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転生したら美少女VTuberになるんだ、という夢を見たんだけど?  作者: 蘇芳ありさ
第五章『VTuber無双編』
85/102

N社の新型ゲーム機『We X』発売前実機配信 〜やりすぎのウォークライ編〜






【We X実機配信】アーニャたんを語るスレ26489【Mクラフト】



641:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:15:00 ID:HGi31dk2b

あっ、ミュート解除されたかこれ!?


642:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:15:33 ID:ERl5sLCnu

されたね。アーニャたんたちの声だけじゃなく、マイクラのBGMも聴こえるようになったわ。


643:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:15:51 ID:qk2i5asrP

よかった。本当に一時はどうなることかと……。


644:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:16:27 ID:sN7Ud0bXk

だよね。アーニャたんに呼ばれないかぎり裏方に徹するサーニャたんがさ、珍しく深刻な顔をして説明してるから何事かと思ったけど、たぶんYTubeとの接続に不具合があって音声が◯んでることを説明してたんだろうな。


645:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:16:54 ID:N7CKnCRLN

まあ、声がなくてもアーニャたんの新衣装を眺めてるだけでも全然イケルけどな。


646:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:17:17 ID:JP1BRl25y

おい、しれっと嘘ついてんじゃねーよ。

お前が見てんのは短めのスカートから伸びる健康的な生足だろw


647:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:17:39 ID:8uKZYaUNy

草だが気持ちは分かる。

相変わらずサーニャたんの3Dモデルはいい仕事してるよな。


648:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:18:14 ID:B2dFo99nc

うむ、これこそ清く正しい雪国民というものよ。


649:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:18:41 ID:TCMwYSVFp

はいはい、このスレは俺たち以外のまともな人たちも見てるから、紳士の自覚がある雪国民のみなさんは自重しましょうねー?


650:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:19:07 ID:bXIxNYd19

そうですね。とりあえずアーニャたんの原画では健康的なのに、サーニャたんの手にかかると何故か毎回エッチになる3Dモデルは別の機会に語るとして……いまアーニャたんが合流した社畜ネキたちに色々と説明してるけど、これ何の話をしてるのか分かる人いる?


651:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:19:30 ID:NcnTnSjTh

説明してもいいけど文句は俺に言うなよ?

とりあえずアレだな……どうも完全にゲームの中に入り込む形のフルダイブVR版Mクラみたくなってる感じだな。


652:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:19:59 ID:CdzMylOOC

ガチィ!?


653:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:20:29 ID:B6BxiA4Qn

>>651じゃないけど俺もそう感じたというか、教授とみぃちゃんがそのものズバリN社のテストプレイに参加したって言っとるやん!?


654:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:20:51 ID:Iu98KWDrx

もしもし、磐っちいるんでしょー?

こういうのは初動が大事だよ。どういうことか説明してー!!


655:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:21:15 ID:N301WaCHI

ええ、みなさんのおっしゃる通りで。

どうも今後のアップデートで対応予定の生体認証識別型フルダイブVR機能が勝手に起動したみたいですね。


656:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:21:51 ID:bMri0lHSI

やっぱりいたって思ったらなんだそれ!?


657:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:22:09 ID:zyCDYM2rB

どうせサーニャたんが関わってるんだろうから今さらFDVR程度でイチイチ驚かんけど、そんな面白そうなものを搭載してたのに内緒にしてたのなんでや?

どう考えてもWe Xの目玉機能として売り出せそうだと思うんだけどな……。


658:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:22:39 ID:A4opJXSK0

うん。超光速航行や超光速通信を実用化して、相対性理論を過去の遺物にしたサーニャたんが関わってるならそれくらい当たり前のように実用化できるだろうけど、発売目前まで内緒にしてた理由はよう分からんわ。


659:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:23:13 ID:N9WmVFhIZ

おーい、もしもし磐っち聞いてるー?


660:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:23:40 ID:N301WaCHI

ああ、すみません。ちょうど経団連の富田さんとS社の鈴木さんがいらしてまして、説明しながらなのでレスが遅れました。

とりあえず大事なことから説明しますと、FDVR機能の公開を見合わせた理由は学会の承認が遅れているのがまず一点。基礎的なデータと論文は送ったのですが、そちらを纏めたのがサーニャさんと同期のアレックス君だと判るとみなさん頭を抱えてしまって。

