N社の新型ゲーム機『We X』発売前実機配信 〜夜明けの炎刃王編〜
2012年7月20日(日本時間13:30)
世間が夏休み一色になろうとも、この任展堂本社ビルの賑わいが変わることはない。
もともと社内にいれば遊び相手に困らないという、ちょっと正気を疑うような理由で自宅に帰りたがらない社員も多かったそうだが、アーニャの登場と衝撃のファーストライブ以降、やはり社内で目につくのは経済界の重鎮たちの姿だ。
自分のような関連企業の人間もいないではないが、以前は接点すらなかった他業種の役員クラスが当たり前のように列を成している。
人種や国籍を問わず、表面上は穏やかに競争相手と意見交換する彼らは世界的な大企業の経営者たちだが、その中にいかにも日本人らしい青瓢箪の姿もちらほらと見かける。
何人か見覚えのある顔もなくはない。見るからに格上の財界人と臆することなく議論しているのはこの国の行政を担うキャリア官僚たちだ。
議論の内容が内容なので、初見の人間にはなかなか信じてもらえないだろうが、半年前の政権交代以降は革新的な時代の流れに対応するために、彼らが直接N社に出向いて法整備を行うことが増えた。
だが、それも当然だろう。世界はますますアーニャに首ったけだが、時代はまるで彼女に追いついていない。アーニャはもはや空前絶後のウルトラアイドルに留まらないし、彼女の活動を全面的にサポートする女史が世に出したオーパーツじみたテクノロジーもそうだ。
たった一枚の原画さえあれば現実の動作に追従して、流れるようなアニメーションを形成するL2Aに、いまやリアルタイムの音声変換すら可能になった自動翻訳は文字通り言葉の壁を取り払った。
他にもホログラムを実用化した立体映像投影機に、常温超伝導を実現したSUB合金を使用した半導体。そして例のトンデモ宇宙船に使用されたモノポール・エンジンを流用した発電所は、たった一基で一国の電力需要を完全に賄う始末だ。
人類史上最強のインフルエンサーと技術者のタッグに時代は、人類はまるで追いつけず、法整備は事実上の追認しかできない有様だ。そうした不始末を少しでも減らそうと彼らも必死なのだ。
だが、結果としてアーニャに追いすがった連中がここに迷い込み、解消の兆しすらない混雑を作り出しているのは厳然たる事実であり、彼らの相手を強いられることになった磐田社長のスケジュールは、かなりタイトに組まれていることは想像に難くない。
事前に面会の段取りを済ませたので待たされることこそなかったが、前が詰まってるので先客と同席になることに了解を求められたことからも、十分に察する余地はあった。
「それで富田さん、本日の御用はやはり経団連への加入の催促ですかね?」
「いやいや、それについてはもう諦めましたよ。少なくとも無理強いはしない。そういう結論になりましてね」
「おや、それは初耳ですね。うちが必要としてない融資の話を再三にわたって持ち込んだのは、そこを突破口にして役員の席を確保し、経営に口出しをするためでしょうに。そうしてうちを普通の会社にして、将来の天下り先を確保するのがこの国の財界・官界・政界の総意だと思いましたが?」
「さて、あまり迂闊なことは言えませんが、少なくとも私ども経団連の認識とはいささか異なりますな。所属企業の自主的な発展と成長を尊ぶのが私ども経団連の基本的な立場ですから」
だが、よりにもよってこんな大物が先客だなんて、聞いてないにもほどがある……。
Re:liveの提携企業であるRevisionの代表として、N社から新型ゲーム機『We X』の現物提供と、使用許諾の契約締結のために社長室に通された鈴木健太郎は、久しぶりにストレスで頭が痒くなるのを感じるのだった。
「ほう? それにしては御用新聞の日Kが『N社の新型ゲーム機We Xが失敗するこれだけの理由』という、N社憎しの情念と、憶測のみで成立するような記事を掲載していましたが?」
「私は止めたほうがいいと思いましたがね。そこは磐田さん、ジャーナリストの正当な言論活動だ。私どもが口を出す筋合いではないでしょう」
そう言って磐田の追及を 躱した男の名は富田明夫。
日本の経済界を代表する経団連の会長であり、同業他社が対抗するには国を味方につけるしかないとまで言われる世界的な自動車メーカー、トミタ自動車の社長を務める辣腕家──それが磐田と修羅場を演じている男の正体であった。
「ですが、それについては私のほうこそ磐田さんにお伺いしたい。今やアメリカの主導で大々的なライセンス生産が行われることになりましたが、世界的な需要に対してまるで追いつかず、価格が高騰している例の半導体を使っているのに、We Xの逆ザヤはまったく生じていないと?」
「ええ。私どものWe Xが使用しているのは、SHさんに出資したサーニャさんの工場で造られたものですからね。SHさんから既存の常識では考えられないほど製造工程が洗練されていて、驚くほど低コストで仕上げることができたという話を伺っていませんか?」
「たしかに聞いていますな。そちらで作られたものは再来年まですべてそちらに納品されるということも。……なるほど。またしてもそちらは上手いことやったわけですな」
……険悪な雰囲気ではない。むしろ朗らかな笑顔で見えない火花を散らしている。
でもそういう話は自分のいないところでしてほしいと健太郎は思った。
まったく何が悲しくて、こんな雲上人どもの有り難い鍔迫り合いを拝見しなければならないのか。
こちとら面倒な財界の政治力学とようやく縁切りできた人間なんだよ。売り上げや関連各社への配慮に頭を悩ます必要がなくなって、やっとこさ抜け毛が治まった頭皮のダメージが復活してくれたらどうしてくれる。ストレスが頭皮に反映される体質なんだよ、こっちは……!!
