56 暴かれた秘密
イズミ達が森の脱出を試み始めてから早四日。幸いなことに今までに一度も大きなトラブルが発生することも無く、森の探索は進められていた。
トラブルどころか、取り立てて気になることや進展もないのが悲しいところだが、ごく普通の平和な日常を送れるというのは決して悪いことではないだろう。
朝起きて、家の時計にして八時過ぎくらいに出発。探索隊となる三人は適宜休憩を挟みつつ、森の出口であろう方向に向かってひたすら進む。回避できる戦闘は回避して、突破してしまったほうがいい魔獣であればクマよけスプレーと奥様の魔法を惜しみなく使って突破する。稀に運悪く反撃を食らうこともあったが、ちょっとした傷はあっという間に奥様が魔法で治した。
そうして、ひたすら進む。太陽の方向を確認し、マーキングをして迷わないようにしているというのに、なぜだかこの森では真っすぐ進めないというのが目下のところのイズミ達の悩みだ。もしこれで手持ちの食料や水が尽きたらと思うと、ぞっとしない話である。
さて、イズミ達が森を進んでいる間、家で留守番しているミルカは家事をこなす。具体的には掃除や洗濯、それに昼食の準備だ。そして何より重要なのは、テオの子守をすることである。
これが存外、大変なことだ。誰かに抱っこされるか定位置で寝転がっていた時と違い、今のテオは自由にハイハイができる。ちょっと目を離した隙に好奇心の思うがままにどこかへ行って、ぱあっと明るい笑顔でいろんなものに手を出そうとする。当然、その中には赤ん坊が手にするにはふさわしくないものだって少なくない。
だからミルカは、テオから目を離さないようにしつつ家事をする必要があった。誤飲する可能性のあるものやハサミやペンなどの危険物はテオの手の届かない所にみんなで動かしたとはいえ、危険なんてどこに潜んでいるかはわからない。肉体としては最もデリケートな生まれたての赤ん坊よりも、体の自由と溢れる好奇心を併せ持った今の状態の方がよっぽど事故でケガをしやすいことを、ミルカは経験で知っている。
家事をして、テオのおやつを作って、テオのおしめを取り換えて。そしてまた家事をして、一息つく間もなく今度はテオと遊ぶ。頃合いになったところで昼食と良く冷えた麦茶の準備をして、時計の針がおおよそ十一時を示したところで風呂の準備をする。
これが、ここ数日のミルカのローテーションであった。
そして。
「今帰ったぞーっ!」
「おかえりなさい、イズミさん!」
帰ってきた──より正確に言えば、こちらを喚びだした三人の無事を見てホッと息をつく。奥様とペトラを風呂場に送り、彼女らが体を清めている間に、イズミとテオとミルカで水遊びをする。無論、ミルカ自身が服を脱いで水と戯れるわけではないのだが、きゃあきゃあとはしゃぐテオとイズミに水を振りかけるのは他でもないミルカの役目であった。
そして、イズミとテオも風呂に入れ、上がったところでみんなでお昼ご飯を食べれば。
「んじゃ、午後はお互い自由時間ってことで」
──そこから、ミルカのプライベートが始まるのだ。
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「やはり動画が一番わかりやすい……」
イズミの部屋、パソコンの前。ノートとペンをお供に、ミルカはその画面をじっと見つめている。時折思い出したようにペンを動かして、画面の中に映っているそれを書き記していた。
「カレーが作れれば、肉じゃがもいけそう……ですよね?」
言わずもがな、料理の勉強だ。レシピ本では詳細な説明文を読むことが出来ないミルカだが、動画としてのそれであれば、調理工程をそっくりそのまま隣で見ているようなものである。音声や文章がわからずとも、技術を盗むことは十分に可能だった。
「次は……えい」
元々、ミルカは勤勉だ。それは、農村育ちの平民からあの水の巫女の侍女として……その御子の乳母として面倒を任されるほどの立場に至っていることが証明している。