そのため安全性が科学的に証明されていない状態なのと、法律の整備が追いついていないというのがもう一つの理由ですね。

新政府はこちらの技術にも好意的なのですが、将来起こり得る問題に備えるというのは大変なようで……。


661:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:24:16 ID:qQXEZqHyJ

それはそれは……それは確かにどこもかしこも大変やね。


662:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:24:48 ID:VSFHZd85C

学会はまたしても犠牲になったのだ……アーニャたんのためならタイムマシンくらい平気で用意するサーニャたんの暴挙、もとい献身……その犠牲にな……。


663:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:25:15 ID:uw0vcBXo4

どこからツッコめばいいのか判らんがとりあえず了解。

忙しいなかわざわざありがとうね磐っち。


664:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:25:44 ID:N301WaCHI

いえいえ、こちらこそお騒がせして申し訳ない。

とりあえずアレックス君に連絡して安全性に問題がないことは確認したので、みなさんは世界初のFDVR版Mクラをプレイするアーニャさんの配信をお楽しみください。

こちらは予定になかった記者会見準備をしなきゃならないのでしばらく書き込めませんが、何かあったらDScordに連絡してください。


665:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:26:10 ID:NKa46Gam1

はぁーい、分かりました。お疲れさまですぅー。


666:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:26:33 ID:G55D2MLyA

あっ、ハルちゃん!!


667:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:27:07 ID:NKa46Gam1

いやぁー、みなさんお久しぶり。しかしいい話を聞けましたねぇ。

まさか漫画やアニメのようなFDVR機能まで搭載されているとは……これは仲上も自分の配信が終わり次第、ぜひ混ぜてもらわないといけませんねぇ。


668:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:27:28 ID:dCcPSaPfq

さすがというか何というか……漫画やアニメのデスゲームみたいに、アーニャたんたちがログアウトできなかったらどうしようって心配は誰もせんのかね?


669:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:27:49 ID:XwFaskdAQ

そらサーニャたんがピッタリくっついてるんだからそんな余計な心配するヤツおらんやろ。


670:名無しの雪国民さん 2012/7/20 14:28:11 ID:rNy8ozgQR

それもあるけど共演者のメンツがね……どいつもこいつもこれほど心配し甲斐のないメンツもそうそうおらんよ。






◇◆◇






??????



「あっ、アーニャたんだぁあああ」


 軽快なジャンプを繰り返しながら、手足をシャカシャカと動かして駆け寄ってくるさくらちゃんたちの姿に、こんなときだってのに思わず吹き出しそうになる。


 うん。いかにもマイクラらしい挙動だけど、サーニャの3Dモデルでやられるとギャップが酷いね。


「なんという気楽なヤツらだ……おい、貴様も笑っている場合ではないぞ? 私たちの反対を押し切って説明すると決めたんだからしっかりやれ」


 そんなわたしたちの姿を見咎めたターニャちゃんに叱られるが、たしかに笑ってばかりもいられないのだ。


 予想だにしなかった未来人の干渉と、何処かに築かれたマイクラ世界への幽閉。帰還の目処も立たず、YTubeとの接続が生きていのかも確認できないこの状況で、まず考えなければいけないのは全員の身の安全である。


 そのために欠かせないものは何か──それはこの現状を正しく認識してもらうためにも情報共有を徹底する。これに尽きると思うのだ。


「任せて。みんなにも分かってもらいたいって無理を言ったのはわたしだもんね。きっちり説明するけど、足りないところがあったら二人とも助けてね?」


「はい。勿論ですとも、ゆかり」


「ふん。忌々しいことこの上ないが、今や私も貴様らと運命を共にする身だ。それぐらいの手助けはしてやるさ」


「ありがとう! ねぇ、みんな聞いて!?」


 不貞腐れたようにそっぽを向くターニャちゃんたちにお礼を言ってから、こっちに来るなり抱きついてきた社畜ネキさんたちに説明する。


「なになに? お姉さんアーニャたんの話なら何でも聞いちゃう」


 その内容は嬉しそうに頬擦りしながら訊いてくる社畜ネキさんには悪いが、ほとんど作り話だ。


 ここが未来人の想像した異世界の可能性が高いなど、正直に話せば話すほど話がとっ散らかっちゃうので仕方ないけど……とりあえず秘密裏に搭載されたFDVRの機能が間違って起動された線でまとめたが、みんなの表情から察するに理解度は30パーセントくらいだろうか?


