町へ
二人は宿を出発し、町へ出る。普段とは違い、町は賑わいを見せている。この時期になると、さまざまなファミリアがファミリア学園の卒業生を引き入れるため、勧誘をし始める。それは、ソラとレイも例外ではない。
「君たち、入るファミリアは決めたのかな」
いかにも、胡散臭そうな男が話しかけてきた。
二人はそれを無視して通り過ぎようとする。
「まって、まって、うちに入れば将来は安泰だよ」
男が進路を遮りこれでもかというくらい笑う。
ソラとレイは顔を見合わせる。ソラは門出を邪魔されて少し腹を立てている。レイはやれやれといったように目を閉じ軽く首を振る。
「俺たちはファミリアを作るので結構です」
ソラが突き放すように言う。
「そういうことなのですみません」
レイもソラに続く。そして二人は男の脇を通り過ぎ、先へ行く。
男はファミリアを作るという言葉に呆気にとられたように呆然と立ち尽くしていた。
「勧誘大変そうだね」
「だからって邪魔しないでほしいよな」
「まあまあ」
そうこうやりとりをしていると目的の建物が見えてきた。
「大きいね」
「そうだな」
二人は感嘆の声をもらす。