「ふむ……富田さんの目的はそれですか? We Xの発表でS社が家庭用ゲーム市場から撤退を検討しているという話は伺っていますが、経団連の会合で泣きつかれて交渉に来られたと……鈴木さんはこの件で何か聞いていますか?」
しかもこのタイミングでこちらに話を振るか?
たしかにRevisionには出向という形式を取っているから、籍はまだS社に残ったままだし、情報も入ってきているが……もとから家庭用ゲーム部門とは関わりがないんだがなぁと嘆きつつも、大事な取引先の質問に答える。
「ええと、磐田社長が仰っておられるのは例の空白の2時間ですね。実はそちらのWe Xの発表に合わせて、S社の家庭用ゲーム部門も安価なゲーミングPCに仕上げた新型を発表する予定でしたが……」
「N社のWe Xとのあまりの性能差に、これは勝負にならないと新型の計画を白紙に戻したんでしたな」
「よくご存知で……」
興味深げな財界の大物の前で、陰キャの本領を発揮して気配を消す。顔と名前を覚えられ、今後も関わることになるのはゴメンだ。
「なるほど。そういうことならサーニャさんの工場に余裕があると伺っていますので、そちらの分をS社が受け取れるように交渉してみますか。おそらくですが、たぶん通ると思いますよ」
「よろしいのですか!?」
だが、これは失敗した。磐田の口から飛び出した思わぬ提案に食いついてしまったからだ。
「ええ、競合他社が存在しないジャンルは廃れるものですし、これだけの成果を持ち帰れば富田さんの顔も立つし、鈴木さんが社内で軽んじられることもないでしょうから、一石三鳥ですよ」
たしかに磐田個人としてはそういう見方も成立するだろうと富田は認めた。だがN社全体としてはどうか。
ライバル企業へのテコ入れという前代未聞の事件によりS社の逆襲を許し、シェアを奪われては本末転倒だというのに、この男は自分たちへの戒めのためにそれを歓迎するかのように微笑っている。
「やはり貴男は困った方だ。本当にただ面白そうだというだけの理由で、吾々には想像もつかないことをしでかしてくれる。まったく、アーニャ嬢もそうだが、そういったところもN社の遺伝子ですかな」
富田はどこか感心したように、それでいて苦々しそうにため息をついた。それが意外だったのか、磐田肇は天才の評判に恥じない頭のキレを見せて追求した。
「おや、本当にS社に請われて交渉に来られたわけではないと? そうなるとやっぱり、こちらの動向を探るのが本当の目的でしたか?」
「いえいえ、そちらに裏はありませんよ。今日は本当にアーニャ嬢のWe X実機配信に先立ち、ご機嫌伺いの表敬訪問のつもりでしたが……」
と、そこで言葉を切った富田は、意味ありげに健太郎を見つめてきた。嫌な予感を覚えた健太郎は再び気配を消したが、残念ながらカラオケの順番のようにはスルーできなかった。
「アーニャ嬢の動向から目を離せず、神経を尖らせているのは当たっていますな。鈴木さんならなぜそうなるのか説明できるのでは?」
マジかよ。こっちにそんな話を振るなよと胸中で毒突きながらも、生来の生真面目さから健太郎は失礼のないように返答する。
「まあ、アーニャに自社製品の紹介をして欲しくないと思ってる企業は存在しませんからね。相手は未成年だから案件漬けなんて論外となると、向こうから食いついた瞬間は逃せないでしょう。見事に食いついて、3Gを全世界で1億2000万本も売り抜けたC社の華麗な成功を見れば、余計にそうなりますよね」
「それですよ。それなんですよ、問題は」
磐田肇と見えない火花を散らしていたときと比較すれば相当上機嫌に、満足そうに微笑してみせた富田明夫はようやく胸襟を開く心境になったのか、不幸にも同席した鈴木健太郎を巻き込んで多くの企業が抱える悩みを開陳しだした。
「例えば年末にアーニャ嬢が配信中に『スバルの歌』を即興で披露したのを覚えてらっしゃいますかな?」
富田の言葉に磐田が相槌を打つのを見て、健太郎も控えめに同意の言を述べた。
「はい、アーニャの言うスバルが何なのかは、けっきょく判らずじまいでしたが……」
嘘である。一応はRe:liveの関係者として、所属演者の個人情報を把握している健太郎には何のことか想像がついた。
泣き虫なっちゃんの愛称で知られるRe:live1期生、芹沢菜月こと鴨川昴を揶揄した歌であること明白だが、それは部外者である富田の前では言えないことだった。
