旅立ち
あれから、一か月余りの時が経った。ある時は一日に複数の依頼をこなし、またある時は外で野宿をして依頼をこなしてきた。こうして、ソラとレイは十分に旅の資金を集めることに成功した。
そして、ついに二人が旅に出る日となった。門には、二人がお世話になった人たちが集まっている。
「さみしくなりますね。無理はしないでくださいよ」
シスが心配そうに言う。
「お前らならなんとかやるだろ。俺は心配してないよ」
「ちょっと、ロイさん!無責任ですよ」
「俺なりのあいさつだって」
「もう!」
ロイの一言に、シスが注意を入れる。
ソラとレイは苦笑いをする。
「ふぉっふぉっふぉ、ソラとレイの方がよっぽど落ち着いておるのー」
そのやり取りを見て、学園長が楽しそうに笑う。
「す、すみません」
「悪かったよ」
申し訳なさそうに、シスは俯き、ロイは頭をかく。
「しんみりするよりはいいですよ」
レイがフォローを入れる。
「それで、竜人国に行くんじゃったな。あそこは、強さがすべてじゃから争いごとには気を付けるのじゃぞ」
学園長が忠告する。
「ああ、分かってる」
「気を付けます」
ソラとレイは真剣に忠告を受け入れる。
その後、軽くみんなと会話をする。
「じゃあ、そろそろ行くよ」
そう言い、ソラは歩き出す。
「行ってきます」
レイは、そう言い残しソラを追いかける。
「帰ってきたらいろんな話聞かせてくださいねー」
シスが手を振る。
「鍛錬怠るなよー」
ロイが右手を握り突き出す。
「気を付けるのじゃぞー」
学園長は軽く髭をいじる。
「いい人たちだよね」
「ああ」
レイは振り返りおじぎをする。ソラは前を向いたまま右手を上げ、手を振る。
「さて、竜人国目指して頑張るか」
「長い旅になりそうだね」
二人はこれからの旅路を想像し、笑う。
そんな二人を太陽が祝福するように照らす。