謎の元締め
オオエド国際空港。姐と手下は三田に送ってもらいここまで到着した。
あれから只野会長を始めナマウニクルセイダーズの面々が動き始めため、根絶も時間の問題だろう。何せ彼らはゴクドーの事務所に殴り込んだ際、生産農家の情報すら抜け目なく集めていたのだから。
『ナマコとウニを愛でる会』は愛国者の集団である。ナタデ・ドコなどと言う国を揺るがす危険な秘薬の蔓延を許すはずがないのだ。
これで国内からナタデ・ドコは一掃されるだろうし、ナタ中の治療も進むことだろう。
ただ、残された問題は製造元がついに分からなかったことだ。
『菜蓼』を生産する農家は潰せるだろう。売買する組織も然りだ。しかし、菜蓼から『ドコサヘキサキシリボ核酸化合物P-4』を抽出、精製した製造元、すなわち元締めがどうしても発見できないのだ。ナマウニクルセイダーズの力を持ってしても。
手下はそこに一抹の不安を覚えていたが他国のこと故に、これ以上の手出しもできず帰国の運びとなった。
そして今、手下が最も気になっているのが……
「ア、アノ、サンダ、サン……」
「テシッタールさん、どうされました?」
「アノ、メ、メール、アドレス……シリタイデス!」
「ああ、お安い御用ですよ。はい、これが私のアドレスです。個人用の方なんですよ?」
『natade-doco-motojime@yapon xxxxxx』
まるで一国の王から下賜された宝物を受け取るかのように、手下は三田からメモを受け取った。
「アリガト、ゴザマス。コレ、ワタシノ、アドレス、デス……」
『great-pashiri@misoppa xxxxxx』
「まあ、テシッタールさんたら。お茶目な方なんですね。メールお待ちしておりますね。」
「サンダ、サン、ヤポンゴ、ベンキョーシテ、マタキマス、デス!」
「はい、お待ちしてますね!」
こうして姐と手下のヤポンでの用事は済んだ。
後はボスに報告して、ナタデ・ドコが市場から消えるまでの期間をどう凌ぐか……それが問題だ。
これで終わった……のだろうか……