「そう、アーニャ嬢の言うスバルが何なのかは判らない。だから世界中でおよそスバルと名の付くものが買い漁られた。その結果、自動車メーカーのスバルは、今年度分の新車予約が前年末に完売。中古市場でも新車以上の価格がつけられることになったわけですが……同じ自動車メーカーとして言わせてもらえれば、自動車というものは急に人気になったからといって、増産が間に合うというものでもないのですよ」
よって同社の経営陣は、予測不可能な幸運により12年度の新車が完売したことを喜ぶ一方で、こうなると知っていたら大規模な増産に備えたのにと悔しがったという。
「その例で言うと、GW中に一世を風靡した替え歌もこれに当たるでしょうな」
「ああ……例のアーニャが箒星みい子に贈ったという、彼女のテーマソングをアーニャ自身が10年前のOVAの主題歌に繋げた……」
「君は完璧で究極のゲッサーですよね? 実は私もすっかり洗脳されて、携帯の着信をそれにしたほどですよ」
磐田の言葉に笑みを誘われた健太郎が「自分もそうですよ」と応じると、思わず失笑した富田も笑顔で白状するのだった。
「吾々の販売店でも有線の代りにアーニャ嬢の楽曲を流して久しいですが、一時期は本当にあればっかりだったそうで……私も時間があるときは、ついついあの曲を流してしまいますな」
「わかりますよ。疲れているときに聞くとテンションが上がりますからね」
財界トップや変人の磐田社長ですら逃れられないとは、げに恐ろしきはアーニャの影響力、いや感染力かと健太郎は笑ったが、残念ながらこの話も笑い話では終われなかった。
「ま、こちらも現在のようにインターネットでのデジタル版の販売網が構築する以前の作品だったために、残念なことにせっかくの販売機会を逃してしまったわけですが……吾々はそうならないように本社はもとより、世界中の支社や販売店のあらゆる部署に合計で10万を数える社用アカウントを配布し、YTubeの配信は当然として、SNSや匿名掲示板の監視も行なっていましてね。あらゆる意味でアーニャ嬢の動向から目を離せないわけですが……社運を賭けたWe Xの実機配信を目前にした磐田社長はどうかなと思いまして、本日は面会を申し込ませていただいたわけなんですよ」
「なるほど、ようは激励にいらしてくださったと。誠に有り難い話で、富田社長のご好意には感謝の言葉もありません」
NDSの発売日にフラフラと東北に出向く男がよく言うよと健太郎は呆れたが、富田の懸念は我が事ように理解できた。
アーニャ登場直後は世界中の企業が商業利用しようと躍起になったが、子供は好きに遊ばせるのが一番だとする磐田社長のN社と、その方針に全面的に賛同するRe:liveの中村代表によってそちらの導線を断たれ、選ばれる立場を自覚しようとも無関心ではいられない。
あの歌にあるように、アーニャはまさに金輪際現れない綺羅星の生まれ変わりのような存在なのだから。
「ふふ。いずれにしろ、こうして磐田社長と胸襟を開いて語り合う場を得られたのは有り難いかぎりですな。……いい機会だからお伺いするが、アーニャ嬢の配信に台本のようなものは? そちらの仕込みはどこまで及んでいるのですかな?」
「いえいえ、アーニャさんの配信は彼女の心が赴くままに行われていますからね。台本なんてとんでもない」
妹をはじめとする所属ライバーにせっつかれて、We Xの実機を持ち帰る予定だった健太郎は丁々発止のやり取りに、えらいタイミングでお邪魔しちゃったなとため息をついた。
この分では貰うものを貰ったら帰るわけにもいかないだろが、幸いにもアーニャの配信に理解のある二人だ。長引くようならスマホで視聴しても怒られまい。
N社のライバル企業であるS社の若手幹部社員にして、Re:liveの提携企業であるRevisionの代表でもある鈴木健太郎は、アーニャが今日の配信で何をやらかすかと想像して不謹慎にも口元を歪めるのだった。
◇◆◇
2012年7月20日(日本時間14:00)
「くしゅんっ」
大事な配信だっていうのに開始早々にくしゃみが出た。
おかしいな。体調にはわたしのメイドが万全を尽くしてるのに、誰かうわさしてるのかなと鼻を噛むと、コメントが「くしゃみ助かる」で埋まった。
未だにどういう意味で助かるのかチンプンカンプンだけど、こういうところはどんな時代でも変わらないんだなっておかしくなる。
