47 だっこ
「そろそろ、いいよな……?」
「……まぁ、いいでしょう」
意識が戻ってから、早一週間……いいや、ようやく一週間。区切りとしてはちょうどよかろう、いい加減マジに耐えられなくなってきたぞ──なんて思っていたイズミは、ベッドの上での朝餉を済ませた後に、ごちそうさまの挨拶すら忘れてミルカに問いかけた。
もちろんその内容は。
「食欲も十分、一人で立ち歩くことも問題ない……顔色も良い感じ」
「だろう?」
「体力もだいぶ戻ってきたように思います……もう、私が押してもびくともしませんね」
「そりゃあな!」
えい、とミルカがイズミを押しても、イズミは倒れることなくベッドで体勢を維持できる。元より十七歳の小娘が軽く小突いたところで、体格で勝るイズミがどうにかされるはずもない。むしろ遠慮なく胸を押してくるその感覚がなんかくすぐったくって、もうちょっとだけそれを味わいたい気分ですらあった。
「では……本日より、普通の生活を許可することといたしましょう」
「よっしゃあッ!」
「ただし! 病み上がりなのは間違いないですからね! 常識的な範囲を心掛けるように!」
「うっす!」
お目付け役の許可が出たことで、イズミはウキウキとした様子を隠すことも無くベッドを降りた。凝り固まった体をうーん、と伸ばし、肩をぐるぐると回してその調子を確かめる。さすがに二十代前半、肉体の最盛期ほどのしなやかさは失われているが、純粋な筋力だけならあの頃よりもずいぶんと増えたな……と、そう実感することができた。
「それで……本日はどうされますか?」
「テオと遊ぶ」
「……それは構いませんが、ちょっぴりでいいので奥様の心情を慮ってあげてくださいね? あと、きちんとお着替えを……」
「わかってるって!」
「……楽しみなのはわかりますが、レディの前で着替えだすのはどうかと」
「なんだよ、別に初めて見るわけでもあるまいに」
「そうですけど、そうですけどぉ……!」
ほんのりと頬を赤らめて、そそくさとミルカは退散する。すでに上裸になっていたイズミは、丁寧に畳まれた洗濯物の山の中から適当にシャツを一枚引っ張り出した。下に履くズボンは部屋着としてこれ以上に無く頼りになる存在であるスウェットで、全身はどこからどう見ても休みの日を部屋の中で満喫するおっさんスタイルである。
「あら、イズミ様!」
「ようやくミルカの許可が出たんだな」
「おう」
着替えを済ませて隣の部屋に行けば、そこでは奥様、ペトラがソファに座ってのんびりと過ごしていた。朝食の後の余韻を楽しんでいるのだろう。机の上にはパックの紅茶──パックのそれとしてはかなりお高いらしい貰い物──が入ったカップがあり、そこから白い湯気が立ち上っている。
「うー! うー!」
「よぉ、テオ……! なんだお前、ちょっと丸くなったか?」
そして、奥様の膝の上にはテオがいる。お手製のおくるみに身を包み、母に抱かれてすっかりご満悦らしい。手足をぱたぱた、指をぐーぱーと動かしているところを見るに、今日も元気いっぱいなのだろう。
そんなテオは、明るく笑いかけたイズミに向かって、赤ん坊特有の……思わずこっちが釣られてしまうほどに、キラキラした顔でにこーっと笑った。
「ああもうこの野郎、こっちが退屈で退屈で大変だったのによぉ……!」
「う! まう!」
堪らないといった様子で、イズミはテオの温かく柔らかな手のひらをこしょこしょとくすぐる。構ってもらって嬉しいのか、テオはイズミのじょりじょりの無精ひげを触ろうと、奥様の膝の上から必死で手を伸ばしていた。
「うふふ、テオったら……久しぶりにイズミ様に遊んでもらえて、嬉しいのかな」
「そうだと嬉しいけど……お前、ママにしっかり甘えられたかぁ?」
「だーう!」
