代名詞的な配信であった。
アメリカ合衆国から購入した実在の無人島を舞台に、立体映像投影機による現実拡張を駆使して杏子さんの漂着から脱出までを描いたその配信は、教育的な観点からも国内外から高い評価を受け、世界中の子供たちに「生きるとは何か」を痛切に訴えたという。
本日午後2時より開校するサバイバルスクールは、その人気に応えるかたちで企画された続編となる配信だ。
わたしも参加する予定だったが、警備の面で問題があると全方位からダメ出しをされたため、今回はアーニャ御殿内事務所の2階にあるスタジオから映像のみの参加となる。
夏休みなんだし、南の島から2泊3日の優雅なバカンスを決め込みたかったけど、こればかりは仕方ない。
まだ気になることもあるけど、機材操作は応援に駆けつけた北上さんやサーニャたちに一任して、いまはこっちに集中しないと……。
「はい、こんにちは。Re:live1期生の梵天寺杏子です。今日からあたしの無人島にウチの子たちを招いて、仲良く生存競争をやっていくんでよろしくお願いしますね」
時間になり、スタジオ内部に展開された立体映像に現地の光景が反映される。以前の配信で建てられたログハウスと緑豊かな砂浜を背景に、講師役の杏子さんがぺこりと挨拶したのを皮切りに、助手役と生徒役の子たちも先を争うようにカメラの前に躍り出た。
「久しいな。吾輩は誰が呼んだかRe:liveのクソガキこと、銀河帝国の皇女にしてアーニャさんの後輩である2期生のラプンツェル様だ。今日は杏子さんのお手伝いをする予定なのでよろしくお願いします」
「はいはい、Re:liveのエロガキこと1期生のグラシャラボラスだよ。今日は海の魔王の二つ名が伊達じゃないことを証明するからよろしくね」
「Re:liveのマセガキこと2期生の紺野茉莉でぇーす。今日は濃厚なナ虐回ということで遠路はるばる参加しました。よろしくねぇー」
「えっ? 待って、菜月そんな話聞いてないんだけど……?」
麦わら帽子と潮干狩りグッズを装備したラプちゃんに、ダイビングスーツの上を肌蹴たグラちゃんに、スク水姿の茉莉ちゃんという危機感の欠片もない三人組と比較して、一人だけよれよれのセーラー服という心許ない装備で登場したなっちゃんは驚いたように目を白黒させた。
「ねぇ、杏子さんも笑ってないで何か言ってよ! 菜月ってばキッズどもの面倒を見るために呼ばれたんじゃないの!?」
「ちがうよー。この子たちはあたしの助手。なっちゃんは生徒役だよ。着の身着のまま無人島に漂着したって設定だからよろしくね」
「しかもそんな設定かよ! 菜月なんの道具もなくて生きてける気がしないんだけど!?」
「ナマ言ってんなぁー! 自分の命が懸ってるんだからもっと必死になれぇー!!」
「あ、一応ナイフは所持してるって設定だから、これで頑張ってください菜月さん」
「ダメだよラプちゃん。ナツキはもう少し地獄に落として楽しまないと」
なんて開幕直後の漫才に笑いを堪えながら、わたしも配信に参加する。
「はい、そんなわけで司会のアーニャです。今回のシリーズでは、無人島に漂着したなっちゃんの行動を杏子さんが採点して、なっちゃんが生き残れるかを決めていきますのでよろしくお願いします」
「あっ、アーニャちゃんだ。わぁーい」
わたしの3Dモデルが向こうにも表示されると、目敏く気づいた茉莉ちゃんが抱きついてきたけど、残念……いまのわたしはただの立体映像だからすり抜けちゃったね。
「わたしは日本のスタジオから衛星回線でこっちに混ざってるだけだから、残念だけどハグはできないんだよ。そういうのは日本に帰国してからしようね」
「ちぇっ、チャンス到来と思ったのに……帰ったらアーニャちゃんちに顔を出すから、そのときは茉莉にサービスしてよね」
可愛らしく唇を尖らせた茉莉ちゃんに「はいはい」と応じると、今度は血相を変えたラプちゃんがその前に立ちはだかり、両手を広げてバリアーを張ってきた。
「いや、貴様はダメだろ……貴様のようなマセガキがアーニャさんに近づくのはこの吾輩が許さん」
「出たね、ラプちのファン行動が。……でも残念。もう手遅れなんだよ。なんたってアーニャの家にはわたしがいるんだからね」
「な、なにっ!? まさかグラさん……?」
「そうだよぉ〜? ラプちの憧れのアーニャは、もうわたしとお風呂に入ったこともあるし、手を繋いで寝たこともあるんだよぉ〜?」
「ぐわぁああっ!? 吾輩の脳が! 脳が焼ける……!!」
だが、そんなラプちゃんのバリアーはいとも容易く破壊され、小さな肢体が砂浜の上に崩れ落ちる。
「残念、手遅れだったなラプち。茉莉もファーストライブの帰りの艦で、アーニャちゃんとお風呂に入ったもんね」
「人はこうやって大人になるんだって、コーデリアの友人も言ってた」
「ぐぅうう……。だが負けん。吾輩は負けるわけにはいかないのだ……」
そして息のあった追撃がラプちゃんを散々に打ちのめしたが、それでもこの子は挫けなかった。
「答えは得た。アーニャさんは吾輩が守護らねばならんのだ」
健気に立ち上がったラプちゃんはそう言って、ノーと言えないわたしをその身を呈してでも守護ろうとする。それもRe:liveセンシティブ三巨頭の二人を同時に相手取って……。
本当にいい子だなぁ……誰だよ、こんないい子をクソガキ呼ばわりしたのは。わたしの弟のほうがよっぽどじゃんって思ったけど、ラプちゃんもわたしが絡まない配信だと社畜ネキさんたちをおちょくって遊んでるから、あまり盲信するのも危険かな?
