到着
ソラとレイは竜人国に向かい、道なりを歩いている。
「レイー、出発してからどれくらい経った?」
「えっと…三日だね」
「そうなんだよ!三日も歩いてるんだよ!なのに景色も変わらなければ、何も起こらないし、暇なんだよ」
ソラは分かりやすくうなだれる。
「そうは言っても、遠いのは仕方ないよ。馬車でも一週間かかるんだし」
レイがソラをなだめる。
二人が、歩いている道は竜人国まで続いており、舗装されているため歩きにくいということはない。しかし、何も変化の無い道を進むのは過酷である。
二人がいた自由国は、この大陸の中央に位置している。そして、目指している竜人国は自由国から南西の方向にあり、獣人国は南東、魔人国は北西、人国は北東にある。そのため、他国から竜人国に行くよりは近いのだが、それでも歩いて行くには遠い距離である。
「もう少し、頑張ろう」
「そうだな」
二人は気合いを入れ直し、歩きだす。
それから、一週間経過し、二人が歩いていた道に変化が訪れる。今までの舗装された道とは異なり、ごつごつとした岩が至る所に現れるようになった。その岩は進むにつれて、大きくなり数も増えている。そして、遠くに今までの岩とは比べ物にならないほどの大きさの岩が見える。さらに近づき、それが街の中央に位置していることがわかる。そう、二人は竜人国に到着したのだ。
「着いたー」
ソラは街が見えるなり、両手を上げ伸びをする。
「長かったね」
レイはやっと到着した達成感に笑みを浮かべる。
竜人国はもはや、山とも呼ぶことができる大きさの岩を中央に周りを岩を積み上げた塀で覆っている。また、街は石造りの建物が主となり立っていて、自由国との違いが見て判る。門では槍を持った竜人族の門番が入国者の入国手続きを行っていた。
「わくわくするね」
「そうだな」
レイは目新しいものに目を輝かせて、ソラはこれから待ち受ける出来事を想像し期待に胸を膨らませ、列に並ぶ。