奥様の腕の中で、テオはきゃっきゃと笑う。その顔は、かつて(ほぼ)イズミと二人きりで過ごしていた時のそれとは明らかに違う。やはり、なんだかんだ言っても母親に抱っこされるのが何よりも嬉しいのだろう。こればっかりは、イズミにはどうしたって叶えてあげられないことだった。
「……その、ところで」
「うふふ、イズミ様ったら……ええ、抱っこしてあげてくれますか?」
イズミの羨ましそうな視線を感じた奥様は、にっこりと笑って愛する息子をイズミに受け渡した。
「うー!」
「よーしよしよしよし……!」
やはり、テオの体は確かに重くなっている。赤ん坊の成長は早いとは聞くが、以前抱っこした時よりもあきらかに体全体にずっしり来る感じがするほどに、テオは立派に育っていた。相変わらず体はぷにぷにと柔らかくて温かく、そして赤ん坊特有の薄いミルクのような甘い匂いがして、イズミは思わずテオにほおずりしたくなる衝動に駆られた。
「だーう! だーう!」
「こら、暴れるなっての」
くすぐったそうに身を捩らせるテオを高く持ち上げ、イズミは嬉しくてたまらないとばかりににっこりと笑った。そのじょりじょりした感覚が好きなのか、テオは執拗にイズミの顎をぺちぺちと叩いたり、持ち上げられた時にも足でぱたぱたと叩いてくるが、イズミにとってはそれすら愛おしかった。
「本当に、イズミ殿は楽しそうにテオ坊ちゃんと戯れるな」
「ええ……まるで、本当の自分の子供みたいに」
「そうかぁ? 誰だって赤ん坊を前にすれば、大なり小なりこういう気分になると思うけど。俺の場合、たまたまそれに応える術を知っていて、テオとは相性が良かったってだけだと思うが」
「んー……どうだろうな? 他人の子供なんて煩わしくて困ると公言するやつもいれば、自身の子供でも一人にそんなに付きっきりにならない親もいる」
「……私の場合、勤めを果たすためにどうしたってミルカに預けざるを得ませんでしたし」
「あー……まぁ、そういうこともあるさ」
トン、と膝のクッションを使ってイズミはテオを抱き直す。一番初めはずいぶんぎこちなかった抱っこも、今や熟練の域に達していた。
「奥様、ペトラさん……ここでの暮らしはどうだ? 何か不便があったり、わからないことはないか?」
改めて、イズミはそれを二人に問い質した。正直なところ、自分にとってはただ気の向くままにぐうたら出来るし、ミルカにしてもこの生活はそれなりに慣れているだろうが、明らかに異界の異なる生活様式に晒された二人にとってはどうなんだろうな……というのが気にかかったのだ。
「いえいえ。毎日おいしいご飯に温かいお風呂……寝床まで用意してもらっているのに、不便なんて感じるはずがありませんわ」
「うむ。聞けば、私たちが借りているのは……その、イズミ殿のお母様の部屋だと言うではないか。それだけ良くしてもらっているのに、不満なんて言ったら罰が当たるよ」
現在、奥様とペトラが寝起きしているのはイズミの母親の部屋だ。そこに客用の布団をひいて、寝室としているのである。
以前ミルカがそうだったように、本来ならこの国ではベッドで寝るのが当たり前で、間違ってもお客様を床で寝かせるなんてあってはならないことではある。しかし、ペトラ自身は床であろうと上等な寝床であることに十分に感謝していたし、奥様も同様……それどころか、今までに見聞きしたことのないスタイルに軽く好奇心を刺激されていた故に、まるで問題となっていなかった。
ちなみに、ミルカとテオはこのリビングにて、かつてイズミがそうしたように布団やクッションを持ち寄って寝ている。単純に、夜中にテオが粗相をした時の被害と対処の関係、および臥せっていたイズミや奥様に何かあった時にすぐ動けるように、利便性の高いそこを選んだというだけだ。
