エピローグ
「というわけでボス。ナタデ・ドコの脅威はじきになくなるでしょう。これでようやくうちの『カフェイヌ』と『プロテイヌ』が売れますよ。」
「おお、よぉやったのぉ。おめぇらの動きぁアネッサのインスタできっちり見ちょったでぇ。ワシらの薬がヤポンにだけぁ流れんよう注意しようのぉ。」
ボスがそう思うのも無理からぬことだろう。
「アンタぁ。ただいまぁ! 会いたかったわぁ!」
姐はボスに抱き着いて額にキスの嵐を送っている。
「お、おお。ヤポンはどうじゃったかぁ?」
「楽しかったよぉ! アンタもアタシのインスタ見てくれたんよねぇ? 『ええほ』押してくれた?」
「おお。押したでぇ。楽しそうじゃったのぉ。」
「ありがとぉ。あ、これお土産ねぇ。例のナマウニ会からのもあるんよぉ。」
姐がボスに渡したのは只野会長から渡された物だった。さっそく中身を開けてみるボス。
「なんじゃあこらぁ?」
それは肖像画だった。
「あらぁ! アンタとアタシじゃん! うわぁよく描けてるわねぇ! アンタの凛々しさがよく現れてるわぁ!」
「おお、お前の美貌もじゃあ! ん? この背景は……ワシの生まれ故郷、ドイナ村か?」
「へぇー! さすが只野会長ね! 気を利かせてくれたのね!」
「あんな所を知っちょってくれたとぁのぉ。嬉しいでぇ!」
立派な肖像画を見て喜ぶ二人。喜べないのは手下だった。ボスの事を生まれ故郷まですっかり知られているということだ。身震いしつつも、これからも国内だけで堅実にガイヤーンの薬物を売っていこうと決意する手下だった。
ヤポンで違法薬物ナタデ・ドコが流通することは二度とない。しかし、第二第三の違法薬物が現れないとは誰にも言えない。
とうとうナタデ・ドコの元締めは見つからなかったのだから……
なお、手下は三田女史と1日に数回はメールをする仲となった。