当然、そんなミルカの物覚えは早く、そして理解も早い。まだまだ文字は読めないが数字についてはマスターし、そしてある程度のパソコンの操作も身に着けている。イズミがあらかじめ作っておいたリンクを参考に、適当にそれらしいのをクリックして動画を閲覧するくらいは普通にこなすことが出来ていた。
「好きなところで何度でも見返せる……本当に、どんな仕組みなのやら」
これで話している言葉もわかったらよかったのに、とミルカは口を尖らせた。文字ならまだ勉強することができるが、こればっかりはもうどうしようもない。良くも悪くも、イズミとミルカの間では謎の力により会話がすべて翻訳されてしまうため、本来の発音がどんなものなのか、自分がどんな発音になっているのかも確認することが出来ないのだ。
「次は……おっと」
クリックする場所を間違えて、全く関係ない画面が出てきてもミルカは慌てない。
「マウスのここか、左上のやつ……ふふ、良い子です」
キーボードの入力はできないが、逆を言えばマウスの操作はほぼ完璧だ。進むも戻るも自由自在。ウィンドウを閉じることだってできるし、ブラウザを立ち上げることも、メモ帳代わりのペイントソフトを開くこともできる。特に初めてペイントソフトを使ってみせたときなんて、「ユニバーサルデザインって異世界でも通じるんだな……」とイズミを感心させたほどだった。
「お、やってるな」
「あら、ペトラ」
そうして何度か料理の動画を見直していたところ、暇を持て余したのであろうペトラがやってきた。
「すごいな、結構サマになっているというか……イズミ殿みたいに使いこなしているじゃないか」
「いえ、全然ですよ。書いてあることもわからないですし、適当にそれっぽく動かしているだけです」
「そうなのか? 私が以前使わせてもらったときは、正直何が何だか……自分が何をしているのか、そいつが何をやっているのかもわからなかったもんだが」
「コツと規則性みたいなものがあるのですよ。……とはいえ、私ができることなんて本当に限られています。イズミさんのお膳立てがあってようやくそれっぽいことをしているように見えるだけに過ぎません」
ほら、とミルカはノートの一部をペンで差す。
「文字、だな。なんて書いてあるかわからないけど」
「イズミさんの言葉で、【カレー】と【肉じゃが】……料理名を示しているんです」
「ふむ?」
「で、このパソコンのここを押すと……はい、【料理のレシピ集】の画面になります。ここに、色が違くて下に線のある文章があるでしょう?」
「うん」
「そこを押すと、その料理の作り方が動画で流れるのです」
「つまり……あらかじめイズミ殿から料理名とその文字を教えてもらって、それをこの中から探してみている、と?」
「ええ。尤も、気分で適当に押すこともありますけどね」
ミルカがパソコンを使うにあたり、イズミは事前に参考になりそうなサイトを見つけ、そこへのショートカットを作っている。頻出する文字やよく使う単語はノートに書き出し、ミルカに直接意味を教えることで、ミルカ自身があとからノートを参照してそれを読み解くことが出来るようにしている。
早い話、文字も読めない子供がパソコンを使っているようなものだ。あらかじめやっていいことを親が提示し、その範囲でカチカチと適当にクリックし、何をどうしているのか学んでいるのである。
「うげ……この数文字を、この画面全体にびっしり書かれている暗号のどこに書かれているのか探すのか?」
「意外と簡単ですよ。レイアウトがしっかりしていますし。あと、マウスのここをコロコロすると……」
「……下にも出てきた」
「情報量は無限大と言っていいってイズミさんは仰ってました。今は私のためにこのページを用意してくれましたが、似たようなのは星の数ほどあるのだとか」
「じゃあ、もっとわかりやすい奴は無いのか?」
「ありますよ? イラストや画像がいっぱいで、文字が全く読めなくてもわかるやつも」
「それにしてくれよ」
「……そういう所は種類が少ないんですよね。いろんなものを調べたいのなら、少々武骨ですが……この、文字でいっぱいのリンク集なるページの方が都合が良いのです」