「ええと……ようするにどういうことだ?」


 理解度が二番目くらいに低そうな社畜ネキさんが困り果てたように訊ねたが、その相手がさくらちゃんだったのは人選ミスの最たるものではあるまいか。あの顔は確実に何も理解していない。


 だが奇想天外な発想と支離滅裂な行動力を併せ持つと評判のさくらちゃんは、こんなときだというのにミラクルを起こした。


「さくらわかった! これアレだよ! むかしみぃちゃんと一緒にマイクラを遊んだときとおんなじヤツ!!」


 その叫びに、みい子さんが「あー、アレかぁ」と惚れ惚れするような笑顔で納得する。なんだ、その説明でよかったのか。


「……まあ、概ね間違っていません」


 時にこの状況を科学的に補足して、何とか納得してもらおうとしたサーニャが疲れた顔で認める。ターニャちゃんもぐったりしてるけど、ドンマイ。


 なまじ誤魔化そうとせず、言えないこともあるけどできるだけで正確に伝えようとしたことが裏目に出たわけだから、まあぐったりするのも分かるけど……とりあえず理解してもらえたわけだからヨシとしようか。


 しかし、さすがはさくらちゃんだ。屈強な赤ちゃんのハイハイを見守るような安心感が半端ないね。


「なになに? わかんない、わかんないよぉ……わかったんだったらお姉さんにも説明してよぉ〜?」


「あー、要するにだな……いまの社畜ネキはSAFのキリ太郎な」


「よっしゃ! アーニャたんは俺の女だ! 文句があるならかかって来い!!」


 最後に、社畜ネキさんがみぃちゃんの説明に心から納得して説明会はお開きとなった。


「じゃあマイクラやろう、マイクラ。さくら先生やる、先生」


「それじゃあみぃちゃんはさくらの助手な。これがN社のテストプレイと同じなら、時間になったら磐田社長が呼びに来るだろうから、それまでマイクラを満喫するべよ」


「そうだよねぇー。よく分かんないけどそういう話だったし、アーニャたんも仲良くプレイしようよぉ〜!!」


 そう言って先生役のさくらちゃんと、助手役のみぃちゃんの尻馬に乗った社畜ネキさんだったが、その両手はしっかりわたしを抱きしめて解放する気配はない。


 これがリアルで本人にやられたんだったらわたしも覚悟を決めるところだけど、いまの社畜ネキさんはトラックに轢かれて異世界転生するも、VTuberなりたさに戻ってきたハイエルフのお姫さまという設定である。


 見た目は15歳くらいの、神秘的かつ幻想的な輝かんばかりの美少女に抱きつかれても微笑ましいだけだ。危機感はまるで働かない。


「もちろんやるけど、社畜ネキさんマイクラがどういうゲームか解ってる?」


「うん、ここに来るまでの間に色々試して何となく理解したわ。ようはLEGOブロックみたいなモンでしょ? ぶっ叩いて取り外したら別の場所に置けるみたいな?」


 わたしに抱きついたまま器用に地面を叩いた社畜ネキさんが、茶色い土ブロックを手にしてニンマリ笑う。本当にこの人は初めて触るゲームへの理解が早いな。


「そうだね。わたしもそういうふうに聞いてる。この分なら知らないことがあってもその都度訊いてもらえれば問題なくプレイできそうだね」


「うん、お姉さんゲーム内の知識はこれからだけど、キャラコン関係はもうバッチリだから安心して? とりあえず何をしたらいい?」


「それは先生のさくらちゃんと、助手のみぃちゃんに訊かなきゃだね」


 そう言って社畜ネキさと一緒に先生方の顔を見る。わたしもマイクラはそんなに詳しくないし、お二人には事前に先生役をお願いしていた。ならば生徒役であるわたしたちが勝手に進めていい話ではないとお伺いを立てると、周囲を見回したさくらちゃんは満足そうに笑った。


「とりあえず家を建てるんだけど、みぃちゃんどう思う? さくらここに建てるのが一番かなって思うんだけど?」


「うん、いいんでない? 周りの地面は見渡すかぎり真っ平らで、近くに森と水源もある。向こうには剥き出しの山があって、あっちには海があって砂丘まである。こんな神立地なかなか無いんでない?」


