依頼へ
「ここだね」
「ここは、あまり自由国と変わらないんだな」
二人は、竜人国のファミリア協会に到着した。竜人国のファミリア協会とはいっても、自由国のファミリア協会と外観の違いはなく、また中の構造も同じようになっている。
二人がなぜ、まずファミリア協会にやって来たかというと、出発前に学園長にファミリア協会に行くように言われたからである。もちろん、ただ立ち寄っただけではない。他の国を訪れるならその土地の地理、生息しているケモノなどを知ることが大変重要である。そのため、依頼を受けに来たのである。依頼を受けることで様々な情報を得られ、お金も手に入る。まさに一石二鳥である。
「どの依頼を受けようか…」
「うーん…」
レイとソラは依頼のボードの前で
頭を悩ませる。
「バケモノの討伐は傾向がわからないし、採集も地理がわからないしな…」
「これはどうかな?」
悩むソラに、レイが一つの依頼を見せる。依頼はケモノの狩猟だ。
「この依頼は、この国の周辺に生息しているロックリザードっていうケモノの狩猟で、国の外に出たらどこにでもいるらしいから、探さなくていいかなと思ったんだけど…」
「いいんじゃないか。確かに、バケモノじゃないし、どこにでもいるなら地理を知らなくても大丈夫そうだしな」
それで行こう!とソラはレイの示した依頼を持ち、受付へ向かう。
翌日になり、依頼をこなすべく二人は外に向かって歩く。
昨日は竜人国に来てすぐだったため、疲れも溜まっているということで、二人は依頼を受けた後は宿に行き、身体を休めることにしたのである。
二人が門から出ようとすると、後ろから声をかけられる。
「ソラさーん、レイさーん!」
トイが手を振りながら、二人のもとへ走ってくる。
「はぁはぁ、なんとか追いつきました。」
トイは全速力で走ったようで、額に汗を浮かべ、膝に手を付け、肩で息をしている。
「そんなに急いでどうしたんだ?」
ソラが息を整えているトイに聞く。
「いえ、僕も外に用事があって行こうとしたところに、お二人の姿が見えたので一緒にどうかなと思ったのですが…」
「そうか、それなら一緒に行くか」
「そうだね、人数は多い方がいいしね」
トイの相談に、ソラとレイは肯定の意を示す。
「それでお二人は何の依頼を受けるんですか?」
「ロックリザードっていうケモノの狩猟らしいな」
「それなら僕の目的と同じです!」
良かったぁ、とトイが嬉しそうにはしゃぐ。
「それじゃあ、そろそろ行こうか」
「そうだな、気合い入れていくか」
「はい、頑張ります!」
レイの一声にソラとトイが気持ちの良い返事で答える。
(頑張ろう)
レイは、二人の頼もしい返事に微笑む。