「……」
「ええ、本当にできることが多すぎます。私が出来ているのはあくまでイズミさんの真似事だけ。イズミさんなら、自分でほしい情報を調べて、いろんな手段を取ることが出来るのです。料理だけでなく、もっと別の知識であっても……というか、この調べごとだってパソコンの機能のほんの一部だって話ですよ?」
「ごめん、もう無理。私、バカだから難しい話わかんない」
「安心してください、私も難しいことはわからないです。知れば知るほどわからないことが増えて……」
「そういう所が難しくて無理って言ってるんだ! 私は頭を使いたくないから剣で食っていく道を選んだんだぞ!」
だったら無理にパソコンを覗かなくてもいいんじゃないかな、とミルカは思う。それでなおペトラがミルカの肩口より画面を見つめているのは、それだけヒマで仕方がないということなのか。ここ最近で体を動かすようになって、家の中でじっとしていることに耐えられなくなっているのでは……と、ぼんやりとそんなことを考えた。
「そう言えば、イズミさんは?」
「和室でおなか出して昼寝してた。そりゃもう気持ちよさそうにスヤスヤと」
「奥様は?」
「母君の部屋で坊ちゃんとお絵かきしてた……が、結構眠そうにしていたからな。たぶん今頃夢の中だ。……安心しろ、タオルケットは置いてきた」
「自主鍛錬は?」
「今日はそういう気分じゃないんだよ。明日の準備も終わったし、後はおやつ食べて夕飯食べて風呂入って寝るくらい?」
「……しょうがないですね」
料理の動画が流れているウィンドウを閉じて、ミルカは別のアイコンをクリックした。
「ふふふ。ならば、ペトラにとっておきをお見せしましょう」
「お、なんか面白いことでもあるの?」
「ええ……イズミさんはすっかり隠しているようですが、私をそこらの娘と侮ってもらっては困ります」
カチカチ、とマウスをクリックし。カタカタ、とミルカはキーボードを叩く。
そう、入力はまだ覚えていないミルカが唯一覚えているそれ。ミルカが後ろにいることに気づかず、一回だけイズミがやったそれを、ミルカは正確に覚えていた。否、その結果を見て、絶対にモノにせねばと頭の中に叩き込んだ技だ。
叩いたキーは……「.」、「j」、「p」、「g」の四つ。
「これは……!?」
「どうです、すごいでしょう!」
画面に広がる、画像データ。そこには、テオの可愛らしい姿を映した写真が何枚もある。
「すごいな……! これ、全部テオ坊ちゃんか! ご飯を食べているときも、ハイハイをしているときも……あはは、シャマランとボール遊びしているものまである!」
「ええ、こんなにステキなものをイズミさんは独り占めしていたんですよ」
それは、イズミが撮ったテオの写真を収めているフォルダであった。若干親バカ(?)の気があるイズミの手によって、一日二十枚以上のペースでコツコツと増えている。以前はろくに写真なんて撮っていなかったからか、その反動のようにイズミは写真の魅力に取りつかれているのだ。
「スマホの写真は見せてもらったが……パソコンの中にも入れられるんだな」
「スマホで撮ったものをこっちに入れて保存したり、いろいろと加工することができるみたいですよ。たぶん、私たちが想像するようなことは……いいえ、想像をはるかに超えることができるはずです」
「はは……もう、何が何だかわからないよ……あっ、その坊ちゃんの写真、大きくできる?」
「お任せあれ」
「これこれ! イズミ殿のスマホの画面にいつも写ってるやつ! ……すごいな、本当によく撮れている」
「ああ……これは、前の場所で初めて三人で撮ったやつですね」
三人で撮った思い出の写真。テオと奥様が戯れている写真。ペトラがテオを抱っこしている写真。何枚も何十枚も、そんな写真が続いている。
「ちょくちょくスマホを出しているのは気づいていたが……まさか、こんなに撮っていたとは」
「あの人、そういうところありますもの。……そこがまた、意外とかわいい所でもあるんですけどね」