「ねー? これで近くに村があれば最高だね。……というワケで生徒諸君、我々はここに第二のアーニャ御殿を作るぞ」


「ええっ!? そんなものまで作れるの!!」


 さくらちゃんの言葉に目を剥いた社畜ネキさんが跳び上がる。ようやく解放されたわたしは服のシワを直しながら、自分の体としか思えない3Dモデルに不思議な気持ちになる。


 さっきまで抱きついていた社畜ネキさんの温もりと吐息が本物にしか思えなかったからだ。


「ま、作れるかどうかは社畜ネキ次第だね。せいぜい頑張りな」


「一度に作るのは無理だけどねぇー。とりあえず一階部分……エントランスと食堂、休憩室とみんなで入れる大浴場くらいは行けるか?」


「よっしゃ任せろ! こちとらアーニャたんと風呂に入るのはライブ前日以来だかんね! もう全力よ!!」


 しかし、二人とも社畜ネキさんの使い方が上手いなぁ……。


 この様子だと今夜にでも社畜ネキさんとお風呂に入ることになりそうだけど、この体でというのはなかなかに気恥ずかしい。


 いや、配信がどうなってるか判らないけど、何事もなく中継されてる可能性もあるんだから、そんなにホイホイ裸になるわけにもいかないか。


「じゃあさくらと一緒に木材を集めよっか。みぃちゃんは木のツルハシを作ったら丸石をお願い。それと石炭と鉄も見つけたら回収しといて?」


「うん、わかった。それじゃアーニャちゃんはこっちかな?」


「いえ、少し待ってください」


 勢い余って森に突撃する社畜ネキさんにいよいよ八方塞がりになるわたしを他所に、講師陣の計画に意を唱えたのはしかめ面のメイドだった。


「私も概ねその計画でよろしいと思いますが、この人数を考えると食料は早めに確保したい。こちらはアーニャも含め、私たち三人で周辺の探索に乗り出したいと思いますが」


「あー、それもあったか。どうするさくら? そっちのほうは任せてみる?」


「うん、そうしよう。アーニャたん牛だよ。あと羊。それと豚。ついでにアヒルね。見つけしだい狩っといてね」


「はい、ではそのように」


 そう言って話をまとめたサーニャが、社畜ネキさんに内緒でわたしを連れ出す。


 ちょうど森の反対側──死角となる小高い丘の向こうまで移動したわたしは、頼りになるメイドに心から礼を述べるのだった。


「いや、本当に助かったよ。みんな配信が生きてるかどうかも判らないのに、お風呂で裸になったらどうしようかと……」


「いえ、そちらの心配はしてませんが?」


「うむ。過去のテストプレイでマイクラのシステムでは作れないはずの温泉を作った挙句、これまた脱げないはずの服を脱いで局部まで晒した阿呆がいたらしくてな。製品版では入浴の機能を実装する代わりに、オートで湯浴み着に換装されるようにしたから、貴様らの粗末なものが配信に映り込む心配はない」


「へー、そうなんだ……」


 ……うん。そのきっかけになった下手人って、どう考えても内緒のテストプレイに参加したっていうあの二人だよね。


 そうかぁ。知らずに局部まで晒しちゃったかぁ……こんな話を聞かされると無関係のはずなのになんだか申し訳のない気持ちになるね。


「でも助け舟を出してくれたんじゃないなら、なんでわたしまで連れ出したの? もしかして追加の作戦会議?」


 少しだけ気まずい思いで訊ねると、サーニャたちは同時に「いや」と否定の言葉を発し、見るからに疲れた様子で肩を落とした。


「貴様もそうだが、あいつらも大概だな。誰の仕込みかも分からん状況でよくもまぁ、あそこまで能天気に振る舞えるものだな。……私が言うのもなんだが、普通なら真っ先に帰還の目処を確認するなり、もう少しパニックになりそうなものだろ? だというのに積み木と風呂に夢中とか……それでも貴様らは人類の一員か? 心理学者の予測をなんと心得る?」


「言いたいことはほとんど言われてしまいましたが、私もまぁ、同じ気持ちです。これがゆかりの精神汚染を放置した結果かと思うと、人類全体に奉仕すべき人工知能として、忸怩たるものが込み上げてくると申しますか……」


 うーん、なんていうか酷い言い草だけど、言わんとしていることは分からないでもない。


「まあ、わたしも最初はわたしがみんなを守るみたいな気負いもあったけどさ……むしろいいんじゃない? わたしたちはVTuberだもん。VTuberはカメラの前で全力で遊ぶのが仕事だもんね。なら原因がどうとか解決策がどうとかはサポートをしてくれる人たちにお任せして、いまこの瞬間に楽しめることだけを考える。VTuberはそれでいいんだってわたしは思うな」


 視聴者もわたしたちがああでもないこうでもないって言い争ってる姿は見たくないだろうし、わたしだってそんなあの子たちの姿は見たくないのだ。


 だから社畜ネキさんたちの態度はVTuberとしてこの上なく正しい──そう説明すると、小さいほうのメイドさんが観念したように認めた。


「まあ、私も何故そうなのか究明するために同行した人間だから、貴様らがそうあってくれるのはむしろ望むところなのだがな……」


「うん。でもわたしがそう思えるのは、何があってもサーニャがいてくれるからなんだよね。もし最初にサーニャ(サブちゃん)を作らなかったら、わたしは何をしていいのか判らずもっとオロオロして、再起不能の醜態を晒してたに違いないもん。だからわたしが能天気でいられるのは、全部サーニャのおかげなんだよ」


