ひといき
到着してから慌ただしくしていたため、ソラとレイは改めてここ竜人国ストロゴンの街を眺める。やはり、自由国との違いが目につく。
建造物は石造りで、あらゆるものが石でできている。また、竜人族は竜とはいっても、完全な竜の姿をしているわけではない。竜人は人族の姿に角と翼が生えたような姿で、角や翼の大きさは個人差がある。さらに、寿命は人族の二倍ほどあり、四種族の中で最も長命である。
「自由国と全然違うんだな」
「……」
ソラはレイの方向に振り向くが、
反応が無い。
「レイー、おーい」
ソラはレイの耳元で呼びかける。
「ソ、ソラっ!」
耳元に聞こえた声に、レイはビクッと体を振るわせ驚く。
「お前はいつも興味のあることになると、そこだけに集中するよな」
「ごめん、ごめん」
ソラのからかった視線に、レイは両手を合わせて謝る。
「まあ、今に始まったことじゃないけどな」
ソラはイタズラっぽく笑い、続ける。
「冗談はここまでにして…早く行こうぜ」
「うん、行こう」
ソラとレイは市街地へと向かう。
「ここまで来ると、よりいっそう自由国との違いがわかるな」
「そうだね、見たことない食べ物もあるみたいだね」
レイがひとつの露店を指差す。
露店では、何やら丸いものが四、五個串に刺さっているものが売っており、食欲を刺激する匂いが人を集めている。
「せっかくだし、食べてみようぜ」
ソラは、すでに列に並んでいる。
「やれやれ」
レイも、口では呆れた風を装っているが、内心とてもワクワクして列に並ぶ。
「おじさん、二本ください」
「あいよっ」
レイは串二本分のお金を払い、竜人のおじさんが串二本を渡す。
串は、よく見るとひき肉の肉団子のようで、それが香ばしい匂いのたれに包まれ、湯気が立っている。
「いただきまーす」
「いただきます」
ソラとレイは、それぞれ肉団子にかぶりつく。噛むと中から肉汁が溢れ、ほどよい弾力が心地よい。
「美味しいな、これ!」
「うん!」
二人は、あまりの美味しさに食べることに集中する。二人の肉団子がものすごい早さで無くなっていく。
「すごく美味しかったな!」
「こんなに美味しいもの食べたこと無いよ!」
二人は満足げに笑う。
「それで、これからどうする?」
「うーん…観光もしたいけど、まずはファミリア協会に行こうか」
「そうだな、学園長も行けって言ってたし」
これからの指針が決まり、二人は歩き出す。