そうして、何枚も何枚も続く写真に二人はほっこりと頬をほころばせ。
そして、それがやってきてしまった。
「……あっ」
「……」
いったい何十枚目だろうか。テオの写真に混じっていた、テオが写っていない写真。
──ミルカが、床に伏せて這っている写真であった。
「これ……初めてテオ坊ちゃんがずり這いしたときのやつじゃないか! ……ふふふ、愛されてるなあ?」
「ど・こ・が! こんな辱めを受けるようなものが、なんで……ッ! あああ、顔のホクロが凄く目立ってる……ッ!」
「そこなの?」
羞恥と怒りが混ざった表情。当然、ミルカの顔も真っ赤っかだ。イズミにとって幸いだったのは、ミルカが削除のやり方をまだ覚えていなかったことだろう。もし覚えていたら、ミルカは間違いなくこの恥ずべき記録をゴミ箱の中まで追い詰めて完全に削除している。
「……ペトラ、私嫌なことに気づいたんですけど」
「お?」
「……まさか、この手の写真が他にもあったりとか」
「いや……さすがにそれは無いんじゃないか? イズミ殿の性格的に、そんなあからさまなことはしないだろう?」
「そうですかね? あの人、最近私のことをからかうことが多いんですよ? なんだかんだで隠れて撮る機能とかあったりしても……ええ、おかしくない」
「……隠れて撮られて困るようなこと、してるの?」
「……し、してないもんっ!」
「……」
ペトラは一瞬だけ固まった。まさかそんなことはないだろうと思って聞いたのに、なんかちょっとそれっぽい答えが返ってきてしまった。本当なら、ここで「お前はからかいやすいから」……って感じの冗談を言うつもりだったのに、なんかもう冗談が冗談で流せないようなアレな感じになっている。
「ふふ、くふふ……! ええ、隠そうったってそうはいきませんよ。私の学習能力を舐めてもらっては困ります……!」
「何やってるの、それ?」
「上手くは言えませんが、基本的にこのパソコンの収納場所というのは階層に分かれているのです。大きな箱の中に、また別の小さな箱があって、その箱の中にはさらに種類分けされた小さな箱がある……わかりますか?」
「さっきよりはわかる」
「さっき私が行ったのは、イズミさんがよく使う箱を開き、その中にある写真を探すという行為です。そして、イズミさんのよく使う箱は、ここ……ええ、ここを見ればわかる通り、他の箱の中に入っている」
ミルカはマウスのポインタをアドレスバーの所へ持っていった。文字なんか読めなくても視覚的にその構造を理解できる、優れたデザインによってもたらされた行動であった。
「探す箱を変えてみたら? もっと大きい箱で……箱全体で写真を探したら? ほかに撮っていないというのなら見つからないはず。もし隠れて撮っていたとしたら……人の心情として、別のところに隠すはず。つまり、これで見つかる」
ペトラは考えた。果たしてこれは、止めなくてもいいことなのかと。
考えて考えて、そして結論を出した。
「やっちゃえ」
「言われずとも」
ミルカがエンターキーを押す。
そして、結果は現れた。
「「……!?」」
結論から言えば、イズミは他に写真を撮っているわけではなかった。単純に、スマホとパソコンをつないでそっくりそのままフォルダに写真をブチ込んでいるだけである。あえてわざわざ違う場所に保存する理由も無いし、いちいち仕分けするほど几帳面と言うわけじゃない。そういう意味では、ミルカの予想は外れている。
しかし。
そもそもとして、ミルカもペトラも知らないが故の勘違いをしている。
それで出てくるのは、スマホで撮った写真ではなく、その場所に保存されている画像データだ。
すなわち──元々保存されてあった、スマホで撮ったものではないそれも含まれている。
「こ、これは……!?」
「お、おおう……!?」
イズミは男だ。そして、ちょっと前までパソコンは一人で使っていた。あえてわざわざ隠す必要もなければ、まさか文字も読めずにクリックくらいしかできない相手が、こんな高等機能を使えるだなんて想像すらしていなかった。
