ファミリア協会
二人がやってきたのは、周りと比べると大きさが二回りほど大きい建物、ファミリア協会だ。ここは、あらゆるファミリアに関する手続きができるところで、ファミリアを新しく作る場合はここで登録をする必要がある。
二人は早速、登録をするべくドアを押し、中へ入る。入って正面にはカウンターがあり、お姉さんが受付をしている。ここでいろいろな手続きをするのだろう。そして、カウンターの左右には大きなボードがあり、なにやらたくさんの紙が貼られている。その前には人だかりができており、悩んでいる様子だ。
二人はそのまままっすぐ歩いていき、カウンターの前に行った。
「あのー」
「すみません」
ソラとレイは、受付のお姉さんに話しかける。
「はい、なんでしょうか…あっ新しく卒業した方ですか」
お姉さんは素早く察し、二人に聞く。
「はい、そうです」
レイが答える。
「やっぱり、この時期になるとたくさん来られるのでお二人もそうかと思いました」
お姉さんは笑いながら言い、続ける。
「ファミリアの紹介ですね」
そう言って、分厚いファイルを取り出す。
「えっと、そうじゃなくてファミリアを作りに来たんですけど…」
ソラが頭を掻きながら言う。
「またまたー、そんなこと言って見栄張らなくてもいいですよー、この時期になると何人かそう言って来るんですよ」
お姉さんは、少しめんどくさそうに諭す。
「いや、俺は王だからファミリアを作りに来たんだよ」
ソラは、バカにされたように感じ、むきになって言う。
「わかりました、そこまで言うなら検査しましょう」
お姉さんは、学園で適性をはかった水晶の簡易版のような一回り小さいものを取り出した。
「手をかざしてください」
お姉さんはソラに指示を出し、ソラはそれに応え水晶に手をかざす。
適性「王」
文字が浮かび上がる。それを見てお姉さんは唖然としている。
「これでいいんですか」
ソラが尋ねると、お姉さんは我に返り、状況を理解する。
「本当に王なんですね」
お姉さんが興奮を抑えられずに声を大きくして言う。
すると、それを聞いた周りの人々が一斉にソラとレイを見る。空気が変わった。周りの人々は、数年に一人の「王」の誕生に警戒心を抱いている。
「ところでお二人のお名前は…」
「俺がソラでこっちがレイです」
お姉さん問いかけに対し、ソラが自分とレイを指差し答えた。
「えっと、レイさんも王だったりしますか?」
お姉さんがおそるおそるレイに聞く。
「いやまさか、僕は将軍です」
レイは苦笑いして首を振り、続けて言う。
「ソラみたいのが増えたら大変ですよ」
「それはどういう意味かな」
レイの言葉に、ソラは笑いながら右手で肩を組み、左手を握り頭に押し付ける。
「やめてよー」
レイは棒読みで答える。
二人は笑い合っていて、二人の仲の良さが象徴されている。
お姉さんは、そんな二人を見てこの二人ならすごいファミリアを作るんじゃないか、そう感じていた。