おそらく、そう遠くないうちには別の部屋に移るのだろうとイズミは踏んでいる。
「あとは……そうだな、昼間にシャマランの面倒を見て……そろそろ、軽く体を動かして勘を取り戻したいなとは思っている。この生活は悪くないが、体を鍛えるのは別問題だからな」
「ああ……そっか、ペトラさんは護衛だもんな」
「それに関連して……できれば、その、鉈でも草刈り鎌でも……何かしらの武器が欲しい。もちろん、イズミ殿の許可なく触ることは絶対にしないと誓おう」
「それは構わないよ。よくわからんけど、家主にとって危険な存在はこの中にいられないらしいし。それに、万が一魔物が近くにやってきたときの事を考えると、俺としてもペトラさんのことを頼りにしたいと思っている」
「……ありがとう」
「ミルカさんの許可が出たら、その辺教えるつもりだ。ペトラさんが想像するような武器はないけど、その代わりに素人の俺がこの森の魔物とやりあえる程度には、すっごいのがそろってるぜ?」
具体的には高枝切狭にクマよけスプレー、さらには虎の子のチェーンソーである。チェーンソーに比べていくらか威力は劣るものの、その分リーチに優れた電動草刈り鎌だってある。使い方さえ覚えてしまえば、非常に強力な武器になるのは目に見えていた。
「あと、食べ物とか飲み物とかはマジで心配しなくていいから。もうわかっているだろうけど、翌朝には全部元通りだ。好きなモンを好きなだけ、好きなように食べてもらって構わない」
「お気持ちはありがたいのですが……その、本当に?」
「ああ。逆に遠慮される方が困る。気になることや使ってみたいもの、知りたいものがあるなら遠慮なくバンバン聞いてほしい」
「……」
「こういう言い方はずるいかもしれないけど、ここでは俺がルールだ。ルールの俺が良いって言ってるんだから、自分の家のように寛いでほしい……というのが、俺の本音かな」
イズミの頭の中に、いつぞやのミルカのことが思い浮かぶ。さすがに追い詰められてどうしようもなかったミルカと違い、この二人にそんな切羽詰まったような背景があるとは考えにくいが、それでもイズミは、ここの所だけは念を押しておきたかったのだ。
「んーま! んーま!」
「な? テオだってこう言ってる。だから二人とも、大人しく俺の言うことに従ってもらおうか!」
「うふふ……それでは、イズミさんがまるで悪役のようですよ」
「そりゃあ……きちんと言っておかないと、誰かさんみたいに拗らせちゃうかもしれないし……」
「んもう! しつこいですってば!」
台所の方からミルカがやってきた。どうやら朝食の片づけ……食器洗いが終わったらしい。着用していたエプロンを外していつもの所にひっかけており、そしてその片手にはイズミが愛用しているカップと最近ミルカが使いだしたコップを乗せたお盆があった。
「う! う!」
「ごめんね。これはテオにはまだ早いから……」
お盆の上のカップに手を伸ばしたテオに、ミルカは軽く言い聞かせる。中に入っていたのは、最近のミルカのお気に入りとなった冷たいカフェオレであった。子供でも飲みやすいくらいに甘さはしっかりあるものだが、しかし赤ん坊の体にいいものかどうかについては、話は別である。
「ふむ。……しかし、言われてみると」
「お?」
ペトラの眉間に、ほんの少しの皺が寄る。それは、怒っているときにつくものではなく、むしろ悲しんでいたり、しょぼくれていたりする時につくものであった。
「なんかあるのか、ペトラさん?」
「……その、軽く悩みが」
「……それは、俺が聞いていいやつ?」
「むしろ、イズミ殿のおかげではっきりしたやつだな」
家主がそう宣言したことだし、ここらではっきりさせておこう……と、意を決したようにペトラは話し出した。