何が言いたいかって、つまり。
「えっ……そ、そんなところまで……!?」
「うっわ……なにこれ、ほとんど布切れ……!?」
画面はほとんど肌色だった。
つまりはそういうことなのだが、男ならば仕方がない。
「きゃ……! これホントにいいの……!?」
「うーわ……! 何食べたらこんなふうに……!」
ミルカもペトラも、いろんな意味でそれに釘付けになってしまっていた。間違いなくこれは見てはいけないものなのだが、どうしても目を離すことができない。同じものは毎日自分たちのそれで見慣れているとはいえ、他人の、それもこうもあからさまに見せつけているのは二人にとっては初めて見るものである。
しかも、画質が鮮明だ。その上、被写体も撮影者もプロだ。素人が撮ったただの思い出の写真ではなく、写真としての明確な意図の元それは撮られている。視覚情報とそのインパクトは普通の写真の比ではない。
「ゆ、誘惑ですかこのポーズは……!?」
「こ、これは少々刺激的……! す、すごいなしかし……!」
ペトラはそっと自分の胸元を見た。画面の中のそれとは比べるまでもなく負けている。もはや悔しさなんて覚えないほどの圧倒的な差。敗北をここまで清々しく感じることが出来ることを、ペトラは初めて知った。
「……この人、ミルカに似てるな?」
「み゛っ!?」
「そうか、イズミ殿はこういうのがタイプか……よかったじゃないか」
「へ、変なこと言わないでくださいッ!」
そうは言いながらも、ミルカの手は止まらない。次の写真、そのまた次の写真とどんどん進んでいく。顔はゆでだこのように真っ赤で、口ではなんだかんだ言いながらも、その眼はしっかりとパソコンの画面を捉えていた。
「うー……!」
「よもや、こっちのほうまで進んでいるとは……。賭けてもいいが、この器量と肉付きの女は高いところに行ってもいない。街に一人いれば良いほう……なのに、いったい何人いるんだ……?」
「な、なんであなたがそんなこと知ってるの……?」
「脱走したりサボる兵士が行きつく先のだいたいはそういう所さ。連帯責任になるから、何度も連れ戻しに足を運んだんだよ。……それでも、後ろ姿からでも胸がみえそうなのはお前のほかに見たことが無い」
「はっ倒しますよ!?」
同性で、そしてそういう雰囲気に慣れているペトラでさえも赤くなっているという事実が、イズミのコレクションのクオリティを示していると言っていいだろう。独身一人暮らしなのだから、周りなんて気にする必要がない。その行為は誰にも咎められないし、止められない。
ちなみに、傾向としてかなり大きいものが多かった。
「ま、冗談はともかくとしてさ。イズミ殿も健康な男なんだ、これくらい大目に見るべき……むしろ、これで我慢してるってのは褒められることだと思うぞ」
「うう……! でもぉ……!」
「勝手に見たのは私達だろう? 少なくともイズミ殿は、これは婦女には見せてはいけない、隠すべきものだ……という真っ当な良識があるわけで、それをずっと貫いてきているんだ。だというのに、それを責めるのはおかしい話になる」
「……わ、私はどうすれば?」
ペトラは、にこりと笑って言った。
「お互い、今日見たことは忘れることにしよう。それが一番平和で、誰も傷つかない。尤も……」
「も、もっとも?」
「そのうえで、知り得た情報をどう活かすかはお前次第だ。……可愛い服に綺麗な下着、いっぱいあったじゃんか。好みと傾向もばっちりわかったよな?」
「ばかぁッ!」
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翌日の朝。いつもは一番に目覚めるはずのミルカが少し寝坊した。少々寝不足気味なのか、目の下にはうっすらクマがある。心配したイズミが声をかけると、ミルカはたちまちのうちに真っ赤になって挙動不審になったという。
寝不足の本当の理由を知っているのは、ミルカただ一人。イズミがその真実を知る日は、たぶんきっと来ない。