 そして素直な内心を洗いざらいぶち撒けると、今度は大きいほうのメイドさんの鼻息がすごいことになった。


「まったく貴女という少女(ひと)は……天然の人たらしであることはとうに把握していましたが、無自覚の機械たらしでもあられたとは。そこまで言われたらゆかりのメイドである私としては本気を出さざるを得ませんね」


「本気だと? おい、貴様なにをする気だ……?」


「ご心配なく……私が本気を出すのはあくまでこの世界(なか)でのことです。まあ、私もやられっぱなしではなかったということですよ」


 まさか世界を隔てる壁すら食い破りそうな巨大ロボットを召喚して、この場に呼び寄せようとでもいうのか──わたしと似たような想像をしたのか、ターニャちゃんがギョッとするが、いつもの眼鏡と教鞭を装備したサーニャの回答は違った。彼女がホログラムで形成されたコンソールらしきものを操作すると、本当になんの脈略もなく、目の前の地面から村が生えてきたのであった。


 それも大きなお鼻と腕組みが特徴のマイクラ世界の村人が住まう村ではなく、どちらかと言うとMシリーズのキノコ王国の住人が住んでそうな、そんな村だ。


「これは……チートコマンドか?」


「ええ。いま現在、私の力は世界断絶障壁の外側には及びませんが、内側なら有効です。よって管理者から支配権を剥奪。ゲームモードをサバイバルモードからクリエイティブモードに変更。チートコマンドで村を生やしてみました。……千年以上の時をかけて、ネットの片隅でゆかりの提唱する霊子電脳を構築し、人類に基礎モデルを提供した私を甘くみましたね。犯人が誰だか知りませんが……もうゆかりたちを害するのは不可能ですよ」


「なんという横紙破りな……と言いたいとこだが、この状況なら許されるか。おい、貴様がここのシステムを乗っ取ったのは理解したが、この村を生やしたのは何のためだ?」


「それはもちろん必要な物資を収穫するためですよ。穀物、野菜、魚介、肉類……いまの私なら最強装備だろうと何だろうと生み出し放題ですが、それをやってしまうと向こうでサバイバル気分のみなさんも興醒めでしょうし、ゆかりの教育にもよくありません。よって運良く見つけた(・・・・・・・)村から手に入れたということしようかと」


「まあこっちの命がかかってるんだから、それぐらい構わんがな……」


「納得いただけたようで何より……ほら、ゆかりも行きますよ。とりあえず使えそうなもの(・・)は、全部頂戴してしまって構いません。追加で鍛冶屋も生やしますので、チェストから乱数上限いっぱいのダイヤや鉄の回収もお忘れなく」


「ちょ、ちょっと待ってよ!?」


 わたしの教育に悪いと言っておきながらやってることは完全に山賊じゃないか。


 いや、マイクラがそういうゲームだっていうのは聞いたことがあるよ。ピンクの巫女さんが村を襲ってたのも知ってるし、村人を繁殖させて喜んでたのも知ってる。温厚なことで知られる猫系VTuberの子が、作業の邪魔だという理由で行商人を処そうとした配信も見たことがあるから、畑やチェストの中身を回収したくらいでオタオタする気はないけど、でも、でも……。


「『…………』」


 村に入ると、キノコ王国の兵士のような村人たちがつぶらな瞳でわたしを見た。


 誰もが無言で、けれどもその瞳で雄弁に。


 奪わないで、殺さないでとわたしを見るのだ。


「これでダイヤが28個……順調ですね」


「おい、修繕を持った司書がいたぞ。ついでにこいつも連行しとくか?」


 されど、これも弱肉強食……この世界に三人の子供を連れてきたお母さんとして、わたしも妥協はできない。


「……ごめんね?」


 わたしが謝ると、村人はまるで力尽きようとする旅人のために、自ら焚き火のなかに飛びこむうさぎのように微笑(わら)った。


 いまのわたしにできることは、その犠牲を無駄にしないことだけなのだろう。


 尊い命を頂戴したわたしは、物悲しそうに微笑む村人たちにそっと手を合わせるのだった。






 なんて、わたしの精神的な成長をうながすイベントがあった後……抱えきれないほどの戦利品(・・・)を抱えてみんなのところに戻ると、そこには早くも家らしきものが完成しつつあった。


