外へ
ソラとレイは昨日受けた依頼のため、町の門にきていた。ここ、自由国エギジストは大陸の中央に位置している。そのため、全方位に対応するために国の周りが壁や門で覆われている。
門では門番が警備をしており、二人はその脇を通り外に出る。
「そういえば、国の外に出るのは初めてだよな」
「昨日からすごく楽しみで、全然眠れなかったよ」
「俺もわくわくしてる」
ソラは落ち着いて、レイは目を輝かせて辺りを見渡す。壁や門の周りには草原が広がっており、その先に森が見える。また、門から森の方向に整備された道が伸びている。草原ではウサギのような角の生えたケモノがのんびりしている。
「すごいな」
「すごいね」
広大な世界に、二人は圧倒される。
「その驚きっぷりは、外ははじめてか?」
驚いている二人に、赤い鎧に身を包み大剣を背負った二十代後半くらいの男が話しかける。
「はい」
「そうです」
ソラとレイは、少し警戒して答える。
「落ち着けって、敵対するつもりはないよ」
男は両手を上げる。敵対心がないのが分かり、二人は警戒を解く。
「いきなり話しかけて悪かった。二人の反応が懐かしくてな。俺はロイっていうんだが…」
「ロイって確か、自由国最強のファミリア、エクスカリバーのエースじゃなかったっけ?」
「そうだよ!」
レイとソラは目を見開き、顔を見合わせる。
「何でそんな人が一人でこんなところにいるんだ?」
ソラがふと思った疑問を口にする。
「ああ、うちのリーダにさ、お金が足りないから依頼やってこいって言われてさ」
「一番のファミリアでもそんなことがあるのか」
「大変そうですね」
ソラとレイは苦笑いをする。
「どうだ、俺の依頼を手伝ってくれたら外の情報を教えてやろう」
ロイの提案に、二人は少し考える。
「まあ、断る理由はないか」
「そうだね、それに情報は大事だしね」
「そうか、助かる。立ち話もなんだし、早速行くか」
三人は森の方向に歩いて行く。