「その……どうやら私は、テオ坊ちゃんにあまり好かれていないようなのだ」
「えっ?」
びっくりしたように、イズミは腕の中のテオを見る。
目が合ったテオは、たったそれだけが嬉しかったのだろう。本日何度目かもわからない、にこーっとした笑みを浮かべた。
「こいつが? なんか全然、想像できないんだけど……」
「……イズミ殿、テオ坊ちゃんをミルカに預けてくれるか?」
言われるがままに、イズミはミルカへとテオを受け渡す。
「あら」
「うー!」
ミルカの胸にぽふんと顔を埋めたテオは、辺りが輝いて見えるほどに、にこーっと極上の笑みを浮かべた。
「……次は奥様だ」
「まっ」
「だー!」
奥様の胸に抱き着いたテオは、嬉しくてうれしくてたまらないとばかりに、ぱあっと満開の笑みを浮かべた。
「……で、次は私だ」
「……うきゅ」
その変化はあまりにも顕著だった。ペトラに抱っこされたテオは、いつもの明るい笑顔はどこへやら、はっきり見てわかるほどのしかめっ面を浮かべている。眉間にはきっちりと皺が寄っていて、目元は不満たらたらだ。例えるなら、以前梅干しを欲しがって食べた時のような……赤ん坊にしておくにはもったいないくらいの、シブい顔をしていた。
「……な?」
「お、おう……」
さすがのこれには、イズミも閉口せざるを得なかった。
「最初は単純に、その……胸だと思ってたんだよ。奥様は例外として、テオは他の誰に抱かれた時よりも、ミルカに抱かれたときに笑っていたから」
「あの、それを本人の前で言います……?」
「……」
あえてイズミは何も言わないが、この中ではミルカが飛びぬけて大きい。普通にグラビアアイドルでもやっていけそうなほどにスタイルが良く、その柔らかさはイズミ自身もいろいろあって知っている。普段は給仕服なんかでなるべく目立たせないようにしているらしいが、それでなお目立っているし、こっちの衣服だと余計にそれが顕著だったりする。
というか、イズミの母の衣服──遺品であるそれを、奥様やペトラは普通に着ることができたが、ミルカは一部しか着ることができなかった。つまりはそういうことである。
そして、ペトラはとてもスレンダーだ。鍛え上げられた体故に、きっとそこもそれなりに固いのだろうとイズミは勝手にそう推測している。
テオだって男の子だ。抱っこされるのなら、大きくて柔らかいほうが嬉しいのだろう。同じ男であるイズミがそう思うのだから間違いない。
ただし。
「でも、おそらく私よりも硬い……というか、無いイズミ殿に抱っこされたときも、テオ坊ちゃんはミルカに抱かれた時ほどではないとはいえ、良い顔して笑うんだ……」
「……そ、そうね」
「……それが理由でないなら、もう」
「……」
言われてみればイズミは一度も……いや、ガブラの古塔での決戦の時くらいしか、ペトラがテオを抱っこしている姿を見たことが無かった。それは単純に物理的な機会が無かったためと思えなくもないが、しかしイズミがそうだったように、テオを慕う人は誰だってテオを抱っこしようとする。
ミルカも、奥様も、一番初めにしようとしたのがそれだ。ペトラがテオを慕っているのは、こうして今この場にいるということそのものが証明しているが、そのはずのペトラが一度もテオを抱っこしようとする姿を見せていないことは、普通に考えてみればちょっとあり得ないことであった。
「……嫌われるようなこと、した覚えはないんだけどな」
悲しそうに微笑みながら、ペトラはぎこちない動きでイズミにテオを受け渡す。
イズミの腕の中に戻ったテオはイズミを見上げ、やっぱりにこーっといい顔で笑った。
「い、いやいや……いくらなんでも、そんな馬鹿なことあるか……?」
「……なんなら、胸に詰め物でもして抱いてみせようか?」