ピンクの巫女さんもトロンボーンの演奏中におならをしたときは、誤魔化すのに苦労してたっけ……いけないいけない。みんな見てるし、挨拶はきちんとしないと……。
「こんにちは、N社公式VTuberのアーニャです。今日から夏休みだね。来週発売のWe Xを楽しみにしてるみんなには申し訳ないけど、こっちには実機が届いたのでゲストのみんなと遊んでいくよ」
わーっと笑顔で拍手する一同に囲まれて、まずは必要事項の伝達から済ませる。
「といっても同じ日に発売されるゲームを全部プレイするのは無理だから、Re:liveのみんなの力も借りてるんだけどね。このあと2時半からハルカさんとエリカさんがZの伝説の新作『野生の息吹』を。3時からグラちゃんと茉莉ちゃん……あとラプちゃんが『おいでませ動物の杜』を。杏子さんとなっちゃん、美緒さんとフーたんが『スプラッシュ・トゥーン』を。ココさんとぽぷらちゃん、あずにゃんが『Mメーカー』を遊んでいくみたいなので、気になる人はマルチ視聴システムを活用してくださいね」
目配せするまでもなく、サーニャがグループ配信のサムネイルをピックアップしてくれたので順番に紹介すると、出番が待ちきれなくてウズウズしてる社畜ネキさんたちが目に入ったのでこちらの概要を伝える。
「ま、そんな感じで頼りになる後輩たちが話題作を全部持っていってくれたので、このアーニャちゃんねるでは、遠慮なくアーニャ個人の趣味に走れるんだよね。……というわけで、今日からやっていくゲームがこちら」
ドドンッと効果音付きで表示されたのは、We X版マイクラとでも呼ぶべき『Mクラフト』であった。
「We X本体にプリインストールされた実質無料配布も同然のこのゲームが何なのか、海外ニキなら知ってる人も多いんじゃないかな? うん、そうだね。海外のメーカーがPC用のゲームとして発売したマインズクラフトというゲームをN社が買い取り、好き勝手に魔改造したのがこれなんだよね」
実際の画面を見れば一目瞭然。魔改造という評価に異論はあるまい。
何しろグラフィックがMODを導入したみたいに綺麗になった、デフォルトの主人公が赤と緑の配管工の兄弟に変更されただけでは無論なく、お馴染みの土管やらキノコやらのブロックが豊富に追加され、UIやら何やらも一新されたのだ。やりすぎでしょ。
こんな見た目でもPC版のオリジナルとのクロスプレイが可能なんだから恐れ入るしかないね。やりすぎだけど。
「世界を構成する地面や木が、すべて再配置可能な立方体のブロックで出来ているこのゲーム。知り合いに言わせると、地殻を丸ごと掘り返して自分だけの惑星を造るのが醍醐味なんだって。……というわけで、今日のゲストはこの方! PC版もプレイ済みで、N社内のテストプレイにも参加したというフラグメントのお二人! 箒星みい子さんと桜田教授です!!」
またしてもわーっという拍手の音と一緒に、今度は画面右端から夏服のみい子さんと、園児服を免除されたさくらちゃんが笑顔で入場してくる。
「綺羅星の如く現れたスターの原石! Re:live1期生、アイドルVTuverの箒星みい子です。みぃちゃんはぁ〜?」
「同期の情けで今日も見た目だけは可愛いと言ってやろう。描いたのはアーニャたんだから当然なんだが」
「は? 見た目だけ?」
「待たせたな。いずれ世界を征服する女。Re:live1期生、エリートVTuberの桜田教授が、今日はお前らにマイクラの何たるかを指南してやるぞ」
「ねえ、見た目だけじゃないよね? 意外と可愛いところがあるって言ってくれたじゃん? それともなに? 見た目だけしか可愛くないの? ふぅーん、さくらってばみぃちゃんのカラダしか興味ないんだぁ……?」
「やめてよ! こっちがウンと言うまで引き下がらないのさぁ……そういうところが怖いって言われるんだって、お願いだから気づいて……!!」
うん、こうして聞いているとみい子さんの迫力にタジタジのようだけど、実際のさくらちゃんは半笑いだ。
相変わらずいいコンビだなぁと感心しつつ、待ちきれない様子の社畜ネキさんも紹介しないと。
「今日はのっけから仲がいいマイクラガチ勢のお二人に、マイクラ初心者のアーニャが色々と教わる予定なんだけど、一人じゃ心細いんでもう一人生徒さんを募集しました。それがこの方」