「いや、そんな話はいいんよ」
なんて感慨に耽っていると、横から大きなお尻で押し退けられたラプちゃんが砂浜にダイブし、大人気なくも割り込んできたなっちゃんが憤慨も露わに直訴してきた。
「菜月さん、ひどぉい……」
「それよりアーニャさん聞いてくださいよ。菜月はてっきりコイツらの面倒を見るために呼ばれたと思ったのに、けっきょく今回もナ虐要員として呼ばれたっていうんですよ。あんまりだと思いません?」
顔面が砂まみれになったラプちゃんは涙目で抗議するも、なっちゃんは聞く耳を持たず。けっきょく言いたいことを言ってのけたなっちゃんの大きなお尻を見上げたラプちゃんは、それまで反目していたグラちゃんたちに救助され、ハンカチで顔を綺麗にしてもらって事なきを得た。うんうん、こういうのが自然にできるのはいいよね。
「菜月さんひどいよ。吾輩いまからカッコいい決めゼリフを口にするとこだったのに」
「そっちの不満は後で聞くから、いまは菜月に譲ってくれ」
Re:liveお尻相撲ランキング第二位の実力で強引に場を奪ったなっちゃんに、プクーッと頬っぺたを膨らませたラプちゃんは重ねて抗議するも、やはりその声は届かず。
微塵も動じずに我を通したなっちゃんになんて答えるべきか……さすがに担当マネージャーの日向さんから何も聞かされてないはずはないんだけどな。
「まぁナ虐になるかどうかはなっちゃん次第だけど、子供にサバイバルをさせるのは児童虐待だって意見もあってね。……本当はわたしが生徒役で参加するつもりだったのに、事務所や無人島周辺に配備されたアメリカ海軍に反対されちゃってさ。迷惑だと思うけど、わたしを助けると思って協力してもらえないかな?」
さては何も聞いてなかったなと当たりをつけたわたしは、それでもRe:liveの運営側として頼み込んだ。
なっちゃんが何も知らなかったのは確認を怠った本人にも責任があるけど、濃厚なナ虐を期待した周囲の人間が口止めした可能性もある。
その証拠に杏子さんは平然としていたけども、悪戯が得意なキッズたちはラプちゃん以外さりげなく目を逸らしたからね。運営サイドの人間としては不手際を詫びるしかないのだ。
「……わかりました。そういうことならこの不肖芹沢菜月、アーニャさんのために喜んで犠牲になりますよ」
するとコーデリアさんの次くらいには義理と人情の世界に生きるなっちゃんは、実に天晴れな笑顔でそう請け負った。
その見事なまでの笑顔に、茉莉ちゃんが「チョロいな」と失笑し、杏子さんに「そんなこと言うもんじゃないよ」と窘められる。
ともあれ話が纏まったのは司会としても喜ばしいかぎりだ。なっちゃんには予定通り無人島に漂着したという設定で頑張っていただこう。
段取りを済ませたわたしが杏子さんに向かってうなずいて見せると、了解したようにバインダーと筆記用具を取り出し彼女は、悲壮な決意を隠そうともしないなっちゃんに笑いかけるとその口を開いた。
「それじゃあ納得してくれたようだし話を進めるけど、冒頭の説明にあった通り、なっちゃんは着の身着のまま無人島に打ち上げられたって設定ね」
「つまり杏子さんが以前の配信でやってたように、菜月も現地の漂着物と無人島にあるものを活用して生き残れと……?」
流石のなっちゃんも同期の人気配信にまったく無知ではなかったようで、話が早くて助かるよと応じた杏子さんはその視線を波打ち際に転じるのだった。
「見てもらえれば判ると思うけどさ、海岸って色んな物が打ち上げられてくるのね。大半はただのゴミなんだけど、何にもない無人島だと空のペットボトルでも有難い物なんだよ」
そう言って杏子さんはせっせとゴミを拾い集めたキッズたちから空のペットボトルを受け取った。