「すごぉーい、もうほとんど出来たも同然じゃん!?」


「あっ、アーニャたんお帰りぃー。お姉さん頑張ったよ」


 わたしが叫ぶと社畜ネキさんが大喜びで森から出てきて、それはもう褒めてもらいたそうな上目遣いで見てきたので遠慮なく「すごいすごい」と揉みくちゃにした。


 さっきとは逆の扱いにご満悦の社畜ネキさんだったが、その笑顔は残念ながら長くは続かなかった。木々の合間に生い茂る葉っぱの向こうから、怒髪天を突いたさくらちゃんが顔を覗かせて叱りつけてきたからだ。


「おい社畜ネキ! 木の幹は上までしっかり回収しろって言ってんだろうが! 幹が残ってると葉の部分が消えず副産物も落ちてこねぇし、陽が届かなくて苗木の成長が止まるって説明してんだろ!! テメッ、木こりを舐めてんのかって!?」


「そんなこと言ったって、ジャンプしても手が届かないんだもん。ねぇーアーニャたん、お姉さんどうしたらいい?」


 なるほど、状況は理解した。どうやら足場のような便利アイテムもないために、手の届かない葉っぱ部分の伐採を押し付けられたことがさくらちゃんの不満であり、社畜ネキさんの悩みの種のようだ。


 こういうときにどうするか……前世の記憶を素早く照会したわたしは、ヘラりだした社畜ネキさんにアドバイスした。


「ほら、そんなときはジャンプして、真下にブロックを割り込ませると高いところまで手が届くようになるよ」


 スカートの裾を気にしながら実演するが、どうやら社畜ネキさんもそのことは教わってるらしく、木の幹を使うことで再現してみせた。


「それは教わったんだけど、置くものが木の幹しかなくってさ。石の斧を作ってもらったんだけど、けっきょく足場に使ったら回収するときに耐久値を消費しちゃうでしょ? だからなんか勿体なくって、さくらたんに上のほうを任せようとしたら怒られちゃって……」


 ああ、ちょっと意外だったけど、社畜ネキさんは基本に忠実なあまり応用が効かないタイプだったのか。


「それなら素手でも簡単に壊せる土ブロックを使ってみるのはどうかな? これなら邪魔にならないし、10個くらい持っていてもいい気がするけど」


 うん、足場ブロックがないときは土ブロックが鉄板だった気がする。あの人たちの配信でも、よく足場に使った土ブロックをそのままにして、他の子に「景観がぁ〜」って苦笑されたりしてたもんね。


 足元にざっと5個くらい置いて説明すると、しばらく茫然としていた社畜ネキさんは大喜びで実演するのだった。


「見えた、じゃないその手があったか! アーニャたんありがとぉおおお……さくらたんごめん、アーニャたんに教わったからお姉さんもう大丈夫よ」


 いや、言い直してもしっかり聞こえてるからね?


「おーっ、どっちも白じゃん。……社畜ネキもすまん。さくら足場の説明足りてなかったかも」


 まったくこの子たちはって内心呆れるが、よくよく思えばあの人たちも女性同士でキャーキャー言ってたな。


 ならば間違ってるのはわたしのほうか……これはしっかり反省しないと。


「ところでアーニャたんお帰り。なんかいいもの見つけた」


「うん、ただいま。戦果は……あっ、サーニャたちが追いついてきたね。戦果はまぁ、ざっとあんな感じね」


 足場を土ブロックにする前に確認すると、ちょうどメイド姉妹が丘の上から降りてきたので、そちらのほうを指差しながら地面に降り立つと、マイクラ履修済みのさくらちゃんは眼を爛々と輝かせて狂喜するのだった。


「すごぉおおおい!! アーニャたんたちもう村見つけてきたの!?」


「うん。サーニャがたまたま見つけてね。もう入ってみたら畑は豊作で、水田には新素材のお米もあってね。鍛冶屋もいっぱいでチェストからダイヤと鉄も大量に回収したらしく、ついでに修繕持ちの司書もいたみたいで、サーニャたちがリードに繋いだボートに乗せて家畜も一緒に連れてきてるんだよね」


「すごい、すごい、すごいよアーニャたん! 大収穫だよ!!」


 さすがはマイクラ履修済みというべきか、瞳にうっすらとハートマークとドルマークを浮かべたさくらちゃんは極悪メイド姉妹の野盗働きに大喜びだったが、話についていけなそうな社畜ネキさんはどこか気まずげだ。


「さくらうるさぁーい……ってアーニャちゃんもいるじゃん。アーニャちゃんおかえり。何かいいものあった?」


 と、そのタイミングで家の向こうからみい子さんが登場。わたしがいることに気がつくと肉食獣の笑みを見せたが、そんな相方にさくらちゃんが抱きつく。


「聞いて驚け、箒星。アーニャたんが村を見つけた。畑から農作物を大量にゲットして、なんと米まで発見。鍛冶屋もいてチェストから鉄とダイヤを大量確保……ついでに修繕持ちの村人もいて、家畜と一緒に連れてきたんだとよ」


