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短編集・箱の中の人々  作者: 兎ワンコ
1/7

不定期での更新です。

月曜日/ぼくの記憶


映写機が回る。

カラカラと渇いた音を立てて、スクリーンに映像が映る。

雑踏に混じって話す声が聞こえる。


懐かしいような、新鮮な世界の音が胸を高鳴らせる。

目を閉じる


火曜日/誰かの言葉


言い争う声が真っ赤な壁紙に吸い込まれる。

蛍光灯の光をずっと見つめ、夜が明ける事を願う。


思想も感情も全てベッドの上の絵本に吸い込まれたのだ。


尻尾を振る子犬を抱えて眠るのだ。


水曜日/彼の軌跡


勇み足でコンクリートの階段を駆け抜ける。

手にした拳銃と剣に手汗が染み込む。


朝の光が手についた赤い汚れを浄化してくれるように強く差す。


背中にしがみつく、一回り小さい温もりがとげついた心を和らげてくれる。


巨大な門が今、開いた!



木曜日/彼女の意思


狭い部屋にせわしくなく詰め込まれた机と椅子とタイプライター。

キツツキの様な音が何重にも重なり、オフィスはステージで演奏するオーケストラ。


ピエロの顔をした男が家畜たちの焦る顔を楽しそうに覗いている。


履いていたハイヒールを脱ぎ、屋上から投げ捨てる。


笑って、泣いて、怒って、地下鉄は水浸し。


電車が来た。



金曜日/あなたの思い出


募る想いが砂時計のように少しずつ溶けていく。比例するように胸の鼓動が高鳴り、頬を熱く、赤く照らす。


手を握り、バラバラな歩調で家路へと向かう。


シルクのベッドに落ち、蜘蛛のようにじゃれあう。

身体が突き上げられる度に握りあった手に力が入る。


体内に排出された欲望が希望と不安に変わり、地球が一巡する。


交わり合う影を見て安堵し、微笑んだ。



土曜日/君の情景


誰もいなくなった公園で涙が流れる。

遠くで見える赤と黒の光と影がまた景色を作り変える。


価値観が変わる。

感情が産まれる。


鏡の顔をした人たちが色んな世界を見せてくれる。


だけど声を掛けると地面に消えた。


見上げる。




長い廊下が続く。壁には絵画。



日曜日/もう一度ぼくの記憶


映写機が止まる。

ぼくは瞼を上げた。


ぼくは知ってしまった。

ぼくは知らなかった。


ぼくらは何処から来たのか。

ぼくは誰だったのか?


洗面器いっぱいの氷がフローリングに広がる。

手が触れる。


ぼくだった。

いや、あなたかな?君かな?


やっぱりぼくだった!

もう一度ドアを開いた。

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