「これも海水で綺麗に洗って日光で乾燥させれば、飲み水を貯めておける貴重な貯水タンクに早変わりってわけ。ラプちゃんがサービスで渡したナイフもその一つね」
「というわけで使える物はなんでも使って生き残るってのは正解だけど、実はその前にやることがあるんだよね」
司会として補足したわたしから、ここでなっちゃんに1問目の問題です。
「それは何ですか、アーニャさん」
「無人島に打ち上げられたなっちゃんは目を覚ましたばかりって設定なんだけど、これから何をしたらいいんだろうね?」
「うん。あたしの配信を毎回見てくれたアーニャさんなら簡単だろうけど、なっちゃんはどうだろうね?」
「えっ? 菜月も杏子さんの配信は逃さずチェックしてたけどさぁ……毎回無双する杏子さんのイメージが強すぎて何をしていいかさっぱり……」
そんな経緯でわたしは司会として杏子先生に質問したんだけど、なっちゃんは本当に何をしたらいいか判らないようで、その顔は気の毒なほど真っ青になった。
「しょうがねぇなぁー。それじゃあヒントね。無人島に流れ着いたら真っ先にやることがあるんだわ。アスリートのなっちゃんならわりと身近なテーマよ。焦らずあたしの助手を見てよく考えて」
ヒントを出すと口にした杏子さんの前で、キッズたちが左手を腰にやってペットボトルをクィッとやる。南の島の砂浜でスポーツ飲料水を美味しそうに飲む姿に、ゴクリと喉を鳴らしたなっちゃんだったがどうやら気付いたようだ。
「そうか。菜月は炎天下の砂浜で目を覚ましたばかりだから、まずは水分補給をしなきゃいけないワケか」
「うん、正解。水がなけりゃ人間は二日と生きられないからね。まずは安定した飲料水の確保を考える必要があるのよ」
合格点を与える杏子さんの笑顔に、なっちゃんがホッと胸を撫でおろす。
「というわけで第二問。なっちゃんが周辺を捜索したところ、近くに小川と椰子の木を発見しました。……さて、なっちゃんの次なる行動は?」
わたしがサーニャたちの表示させた小さな魚影がたくさんある小川と、地面にたくさんの実を落とした椰子の木を指差しながら訊ねると、「えぇ〜?」と頭を抱えたなっちゃんは自信なさげに答えた。
「椰子の実が落ちてるんだったら、そっちに手をつけちゃダメなんですか? たしか椰子の実って水分をたっぷり含んでるって聞いたことがあるんですけど……?」
「ダメじゃないけど、椰子の実は繊維が複雑に入り組んでるから、ナイフがあっても切り口を作るのはかなり大変だよ。炎天下のもと悪戦苦闘してようやく飲めるようになっても、中身が腐ってない保証はないしね」
「なら、菜月は小川の水を飲むわ。あんなに綺麗なら飲めるやろ」
「ファイナルアンサー?」
「……ファイナルアンサー」
そんなやり取りを経て、杏子さんはバインダーの上にサイコロを振った。
「出目は5か……。まぁなっちゃんのお腹は急降下しちゃったけど、可哀想だから脱水症状のバッドステータスは勘弁してやるわ」
「不正解なのぉ!?」
ゲラゲラと楽しそうに爆笑する杏子さんに涙目で抗議するも、残念ながらそのペナルティーが覆ることはなかった。
「よく見て、魚がいっぱい泳いでるでしょ? ということは、魚の餌となる微生物がいっぱいいて、ついでに糞も滞留してるってこと。ダメだよ、そんな水を飲んだりしたらさ」
「だったら何が正解なんだよ!? 椰子の実が腐ってるって言うから小川の水を飲んだのに、後出してそんなことを言われたらもう何が正解か分かんねぇよ!!」
「小川の付近の地面が湿ってるでしょ? 正解は靴下に詰めたあの土を絞って飲むでした」
「分かるかそんなもん!?」
断末魔の叫びとはこのことだろうか?