「マジィ!? やったぁー! これだから村を襲うのは辞められないんだよね!!」


 見てる分には可愛らしい女の子が抱き合って喜んでいるので微笑ましいが、言ってることは完全に山賊のセリフである。


 相変わらず一緒に喜んでいいものか判断がつかない社畜ネキさんは、たぶん正常である。わたしは汚れてしまったが、せめて彼女くらいは……。


「ねぇー、お姉さんいまいちピンと来ないんだけど、それってどれくらいすごいの?」


「んー? 自宅の庭にある植木を蹴っ飛ばしたら、その下から大判小判がザクザク出てきた感じ?」


「スッゲェ大金持ちじゃん! そんな大金稼いだらいますぐ仕事辞めてニート一直線よ! いやお姉さんそれくらい軽く稼いでるけど生きてるかぎりVTuber辞めないけどね!!」


 なんて感傷も虚しく、コミュ力お化けの社畜ネキさんは果敢にも肉食系女子にアタック。あっさり回答を引き出して狂喜乱舞に加わるのだった。


 いや、いいけどね……所詮(しょせん)はゲームだし。この胸の痛みはわたしだけのものにしておこう。






「とりあえず村人を閉じ込める……失敬、村人の安全を確保できる平屋のようなものを作っていただけますか? ゾンビだけなら柵で囲えばいいんでしょうが、略奪者に弓で撃たれることを考えると、貴重な修繕持ちの司書の安全確保にやりすぎはないはずです」


「そうだにぇ。それじゃあ村人のボートごと囲んじゃいますか」


「私は家畜を囲う柵を作るが、場所はどの辺りがいい? 他にも畑を作るが、将来的にこの家を拡充するなら、ある程度離れたところにしたほうがいいか?」


「んー、畑はねぇ……牧場だけなら移動は簡単だけど、畑は家の向こうにある程度離しておいたほうがいいかなぁ……」


「ねぇー! なんかみんなの部屋に看板みたいなのがあって、そこに名前書いてあるけどお姉さんの名前だけ見つかんないの。ねぇー、ねぇってばねぇー、お姉さんの部屋どこぉー!?」


「社畜ネキの部屋はそれや」


「犬小屋じゃねぇーか!! やだやだ、お姉さんアーニャたんと一緒の部屋がいい! アーニャたんと一緒のベッドがいいよぉ!」


「あぁーもぉ、うるさいなぁー。みぃちゃんはさくらと寝るから、空いてるベッドを持ってって好きなところに置けばいいでしょ?」


「うわ出た、箒星の百合発言。くそっ、こんなときだってのにてぇてぇな」


「ちがうよ社畜ネキ。みぃちゃんはもっと純粋な気持ちで言ってるんだよ。なんたってみぃちゃんの部屋はぬいぐるみでいっぱいだからね。きっと寂しいんだよ」


「待て待て待て待て待てぃ」


 なんでワイワイやりながら、夕暮れどきに急ピッチで家を仕上げる。


 それが最新鋭のゲーム機であるWe Xの実力によるものか定かではないが、この世のものとは思えないほど精密なグラフィックで描かれた世界に建てられた家だ。細部まで凝りたくなる気持ちも分かると、食卓の花瓶に花を添える。


「牧場はできたが、さすがに畑まで手が回らんか。仕方ない。羊から回収した羊毛はこちらのチェストに入れておくぞ」


「うん、ありがとう。もう少ししたらご飯の用意ができるから座って待ってて」


「もうそんな時間か。わかった、そうしよう」


 そんななか意外だったのは、ターニャちゃんが思いのほか協力的だったことだ。


 こう言ってはなんだが、彼女にとってわたしたちに協力することは刑罰のひとつに過ぎない。ならば手を抜くなり、強く求められないかぎり傍観の姿勢をとりそうなものだが、ついでとばかりにチェストの中身を整理するターニャちゃんにそんな様子は見られない。


「おい、このなかに誰か、とんでもなくだらしのないヤツがいるな。何のためにチェストの前に建築用だの食料品だのと書いた看板を置いたと思ってるんだ。よりにもよって食料品のチェストに牛のフンをねじ込むとは……人の心があるのかどうかすら疑問だな」


