学園長からの呼び出し
ファミリア協会を出たソラとレイは町を歩く。
「これから、どうするの」
「ああ、このあとは学園長に呼ばれてるから一回行こうぜ」
二人はファミリア学園めがけて走り出す。
ソラとレイが学園長の部屋の前に着く。それと同時に扉が開く。
「待っておったよ」
髭をいじりながら、学園長は立ち上がり、二人を歓迎する。
「用事ってなんですか?」
ソラが聞く。
「なに、そんなたいしたことじゃないよ、二人に選別でも送ろうかと思っただけじゃよ」
ウォッホッホと学園長が笑う。
「それで、何をくれるんだ?」
「二人の戦い方だと、なかなかいい装備がないじゃろ」
たしかに、ソラとレイの戦い方は俊敏に動くスタイルなため、鎧や兜、籠手などを身に付けると動きにくくなってしまう。しかし、これら以外の防具となると強度が低くなってしまう。そのため、軽くて動きやすく、強度が高い防具を探してはいるのだが、なかなか見つからない。
「そこで、わしが直々に作ってやるわい」
学園長がどや顔を見せる。
「本当ですか」
「えっ、何を作ってくれるんだ?」
レイとソラは各々驚き、そして幼い子どものように目をキラキラと輝かせている。
「急くな急くな、わしが考えた中じゃがコートはどうじゃろうか」
「コートか」
「コートですか」
「もちろん、わしができる限りの細工を施すつもりじゃよ。コートなら軽いからいいと思うのじゃが、どうじゃ?」
コートなら軽いし、動きやすいだろう。それが、鎧並みの強度があるとなれば、願ってもないことである。
さらに、学園長の能力「創造」で作られるなら、それこそ市場に出ているものとは比べ物にならないものができるはずだ。
「もちろん!」
「お願いします!」
「おお、ぴったり」
「動きやすいです」
喜びの声をもらす。
ソラとレイは学園長が作ったコートを着て、軽く動く。
コートは、二人とも同じデザインで、膝下まであり袖から肩にかけてラインが入り、襟は立っている。
ソラのものが夜空のような黒色で、レイのものは森の木々のような深緑色になっている。
「ホッホッホ、合っておるな良かったわい」
学園長は満足そうに髭をいじる。
「これからどうするつもりかね」
「そうですね、旅に出ようかなと思っています」
「世界を見て回りたくてさ」
「なるほどの」
学園長は少し困ったような顔になる。
「最近、国家間でいざこざが増えてきておるからの、少し心配じゃが…」
「何とかなるだろ」
「気を付けますので心配しないでください」
ソラとレイが各々、反応する。
「うむ、とにかく気をつけるのじゃぞ」
「わかってるって」
「わかりました」
ソラはあまり気にしていないように、レイは気をつけますという顔でドアへ向かう。
「今日はありがとうございました」
「また来るよ」
レイはお辞儀をし、ソラは手を振り部屋を後にする。
「まあ、あの二人なら大丈夫じゃろ」
学園長が二人が出ていったドアを見てつぶやく。