天を仰いだなっちゃんは地団駄を踏むが、チラリと横目で確認したキッズたちには異なる感想があるようだった。
「わたしは分かったけど、みんなもそう?」
「はい! 吾輩も分かりました!!」
「っていうか、この漫画の最初のほうに正解が書いてあるよね」
「むしろ知らないほうが情弱?」
「何その漫画!?」
わたしが訊ねると、茉莉ちゃんが元気よく取り出した漫画の表紙になっちゃんが目を丸くする。
「知らなかった? あたしの実体験をもとにした漫画が講談舎から出てるんだよね。しかもRe:liveのメディアミックス戦略でさ、キャラクターの原案もアーニャさんでね、今度テレビアニメ化もされるという……」
「なにそれ!? ごめん杏子さん、アーニャさんもごめん! 菜月ぜんぜんチェックしてなかった……!!」
「あ、いいよいいよ。あたしもちょっと照れくさかったから、事務所でもあんまり話題にしないように頼んでたんだし」
「ま、仕方ないよね。なっちゃんはゲームをしてるのが奇跡っていうくらい、こっちの文化に疎いから……」
思わず土下座して謝罪するなっちゃんだったが、格好のナ虐材料を手に入れたキッズたちは目を爛々と輝かせて追求するのだった。
「えー、信じらんない! それじゃあアーニャちゃんがライブをやるまでの話を元にした漫画とアニメも知らないの? なっちゃんもしっかり登場してんのに!?」
「さすがにその話は聞いてるけどもうやってんの!? 知ってるんなら言ってよ! もうやってるって!!」
「菜月さん、菜月さん、それ逆ギレ」
「ナツキのこの様子じゃ、N社とTK社が共同で無双系のアクションゲームを作ってることも知らないよね。あんなにラブリーで楽しそうなのに……ナツキのマネちゃんは教えてあげないのかな……?」
「えー、ここでなっちゃんのマネージャーである日向のぞみさんからメッセージが届いています。菜月さんは興味のないことには『そうなんだ』としか答えてくれないので、理解してもらうのは諦めました………だって」
「のぞみちゃんごめぇええん! 菜月が悪かったぁあああ!!」
またしてもなっちゃんはカメラの前で号泣し、視聴者のコメントは愉悦の二文字で埋め尽くされる……って、これ杏子さんが枠を取ってる配信だよね?
「待って待って? これっていつの間にかあたしのサバイバル配信じゃなくって、なっちゃんのナ虐配信になってない?」
「なってるね……。げに恐ろしきは多人数コラボでも絶対に埋もれないなっちゃん特有の声の大きさと、人々の嗜虐心を刺激せずにはいられない純情さかな? あっ、どこかの出版社から『最弱伝説芹沢』の企画がきてたけど、さすがにそっちはあんまりだから却下しといたから」
「アーニャさんありがとおぉおおおお!!」
「ほらほら、いつまでも座ってないで立って立って! いい歳こいた元女子高生がそんなんじゃ格好付かないぞ」
ひとしきり笑ったわたしたちはなおもドン底のなっちゃんを励まし、立ち上がれる程度には回復させて配信を続ける。
「なんか笑ってたら時間がヤバいことになってきたね」
「杏子さんの枠は基本1時間だからね。時間も押してるし巻いていこっか」
「そだね。迂闊にも生水を口にしてお腹を壊したなっちゃんだけど、幸いにもそっちは軽症で済んだことにして、と……次は安全な寝床と食糧の確保なんだけど、なっちゃんこれ判る?」
「食べられそうなものはともかく、無人島に安全な寝床なんてあるのでしょうか?」
「うん、だからその辺りはサービス。基本的に獣の足跡がついてない砂浜で、満潮を避けられそうな崖の下で火を焚くの。あたしは向こうの崖の下が傾斜になって、雨を凌げるからそっちを使ってたんだけど、食料はね……」
「ヒントは吾輩の格好だな。道具もないから釣りも無理、ナイフ一本しかないから獣を狩るのも無理となると、潮干狩りくらいしか選択肢がないんですよ」
「菜月、魚はともかく貝は苦手なんだよなぁ……食べられそうなキノコを探すのはあかんの?」
「いけなくはないけど、食用可能なキノコの種類はほんの僅かで、残りの数千数万は全部毒キノコだよ? しかも食べたら絶対に助からないレベルの……なっちゃんに見分けつく?」
「……菜月に食べられるキノコの見分けなんて無理に決まってるじゃん」
「だよね。それにキノコに手を出すくらいなら虫を捕まえたほうがいいかな?」
「虫を食べるのぉ!?」
思わぬ提案になっちゃんのボリュームが最大になる。
「無理無理! 流石にそれは無理だって!? 虫を食べるなんて正気じゃないって!!」
「あ、さっそく出たね問題発言……アーニャさんはどう思う?」
「うん、ギルティだね。とりあえず全国の佃煮屋さんに謝ろうか。口にする命の重さに変わりはないんだよ」
わたしたちが普段の食生活で虫を食べないのはわたしたちの都合に過ぎず、それをもって虫を食べる人たちへの偏見を助長させるような発言はいただけないものがあった。
「すみませんでした! 菜月に差別的な意図はありませんでしたが、不快に思われたすべての視聴者に陳謝します!!」