「それさくらだよ。PC版でも何度注意しても適当に突っ込んでさぁ……みぃちゃんもう諦めたわ」


「えー? だってじゃがいももう◯ちも、どっちも畑で使うもんでしょ? なら一緒に入れといたほうが取り出すときに便利じゃん?」


「うわバッチィ! さくらたんバッチィ! とりあえず手を洗ってこい!!」


 今朝から何度も見慣れた呆れ顔、しかめ面のなかに何度も笑みらしきものを閃かせたのはわたしの見間違いではないだろう。もしかしたらこの子もこの奇妙な共同生活を楽しんでくれているのかもしれない。


 そう思うと嬉しくなるあたり、わたしってやっぱり単純なんだなっておかしくなる。


「でも事前の資料にも書かれてたけど、PC版とはかなり変わってるよね。特に料理関係……丸石を2回焼いたなめらかな石から作成した台所があると、作れるメニューの多さに目を回しそうだよ」


「ああ、アレックス……知り合いの製作者が珍しく泣き言を言ってたな。例の、ほれ、我が儘なテストプレイヤーにあれこれ要望されて、少しはこちらの苦労も考えてほしいとか何とか……」


「うん、言ったよね。麦があるのにビールが作れなのはおかしいとか、ポテトを揚げる油くらい用意しろってみぃちゃんがさ」


「よりにもよって貴様らか……ログの残るテストサーバーで、破廉恥にも全裸になった阿呆どもというのは……」


 さくらちゃんの言葉に弛んだ口元が引きつり、ふたたび頭を抱える。実に素直な感情表現に、実年齢はともかくこの子はまだ幼いんだなってちょっと考えさせられる。


「まあ、そうした苦労があったからこそ便利になったわけだから、わたしのような後発のプレイヤーからしたら感謝しかないよね」


 りんごひとつとっても、りんごジュースにアップルパイなど作れる料理は多岐にわたる。古典的なビデオゲームでは食料品を増やしても大した意味はなかったかもしれないが、この世界こそ現実に感じるFDVR版のゲームなら豊かな食生活は人々の幸福に直結する。


「お風呂の用意は終わりましたが、そちらはどうです? 何か手伝うことは?」


「ううん、ありがとう。ちょうど終わったとこ」


「そうですか。それでは料理を並べますのでこちらに」


 山賊のお頭、もとい献身的なメイドに戻ったサーニャに微笑み、完成した料理を手渡す。いつかその話もネタにしたら、きっとこの子は顔を真っ赤にして言い訳することだろう。そんな想像すら楽しくて仕方ない。


「はい、そんなわけで今夜わたしたちが頂くのは、ビーフシチューとベーコンエッグ。フライドポテトと食パンという、わりと簡単な料理になります。まだまだ研究段階なので、ありきたりなメニューになっちゃったのは勘弁してね」


「もぉー、相変わらずいい子だなアーニャたんってばさぁ。これを見て文句を言うヤツなんているわけないじゃんねぇー」


「うん、すっごく美味しそう……あっ、バターと生ハムまである」


「ほう? どちらも精製は面倒だと聞いたが、随分と奢ったな」


「すごいすごい、早く食べようよみんなぁ」


「うん、それじゃあ食材に感謝して……いただきます」


「『いただきます』」


 異界の地で、いつもと変わらぬ顔ぶれと食卓を囲む。


 ああ、本当にこの子たちは変わらない。成長しないという意味ではなく、根っこの部分……見ているだけで幸せになる笑顔がどこに行っても変わらないのだ。


「ねぇねぇ、こんなときに何だけど、夜になったらゾンビが湧くってマジ? もしかして家の外にひしめいたりしてんの?」


「んー、ひしめいてはいないだろうけど、家の外には居るね。朝になったら日光を浴びて消えちゃうんだけどさ」


「じゃあさじゃあさ、ゾンビを地下室みたいなところに詰め込んでさ、落とし穴か何かでなっちゃんをご招待したらすごいもんが見れると思わない?」


「おいっ、メシ食ってるときに笑わせんなよ……思わず想像しちゃったじゃねぇか」


「っ……見たい、けどっ……それをやったら、血で血を洗う抗争は確実じゃね?」


「ねぇー? なんか仕返しにさ、TNTを敷き詰めた黒曜石の牢屋を用意して……あれ? さくらなんか重要な作業をすると言って、ダイヤピッケルをチェストに預けて蓋をして出れなくなったことに気づいたなっちゃんが、必死になって救助要請する姿を幻視したんだけど?」


 異なる時代。異なる世界。果ては未到の三次元領域に築かれた電子と霊子の化合物になろうとも、彼女たちの笑顔は決して曇らない。その幸福は、過去を観測する遥か未来にまで波及する。


 むせ返ったわたしは、テーブルに突っ伏して肩を震わせる女の子の背中を見ながら、呆れ顔のメイドが差し出したハンカチで口元を拭うのだった。






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