「はいはぁーい! 元気してるかお前ら? 今日はココさんのあさココライブニュースと、ソラたんのVTuberジャーナルに続いて引っ張り凧のRe:live0期生! アーニャたんの永遠のパートナー、永遠に17歳の社畜ネキです!! って、誰だよいまチェンジとかまたこいつかよって言ったの!?」
登場するなり笑顔で荒れ狂う社畜ネキさんを「まぁまぁ」と宥めつつ、最後に一番大事な二人を紹介する。
「というわけで、今日はマイクラプレイ済みのみい子さんとさくらちゃんが教師役、未プレイのアーニャと社畜ネキさんが生徒役で配信するんだけど……We Xの仕様や、技術面の解説もすることになるからサーニャともう一人、制作サイドのお客さまも呼んでいます。さあ、どうぞこちらに」
わたしがそう促すと、サーニャに背中を押されたターニャちゃんが観念したように入場してきた。
「こちらのお客さまはターニャちゃん。先進的なVR技術の特許を幾つも持っていて、We Xに搭載されたVRモードの開発にも尽力されたんですよね」
わたしがそう言うと技術者のプライドが刺激されたのか、ターニャちゃんは若干機嫌が持ち直したようにうなずいてくれた。
「うむ、タニア・ストリャロフ・タカマキだ。長いのでターニャで結構。いや、大変だったぞ。制作サイドの要望と、こいつの立体映像投影機との擦り合わせは。まったく、VRモードの360度パノラマディスプレイが実現したのは全面的に私のおかげだな。感謝しとけよ」
誰に似たのかフフンと薄い胸を張るターニャちゃんの言葉に、コメントのみならずサーニャを除いた出演者一同もざわつく。
「えっ、タカマキって……もしかしてターニャたんってサーニャたんの妹ってオチ!?」
うんうん、こういうときに斬り込み隊長を務めるのも社畜ネキさんのいいところだね。おかげで話が早くて助かるよ。
「はい、愚妹ですね」
愚妹呼ばわりにターニャちゃんが悔しそうな顔になるが、反論しない。罰ゲームとしてそういう設定を受け入れた以上はまっとうするつもりなのだろう。
「どういうところが愚妹なのぉ?」
「それはもう未だにおねしょが治らず、姉離れできないだけなら可愛いものですが、私の職場まで押しかけ、私の天職であるメイドを辞めさせて連れ戻そうとする妹は、愚妹と呼ぶしかありませんね」
社畜ネキさんに続いてさくらちゃんが訊ねると、追い打ちをかけるようにサーニャの口からさらなる設定がこれでもかと追加される。
本人は罰ゲームのつもりで合わせるって言っていたけど、涙目で無言を貫くターニャちゃんを見ていると、なんというか酷いな……。
「あー、そうだったんだ……みぃちゃんにも妹離れできないお姉ちゃんがいるけどさ、本人に悪気はないからあまり気を落とさないでよ……」
ま、ターニャちゃんの諸設定を、紹介の場にいなかった社畜ネキさんたちに伏せたままだったのはサーニャの狙い通りで……その甲斐あってみい子さんのみならず、視聴者のコメントも『ドンマイ^^』と同情的で、受け入れの土壌は整ったわけだから、この犠牲も無駄ではなかったと思うとしよう。
「そんなわけで、大好きなお姉ちゃんを連れ帰れないなら自分もメイドになって一緒にいるってアーニャの手伝いをしてくれることになった、ターニャちゃんに盛大な拍手をお願いします」
最後に盛大な拍手のなか、トドメを刺された感のあるターニャちゃんが羞恥に悶えたが、これも定めよ。
悪いことしたら罰がある。そんな当たり前の社会常識を学んでもらうためにも、わたしは心を鬼にしてターニャちゃんの紹介を締めくくるのだった。
そのあとは膝を抱えて涙を堪えるターニャちゃんそっち退けでWe Xを起動して、インターネットやユーザーアカウントなどの設定を済ませる。
「ねぇ、S子。この位置情報の現在地を自宅に設定しますかって何か聞いていい? なんか必須じゃないみたいだけど、VRモードで遊ぶためには必要みたいなことを言われたんだけど?」
「ああ、それは日本の法律では屋外でのホログラムの使用に制限があるからですよ。周囲の景色を塗り替える立体映像投影機能を、無制限に路上で使っては事故の原因になりますからね」
「あ、言われてみればたしかに……」
「なるほどねぇ……そうなるとVRモードでのプレイは、基本的に自分の家でしかできないことになるのかな?」