さすがにこの辺りはVTuberとしてマズいと気がついたようで、見事な土下座を披露したなっちゃんだったが、恐る恐る面を上げたその顔は再び絶望に染まった。
「本当にすまないという気持ちで胸がいっぱいだったらさ」
「どこであれ土下座ができるって思うんだよね」
「たとえそれが、吾輩たちが捕まえてきた菜月さんのランチを食べながらでも……」
茉莉ちゃんがジタバタと抵抗するセミを、グラちゃんがウネウネとのたうつイモムシを、ラプちゃんがグッタリとしたバッタを差し出すと、青ざめたなっちゃんの顔が見事なまでに引き攣った。
「ま、無理やり食べさせるつもりはないし、泣いてる余裕があるんだったらまだ大丈夫だよ。ただ、さ……」
その言葉にホッとしたように、それでいて言いしれぬ凄みを感じたように、なっちゃんは杏子さんを見上げて恐る恐る訊ねた。
「ただ……何ですか、杏子さん?」
「ただそのうちね……何日も水以外のものを口にしていないと、そのうちそれがご馳走に思えてくるんだけど、まぁ安心して? あたしもそこまでなっちゃんを追い込む気はないから」
過去に三度も過酷なサバイバルを生き抜いたという杏子さんにの言葉に、国内外の視聴者から熱心な賛同の声が届いた。
「どれどれ、相変わらず杏子さんの配信は経験者のコメントが多いね」
ざっと紹介すると、「自分もジャングルで敵兵に包囲され、二週間も耐え忍んだときは彼らの命を頂戴した」はまだいいほうで、中にはこんなコメントもあった。
「あんな地獄は知らなくていい。でもそんな地獄が存在することだけは知っておくべきだ、って……」
平和で安定した日本に生まれて両親に庇護されたわたしには、極限状態を経験した人たちの気持ちは分からない。
でもいるのだ。杏子さんのように、悲惨な経験をしながら、それでも笑顔を忘れない人たちが……。
「うん、いいこと言うよねその人も。知らないでいられるんだったらそれに越したことはないよ。でも自分がその立場に立ったとき、あたしは諦めるんじゃなくって正しい知識に基づいて生き延びてほしい。あたしはそのためにこの配信をやってるんだ」
普段はおちゃらけ気味なキッズたちも真剣な表情で、なっちゃんも正座したまま綺麗に背筋を伸ばす。この人を前にすると自然とそうなる。杏子さんはそんな女性だった。
「分かりました。菜月はどうやら甘ったれていたみたいです。生きるとは何か……菜月もこの機会に真剣に考えたいと思います」
最近はちょっと辛いことがあると手を出したゲームを投げ出すなど、VTuberとして問題のある行動が目立っていたけど……そんななっちゃんを心配して生徒役に抜擢した杏子さんの真意は正しく伝わったようだ。
「本当は生きるのってすごく大変なんだよね。……それが楽に感じるのは、それだけ周りの人が頑張ってくれてるからだよ。わたしもお父さんやお母さんに感謝しないと」
「はい、菜月も家が燃えたときにそのことを学んだはずなのに、いつの間にか忘れていました。約束します。菜月はもう二度とこの心を忘れないと……その証として、まずはこの虫を胃袋に収めると……」
まぁどっちももっともらしいことを言ってるけど、さっきまでバカンス気分だったからあまり格好はつかないね。
「そこまで自分を追い詰めなくっていいよ。どうせ今夜はバーベキューだし。とりあえず木の実を見つけたら鳥や獣が齧った痕跡があるかチェックしようか。他の生き物が食べてるっているのは、安全な食べ物を探すうえでの指標になるからさ」
その後も杏子さんはサバイバルの知識を叩き込み、紆余曲折を経てキッズたちに食べ物を分けてもらったなっちゃんは疲労困憊になりながらも、笑顔で初回の配信を終えるのだった。
杏子さんの配信が終了したのをもって、スタジオの内部がいつもの光景を取り戻す。
やり遂げた充実感のなか、機材操作を担当したサーニャたちが労うような笑顔を浮かべてこちらに来る。
その人数は六人。いつものメイド姿のサーニャと、さすがにそこまでは付き合えずカジュアルな部屋着に身を包んだターニャちゃん。そして応援に駆けつけた北上さんと日向さんのマネージャーコンビに、あと二人──。
「いやはや! こうして配信の裏側を見させてもらったの初めだったが、私が現役の俳優だった頃からは考えられないほどのハイテクぶりだな! そして一時間という限られた時間にこれほどキュートな魅力を詰め込むとは……これで台本がないとは信じられない気分だよ!?」
そう言って拍手する筋骨隆々の白人男性はサーニャのお義父さんだった。
「ありがとうございます、キャップ。ただ台本がないのは本当ですけど、だいたいこんな感じでよろしくくらいの打ち合わせはしてるんですよ」
「それにしたって息がピッタリじゃないか。フフ……即興のアドリブだけでこんな極上のエンタメを提供するんだから、ハリウッドという看板の上に胡座を掻いていた我が国の映画産業が廃れるのも当然だね」