ちょうど、ここには都合のいいクッションがいくらでもあるしな……と、ペトラはふらふらとした様子でソファに無造作に置かれているクッションに手を伸ばす。
そんな姿があまりに不憫と思ったのか、ミルカがその腕をぺしりと叩き落とした。
「うーん……こいつ、割と誰にでも懐くタイプだと思うんだが……む?」
ここでふと、イズミは思いつく。
「時にペトラさん」
「なんだ?」
「赤ん坊を抱いたこととか、近所の子供の面倒を見たことってある?」
「……ほとんどないな」
「それじゃね?」
何のことはない。最初にイズミの目の前に立ちふさがったのがこの問題だ。イズミの時は、パソコンという文明の利器の力を頼ることができたが、ペトラの周りにそれが無かったというだけの話である。
「さっきも見てて思ったんだけど……ペトラさんは、動きがぎこちないんだよ」
「ぎこちないって……だって、万が一があったら困るし……」
「そりゃあ、そうだけど……そのせいでたぶん、体がガッチガチになってるんだよ。……本来なら、赤ん坊には決まった抱き方ってものがあるんだぜ?」
「え……そうなの?」
あの雨の夜の後。テオがお昼寝している時間を見計らって、イズミは必死になってその辺を調べたのだ。預かった子供に万が一があってはならないし、そもそもイズミには子育て経験がまるでない。天涯孤独の身である以上、親戚の子供をあやす……なんて機会もなかった。だから、必死になって調べざるを得なかったのである。
「私は、下に妹たちがいましたし……普通に村の小さい子の面倒をよく見ていましたから。自然と覚えていたって感じですね」
「私は別に、特に意識したことなかったけど……せいぜい、ミルカの抱っこのやり方を真似したくらい?」
「それは私も同じ……の、つもりだったんだが」
「あー……たぶん、ペトラさんは力がありすぎたんだよ。だから、正しくないやり方でも力押しで何とかそれっぽくできてしまったんだ。だけど、奥様はペトラさんほど力はない。自分でも気づかないうちに、しっくりくるポジションを……抱くほうにとっても、抱かれる方にとっても負担の少ない正しいスタイルに落ち着いたんじゃないかな」
「……確かに、最初はけっこう大変だったけど、そのうち気にならなくなってたかも」
抱かれ方というのは結構重要だ。これがちょっと変わるだけでぐずりだす赤ん坊なんて珍しくも無い。お母さんに抱っこされているときは眠ってくれるのに、お父さんに代わった瞬間にギャン泣きする……だなんてエピソードは、口コミはもちろん、ネットを漁ればいくらでも出てくる。
「じゃあ、なんだ……私、嫌われていたんじゃなくて」
「抱っこのやり方が下手くそだったってだけですね」
「……するか、練習。ちょうどここには、便利なパソコンってものがあるし」
「……よろしくお願いいたします」
▲▽▲▽▲▽▲▽
イズミの部屋。パソコンを立ち上げ、抱っこの練習動画を漁ること三十分。
「……んま!」
「あっ……!」
この日、初めて。テオはペトラの腕の中で、イズミに抱っこされた時よりも嬉しそうな、蕩けるような笑みを浮かべた。
「わ、笑った……! テオ坊ちゃまが、私の抱っこで笑ってくれた……!」
「ええ、ええ……! よかったわね、ペトラ……!」
「この調子で、感覚を忘れないうちに体に叩き込んでおきましょう!」
「うむ!」
三人にかわるがわるに抱っこされ、テオはにこにこと上機嫌。疲れ果てて眠ってしまった後も、その笑みが顔から消えることはなかった。
「……どうしました、イズミさん?」
「いや……ホント、幸せそうに寝ているなと思ってさ」
──気持ちは大いにわかるけど、やっぱお前も男の子なんだなァ……。
イズミのプライドがほんの少し傷つけられたのは、本人だけの秘密である。