「もしくは管理権者が使用を許可した屋内のみですね。GPSの位置情報はかなり厳密に追跡されていますから、3DNSのように子供たちが気軽に集合住宅のエントランスに集まって、ということもできません。窮屈ですがご理解いただきたいところです」
みんなの素朴な疑問に答えたサーニャが呆れたように半べその妹分を見やる。
「ほら、そろそろ貴女の出番ですよ。いつまでも泣いてないで仕事をなさい、仕事を」
「ぐっ、分かっとるわ……まったく、私のような人類の叡智になんたる仕打ちか。おのれ、いまに見ておれよ……」
ゴシゴシと両眼をこすったターニャちゃん前に出る。
ちなみに一連の挙動はかなりのオーバーアクションだったが、もはや本人が泣いてないと主張しても誰も信じてくれなかった。
「さて、We Xの設定が終わったようだから説明にはいるぞ? We Xにはみっつのプレイモードがある。ひとつはこのまま手にとって、備え付けの超高精度液晶を見ながらプレイする携帯モードで、もうひとつはテレビやゲーミングPC用のモニターに接続した専用のドックに搭載して、本体から分離したコントローラーや、別売りのプロコンでプレイする据え置きモード……そして最後にストッパーを展開して、本体の液晶をテレビ画面に見立ててプレイするテーブルモードだが、基本的に貴様らが執心のVRモードは据え置きモードかテーブルモードでしか起動できない」
ふむふむと相槌を打つわたしたちの前で、ターニャちゃんはその理由も説明してくれた。
「なぜ携帯モードのときだけ使えないかと言うと、本体の液晶が立体映像投影機を兼ねているからだ。携帯モードでプレイして画面が揺れれば、周囲に展開しているホログラムも揺れる。よって本体を揺らさずに済む据え置きモードかテーブルモードでしか使えないわけだが……内蔵バッテリーの容量を考えると据え置きモードでの使用が無難だな。一応デーブルモードでVR機能をオンにしても、4時間は使えるように設計したがな」
「そうなんだ。今日は一応据え置きモードでVR機能をオンにしてマイクラをやる予定なんだけど……いまさ、わたしん家の配信部屋に集まって、四人で配信してるわけじゃない? だからあんまり距離が取れないけど、一度に起動しても大丈夫なのかな……?」
「ホログラムの相互干渉か? その辺りは心配いらん。外から見たら複数の景色が混ざり合っているように見えるが、本人の網膜には正常なデータが届けられ、We Xと接続した配信画面にもそちらの映像が流れるようにできている」
おおっ、それはなんとも至れり尽くせりである。
「まあ、ホログラムの展開はマイクラのワールドが起動してからになりますがね。本日は発売前のテストプレイという形式になりますから、N社が用意した専用のサーバーでプレイすることになります。タイトル画面からマルチプレイを選択して、使用するキャラクターを選んでください。自作も可能ですが、Re:liveのVTuber専用のキャラクターも用意されているのでそちらを使っていただければ」
「あっ、本当だ。さくらもいる」
「みぃちゃん見っけ……うーん、名前もみぃちゃんでいいか」
「お姉さんも社畜ネキと……うわっ、めちゃんこ嬉しそうにダンスした!?」
「めちゃんこって初めて聞いたな……アーニャもアーニャと、これでヨシ」
そうしてターニャちゃんとサーニャの説明も終わり、全員がそれぞれのスキンを着用したキャラクターを作成し──We Xの立体映像投影機能が起動して世界が塗り替えられる。
……この感覚は何だろう?
ファーストライブ以降、何度か触れたことのあるホログラムの光とは似て非なるもの。
どちらかって言うと、この感覚はわたしがVTuberとしてデビューしたときに似ている。
未知の、まったく知らない世界に飛び込んだときなのような興奮と、そして不安。
おかしいよね。わたしはホログラムを使ったVRの環境でゲームをしているのに、こんな気分になるなんて──。
「──、……」
目を開けると、そこにまったく知らない世界が広がってた。
雄大な大自然は、実写すら朧げに感じるほど鮮明に。
雨が降った後なのか、濃厚な植物の香りがそこかしこから漂っている。
これがマイクラの世界?
そんなワケはないのだ……。
「やっぱりおかしいよね……サーニャたちの話じゃ、より先進的なVRでも味覚と嗅覚に干渉するのは禁じられてるって言ってたのに……」
あまりに濃密な映像に脳が錯覚してそう感じているだけだろうか?