キャップの愛称で知られる現職のアメリカ大統領のリップサービスに、だがぼんやりした童顔に呆れた表情を浮かべた北上さんは、嫌々その真意を問いただすのだった。
「あまり考えたくないんですけど、それって遠回しの苦情ってことですかね? ゆかりさんたちの配信に客を獲られたハリウッドのお偉いさんから、キャップのほうに文句を言って来いって話があったとか……」
「いや済まない! 私にそんなつもりは……!!」
だが無論そんな訳はない。歴代の大統領で最も口が悪いと言われているけど、キャップがその手の圧力をわたしたちに加えるわけがなく、北上さんも半分くらいは迂闊な発言を注意した感じだ。
「申し訳ありません。この男はよく考えず口を開く癖がありまして……インターネットの発達によって既存のマスメディアが凋落したように、ハリウッドが衰退したのも時代の必然。仮に合衆国内部にそのような意見があろうと、ミス・ユカリたちの偉業にケチをつけるつもりは毛頭ありません。なにとぞご容赦のほどを」
そんなキャップの代わりに謝罪したのは、背の高い妙齢の黒人女性だった。
この人もテレビで見たことがある……たしか役職は大統領補佐官で、お口にガムテープをしたキャップを後ろに下がらせて、代わりに謝るのが仕事の人だ。
「いえいえ、どうかお気になさらず。わたしも合衆国の協力と献身には感謝の言葉しか持ち合わせていませんから、キャップもそんなに落ち込まないでくださいね」
「あ、ああ……すまない二人とも、おかげで助かったよ。正直生きた心地がしなかったんだ」
誠実で気のいいキャップがここまで恐縮するのは、もちろん不用意な発言を反省して、というのもあるんだろうけど……それ以上に義理の娘さんから向けられる軽蔑の視線が耐えられなかったんだね。
「まったく、貴男という粗忽者は本当に……今回の突然の訪問もそうですが、あまり私たちに恥ずかしい思いをさせないでください。こちらこそ生きた心地がしませんでしたよ……」
「悪かった! 私もいまになってジョークとしても不適切だったと反省してるさ! おい、キャサリンからも何とか言ってやってくれ!?」
「存じませんわ。閣下のプライベートに関わる気はありませんから、お嬢さまに謝罪するのはご自分でどうぞ」
そう言って二人のレディを怒らせたキャップは謝るばかりだったが、このままでは話が進まない。仲裁を決意したわたしは「まぁまぁ、サーニャも落ち着いて」と怒れるメイドを宥めつつ、キャップに来訪の用向きを尋ねるのだった。
「ところでわざわざ来てくださったのは有り難いんですけど、キャップは何しにこちらへ? 公務なら事前にもう少し何かあってもおかしくないと思うんですけど……」
サーニャの法律上の保護者という立場から、キャップがわたしたちに関わってくるのはそれほど珍しいことではない。
わたしもファーストライブのときはお世話になったし、それ以降も合衆国が権利の半分を持つ技術の大半を公開してからは、折衝や事前相談などで頻繁に連絡を取り合ってることを本人の口から聞かされている。なのでこうして直接会いにきてくれたことも、何の事前告知もなかったことに驚きこそしたものの、そこまで意外だとは思わなかった。
「ああ、それなんだがね」
たぶん驚かせたかったんだろうな、と──今や世界に並ぶ国のない覇権国家となったアメリカ合衆国の大統領ではなく、サーニャの法律上の保護者ということもあって、キャップを親戚のおじさんのように感じていたわたしは、このあと出てくる言葉に心臓が跳び出しそうな気分を味わうことになった。
「まずはゆかりが汎人類評議会のメンバーに推薦されたことを祝福させてもらえるかな? いや、私も我が事のように誇らし──!?」
ゴキッという嫌な音が凍りついた空間を無理やり打ち砕いたような気がした。
見ればサーニャとキャサリンさんの履いてるハイヒールの踵が、キャップのつま先に見てるこっちが心配になるほどめり込んでいた。
「申し訳ありません。どうやら閣下は気分が優れないようなので、向こうでトドメ……ではなく介抱をしてまいりますので、しばしお待ちを」
サーニャが見た目によらぬ怪力で悶絶するキャップの襟首を掴み、連行する前で大統領補佐官のキャサリンさんは優雅に一礼してみせた。そしてパタンと上品にドアが閉められると、呆気に取られた北上さんと日向さんが顔を見合わせた。
「なんかゆかりさんがよく分からない役職に推薦されたみたいなコトを言ってたけど、のぞみちゃんは何か聞いてるッスか?」
「さあ、わたしにもさっぱり……汎人類評議会でしたっけ? 国連の内部に議会のようなものが新設されて、ゆかりさんがそのメンバーに選ばれたってことでしょうか?」
うん、どうしたものだろうね。この状況は……。
キャップが汎人類評議会のことを知っていたのも驚きだけど……まさか無関係の北上さんと日向さんのいる前であんな話をするだなんて。
防音室のスタジオの外から聞こえてくるのは、罵声と悲鳴、そして打撃音かな?