そうかもしれない……だけど仮にそうだったとしたら、いまもすぐ傍にいるはずのみんなの声が聞こえないのは、サーニャとの繋がりのようなものすら感じられなくなったのは何故なんだろうか……。
「なんでか判っちゃう自分がちょっと嫌だなぁ……配信前に感じた違和感の正体はこれだったんだね」
……そうだ。
ターニャちゃんがわたしの存在を識っていたように、わたしが誕生したこの世界線から分岐する未来の人類はにとってアーニャの存在は既知のものだったんだ。
ならばターニャちゃんが何らかの形でわたしを利用しようとしたように、他の未来人たちも面白半分で干渉してきてもおかしくない──。
「無事ですかゆかりッ!?」
そんな結論を出そうとしたタイミングで、背後からギチッという何かが軋むような音がして驚きながら振り返ると、そこにはターニャちゃんの首根っこを掴んだサーニャが飛び込んでくるのだった。
「うん。見ての通り五体満足で健康でいるよ、サーニャ」
再び温かく大きなものと繋がったような気がして安心して微笑むと、サーニャが泣きそうな顔で謝罪してきた。
「申し訳ありません! 事前に察知できれば阻止できたのですが、私たちが至らぬばかりにゆかりに無用な危険を……」
「いいよいいよ、ちゃんと助けに来てくれたんだし……それで帰れそう?」
心配性のメイドを抱きしめて、よしよしと背中をさすりながら訊ねると、耳元で苦しそうに否定する言葉が聞こえてきた。
「それも、申し訳ありません……咄嗟に追いかけることはできたのですが、座標の特定には至らなかったので帰還の目処は……」
「そっか……やっぱり未来人の仕業かな?」
悔しそうに滲ませる涙を拭ってから目を向けると、未だに首根っこ掴まれたままのターニャちゃんが全力で否定してきた。
「わたしじゃないぞ!? そんなことができるんだったら、貴様らをどうにかする前に身の安全を図ってるわ!!」
まぁそうだろうね。この子が犯人なら、いまにも死にそうな顔をして連行されたままでいることに説明がつかないもんね。
「とりあえずサーニャはターニャちゃんを離してやってよ。わたしも詳しい話を訊いてみたいし」
「ゆかりがそう言うなら……おかしな真似をしたら解っていますね?」
「しないわっ!! したくてもできないことは、わたしを拘束するにあたって一切合切を没収、封印した貴様が一番理解してるだろうが……!!」
興奮のあまりすごい顔をするターニャちゃんだったが、拘束こそ解除したもののサーニャは額面通りに受け取る気はないらしく、依然として警戒を解かない。
まっ、言ってみればわたしが目の前で拉致同然にこの世界に連れ去られたワケだから、犯人の特定が難しい現実では、サーニャが前科持ちのターニャちゃんを警戒するのは分からなくもないけど……なんというかこんなときだというのに落ち着いていると、なんか悪いことをしているみたいで居心地が悪いな。
「よし、とりあえず整理しようか? ここはMクラの世界でもないし、ターニャちゃんがわたしたちを監禁するために用意した世界でもないんだよね?」
じっと目を見て訊ねると、ターニャちゃん少しだけ気まずそうにしながらわたしの言葉を肯定してくれた。
「ああ……いまの私にそんな力はないし、今さらながらに前非を悔いたアレックスの奴が余計な真似をしたわけでもないようだ」
「それじゃあ別の未来人? ターニャちゃんがわたしを識っていたように、別の未来人たちが何らかの思惑で干渉してきたってことはないかな?」
「だとしたら乱暴に過ぎます! ゆかりは誤解してるかもしれませんが、未来の世界にも法はあります。仮に今回の件が彼らの仕業ならば、協定成立以前の時代への干渉を禁じた時空間因果規制法を筆頭に、幾つもの人理定礎を揺るがしかねない重大犯罪です。さすがの彼らとて、面白半分にそんな危険な橋を渡るはずが……」
それは未来を知るサーニャにとっては常識的な見解かもしれなかったが、まさにその時代を生きるターニャちゃんは一笑に伏せるのだった。
「たしかにこれが拉致のつもりならそういった解釈も成り立つが、好意のつもりならどうだ?」
思わぬ指摘に目を丸くするサーニャの前で、ターニャちゃんは「見ろ」と近くの木を叩いた。
何度か小さな手で叩かれたそれは、やがてポコンッというコミカルな音を立てて茶色の立方体へと変化した。
「私は私の手引きであることは否定したが、この世界がマイクラの世界であることは否定しなかった。その答えがこれだ」
吐き捨てたターニャちゃんが投げてよこしたブロックを手に取り、しげしげと眺めながら重力を無視して浮いたままの木の隙間に置こうとすると、まるで魔法のように吸い込まれて何事もなかったようにもとの姿にもどった。
「少なくともマイクラのシステムは生きているわけだ。ならばこれを仕組んだヤツの思惑もわかるだろう」
「……どうせやるならこっちのほうがいいよねって言いたいんだよね、わたしをエスコートした未来人はさ」
「そんなところだ。貴様個人はともかく、せっかくVR関連のゲームに手を出そうというのに、今さら西暦2000年代の骨董品を見せられても、目の肥えた未来人どもは退屈だろうさ。だから有り難くもテコ入れして、最新の環境をクラウドゲーミングよろしく遠隔サービスしてやろうって魂胆なのさ、あの連中はな」
吐き捨てる言葉にも、表情にも複雑な感情が見え隠れするが、ともあれこれでわたしのやるべきことは判った。
「……ふたつだけ確認してもいいかな? まず、YTubeの配信との接続が有効かどうか。それと社畜ネキさんたちが巻き込まれてないか判る?」
考えを整理しながら訊ねると、二人は同時に顔を曇らせた。
「それは……すまん。今となっては確認する術がない」
「誠に申し訳ありませんが、私もですゆかり。せめて本体との接続が機能していれば、もう少しまともな答えを返せるのですが……」
「本体との接続も断たれちゃったの? それは一大事だね。急いで行動しようか」
二人はどうしてわたしがこんなに暢気にふるまってるのか理解できないようなので説明する。
「だってサブちゃんってばお母さんに会うために千年の時を遡ってきたんだよ? だったら急に所在が知れなくなったわたしを心配してどんな無茶をするか想像もつかないでしょ? 今は無理でも今度はまた千年、なんなら一万年くらいかけて進化してさ、あらゆる世界を自由に行き来するロボットに乗り込んで『無事ですかゆかりッ!?』なんてやられたらさ、せっかくのマイクラが台無しになると思わない?」
それはわたしのなかで信頼を超えた確信のような結論だった。
あの子なら必ずそうする。サーニャが何の迷いもなくわたしを助けにきてくれたように、サブちゃんもわたしを取り戻すことを決して諦めないだろう。
その確信があるからわたしはこうも落ち着いているのだ。
「ま、言わんとしていることは解らんでもないがな……おいどうした? そんなに真っ赤になって小娘のように恥ずかしがりおってからに?」
「……貴女には関係のないことです。黙っていなさい。処しますよ」
珍しく立場が逆転したようにも見えたが、ほどなく元の力関係に戻った二人に微笑みながら天を仰ぐ。
ここまでしたんだから確実に視ているだろう。
こっちの都合を無視して強引に割り込んできたのは頂けないが、誰か一人でも視ているというならアーニャのやることはいつもと変わらない。
この世界を全力で楽しみ、視てる誰かも全力で楽しませるだけだ。
「さ、二人とも配信中だよ。とりあえず何ができるか、マイクラのシステムと照らし合わせてひとつひとつ確認していこうか」
そう言えばこんなふうに何の脈絡もなく異世界編に突入した漫画があったなぁ、と旧い記憶を物色しつつ、まさか自分もそうなるとは予想だにしなかったわたしは両手を打ち鳴らし、まずは険悪なメイドたちの手綱を引き締めるのだった。
◇◆◇
そんな結論を出した少女を見守る何者かが存在するかどうかはさておき、当然のように巻き込まれた彼女たちは悲嘆に暮れてなどいなかった。
「おおおっ、すっごぉおおい! さすが新型……グラフィックが格段に進化してるぅううう!!」
「だよねぇー、さくら……ところで普通にホログラムでプレイするって話だったけど、みぃちゃんたちの姿がライブのときと同じ3Dモデルなのに、服が脱げそうなのってなんかおかしくない?」
「馬鹿か!? 脱ごうとするなよ、アーニャたんの配信だぞ? 箒星が裸になった所為でアーニャたんのチャンネルがBANされたらどうする気だ!!」
「そんなセリフはそっちの人に言ってやってよ。ねぇー社畜ネキ、服を勝手に脱いだらダメだってさー」
「脱がねぇよ! そりゃアーニャたんがどこまで描き込んでくれたか気になるけどさぁ、そういうのは本人のいないところで勝手に見たりしたらダメだろ!?」
「相変わらず変なところで真面目だよね、社畜ネキは……ところで自分のカラダだから判るんだけど、確実にTKBはあるとみた。気になるんだったら内緒で見てみる?」
「ねぇー、やめてやめて! そんな思わせぶりなことを言ってお姉さんを誘惑しないで!? ただでさえ入居したら確実に堕落すると判ってるからさぁ、アーニャたんに誘われたのに断って府内のマンションで一人暮らししてるんだから、そんないけないスキンシップを持ち掛けないでよぉおおお!!」
「おい箒星、社畜ネキで遊んでないでアーニャたんと合流するぞ。せっかくアーニャたんの配信に混ざれたのに、映らずじまいじゃフラグメントの名折れだからな」
「あいよ、了解。……でもどうやって合流するん?」
「とりあえずチャット画面は開けたから、そっちのほうにメッセージを打ってみる。ええと『アーニャたんどこ?』でいいかな?」
「さくらたん、しっかりしてんねぇ……こりゃアーニャたんがマイクラの講師役として呼んだのもあながち見当はずれじゃないってかぁ?」
「まぁさくらはね、箒星を一人前に育てた女だからにぇ。これくらい軽いもんよ」
「ねぇーさくらぁ、そうやって何かあるたんびにマウントを取ってくるのやめてくれる? うちらはもともと半人前同士が助け合おうっていうフラグメントよ? こっちだってさくらのことを立ててやってんだからお互い様でしょ? そういう契約なんだしビジネスなんだから、いつまでも過去にこだわらないでパートナーを尊重しようと思わない?」
彼らは忘れているのだろうか。綺羅星の彼方に霞む光点が、実は太陽の数億倍の質量を持つ恒星であることもザラにあると。
アーニャのみを狙い撃ちにした誰かの思惑はこの三人によって破綻することになるのだ。
ちなみにこんなサブタイトルですが「よっしゃあああッッ」で終わらせる気はないので、そこは安心してください。
最近は半年ぶりにモンハン熱が燃え上がった所為で投稿頻度が下がってますが、いくらやっても狂化2のお守りが出ないのでそのうち見切りをつけると思うので、そのときはよろしくお願いします。