キャップに対してやたら辛辣な態度は、今までサーニャならではのツンデレムーブだと思ってたけれども、こうなってしまうと考えを改めるしかない。
尊敬していただけに残念だ……わたしから詳しい話を聞きたそうにしている北上さんたちの後ろで、ターニャちゃんが視線で「どうする?」と尋ねてきた。
汎人類評議会についてまだ何も知らないわたしは、キャップのように口外していいのかの判断もつかない。
けれども純粋にわたしの身を案じるこの二人に嘘は吐きたくないとも思うのだ。
「……確認させてもらっていいかな? このまま何も知らずにいれば面倒事に巻き込まれることはないけど、北上さんたちはどうする?」
わたしがそう口にすると、ターニャちゃんは呆れたようにため息をついて見せたが、咎める意思は無いようだった。物好きなヤツだと、その目は優しげに微笑っている。
「それなら自分は聞いておきたいッスね。自分が知らないことでゆかりさんが苦労するくらいなら、自分が代わりに苦労したい性分なんで」
「わたしも聞かせてください。決して口外はしませんから」
迷いのないその瞳がわたしにとってのすべてだった。
大きくうなずいたわたしは、その足で騒音の絶えない廊下へと向かい、ターニャちゃんは給湯室へと姿を消した。長い話になるだろうと察して、自ら率先してそうしてくれたのだ。
そうして七人分の紅茶とケーキが用意された談話室で、見る影もなく項垂れたキャップは一同に謝罪するのだった。
「本当にすまなかった! 私としたことが君たちにとんでもない話を聞かせてしまった! 重ねて謝罪する!!」
本人はそう言って平謝りするけど、暢気に紅茶を啜るターニャちゃんの反応を鑑みるに、キャップの失言はそこまで責められるようなものでもないようだ。
「あの、どうかお気になさらず……正直なところ何かなんだか分からないって言うのが本音ですから」
「そうッスね。迂闊だとは思いますが、後で口封じを考えなきゃならない機密を聞かされたんじゃないなら構わないッスよ」
北上さんたちも下手に深入りする気はないようなので、この話はここで終わりにできる。
なおも恐縮するキャップはさておき、その両脇をガッチリ固めるサーニャとキャサリンさんは明らかにホッとしてたけど……ごめんね。わたしはもう話すって決めちゃったんだ。
「まぁ汎人類評議会については、口にした人間の正気を疑うことはあっても、誰も実在するとは考えない、そんなオカルトの一種だからな。この二人が食いつかなくても無理はないさ」
そんなわたしの考えを先取りしたように、喉を湿らせたターニャちゃんが補足すると、サーニャたちはギョッとしたような反応を見せた。
「オカルトっていうと宇宙人とかムー大陸みたいなもんスか?」
「うむ、悪くない線だ。汎人類評議会っていうのはな、時空を超えて人類の行く末を見守る未来人と宇宙人の集まりだ」
その話に食いついた北上さんに答えたターニャちゃんは、そこでサーニャの反応を見極めるようにその顔を見つめた。
それは不思議な力関係だった。犯罪者としてその身柄を拘束されたターニャちゃんは、だがその件に関しては当事者でもあるのか。人類全体に奉仕すべき立場にあるサーニャは、しかし表立って反対はせず腰に両手をやってため息を吐くばかりだった。
「そんな立場から、彼らは人類の転換期にたびたび姿を現す。この世界に初めて干渉したのは先の大戦の末期だったな」
そんなサーニャの無言の了解をもって、呆気に取られるキャップに視線を転じたターニャちゃんは確認するようにそう口にした。
「あ、ああ……私もそう聞いているよ」
自信満々に断言するターニャちゃんの正体が掴めないのか、キャップは沈黙を続けるサーニャを見やったが、何の答えも得られなかったので観念したように頭を掻いた。
「これは合衆国の恥になるので口外しないでもらいたいが、先の大戦末期にいつまでも降伏しない日本に苛立った大統領は、原爆の大量投下による徹底した殲滅を命じたようだが、それに待ったをかけたのが汎人類評議会の使者と名乗る光の巨人だったそうだ」
「光の巨人となると、珪素生命体の評議員か。わりと穏当なメンバーが派遣されたな」
「……そうらしいね。もっとも当時のホワイトハウスは蟻の巣穴に水を流し込んだような騒ぎになったらしいがね」
キャップの話によると、その宇宙人は「止めよ。さもなくば我は、力ずくでも汝らを止めねばならん」と人々の心に直接話しかけてきたそうだ。
「当時の大統領はその件に大変な衝撃を受けて任期半ばに引退し、政権を引き継いだ副大統領は原爆をあくまで威嚇目的で使用することで交渉をまとめたそうだ……」
それからも彼らは大戦終結後の冷戦期にもたびたび姿を現し、歴代の大統領に忠告をしてきたらしい。
「そんな話を聞かされていたので、私の前に彼女が現れたときは、そりゃあ緊張したさ。いったい何を言われるんだろうってキ◯タマも竦み上がったが……おっと失敬、失敬。レディの前で口にしていいワードではなかったね」
だが話もここまで進んでくると、自国のトラウマに触れているにしてはキャップの表情も明るくなってきた。自分の失言を謝罪する笑顔も、いつものユーモアと余裕を取り戻していることから、よほどいい話を聞かされたんだろうと口を挟んでみる。
「それでゾウのおばさんからどんな話を聞かされたんですか?」
「おや? その様子だとやはり君のところに現れたのも彼女だったか。……彼女は素晴らしいレディさ。彼女はね、フロンティア・スピリッツ号を軍事目的に転用しようとした連中を叩き潰し、あくまで宇宙探査に限定した私にこう言ってくれたのさ。『素晴らしい英断だわ。貴男という素晴らしい友人を同族に紹介したいから、早く会いにきて頂戴』ってね」
その甲斐あってゾウのおばさんから詳細な航宙図をせしめたキャップとしては万々歳だったが、その話を引き継いだキャサリンさんによると、キャップの政治生命はその直前まで風前の灯だったとか。
「何しろ強引に養子縁組をしたお嬢さまとの個人的な繋がりだけを武器に、国内のタカ派に喧嘩を売りましたからね。あの方々が後ろ盾になってくださらなければ、閣下は早々に暗殺されて姿を消していたことでしょう」
「まぁ君にも心配かけて悪かったけどさ、一応ね、私のことを心配してくれたこの子が渡してくれた電磁バリアがあったから、少しばかり気が大きくなってたんだよ」
なるほどねぇ……キャップってばサーニャのプレゼントにウヒョウヒョになってたんだ。
「一応言わせてもらいますが、別にこの男の生死をそこまで気にかけていたわけではありませんよ。ただ下手に死なせると、後任と確実に揉めることになるから自衛しただけで……」
サーニャもサーニャで、そんなに顔を赤らめながら力説されてもねぇ……まったく素直じゃないんだからって感想以外出てこないぞ?
「ま、そんな経緯もあって彼女には懇意にしてもらってね。その彼女がこちらに向かう少し前に姿を現すなり、ゆかりのことをベタ褒めして汎人類評議会のメンバーに推薦したと言うんだから、これはもう私自ら足を運んで祝福するしかないと、少し周りが見えなくなって色々と失敗してしまった……というのがこちらの事情だが、こんな話を聞かされても意味不明だろうに、夏生たちの清聴に感謝するよ」
って、顔がニヤニヤして仕方なかったけど……そうだよ、その話を北上さんたちに説明するのが目的だったじゃん!?
わたしは慌てて北上さんたちに振り返ったけど、再び頭をさげるキャップの前で顔を見合わせた二人はまだ納得してない様子だった。
「まあ、自分はSFにも理解があるつもりですし、そういった人たちがいても不思議じゃないんスけど……」
「その人たちの仲間にゆかりさんが推薦された件がいまの話とどう繋がるのか、いまいちよく分からなくって……」
そうなんだよねぇ……でもごめんなさい。わたしにもよく分からないんだ。
とりあえずゾウのおばさんたちがわたしに期待してるのはわかる。娯楽に乏しい未来人たちがわたしたちの配信を発掘して、『あのスレ』とやらで適任だと無責任に騒いでいるのも、まぁ分からなくはない。でも具体的にわたしに何をさせたいのか、これがさっぱり分からない。
けっきょく午前の作戦会議で訊いてみたけど、誰もその業務内容については説明できなかった。ゾウのおばさんたちと関われないというアーリャはともかく、サーニャも、直接その下で働いたことのあるターニャちゃんでさえ、わたしの疑問には答えられなかった。
だからキャップの来訪で得られた得られた情報は貴重と言えば貴重だけど、かえって頭を抱えたくなったのも事実である。
下手に引き受けたら最後……どこぞの英霊よろしく困難な時代に派遣され、対立する人々の前で平和を説かなきゃならなくなったら確実に赤面する自信があるわ。
今からでも諦めてくれないかなぁとテーブルに突っ伏したわたしは、試しに神話の衣装で過去の時代に送られた自分を想像して、耳まで赤くなった顔を見られまいと頭を抱えるのだった。
作者のサバイバル知識は、とある漫画から得たものなのであまり本気にしないでください。




