夢
不定期での更新です。
月曜日/ぼくの記憶
映写機が回る。
カラカラと渇いた音を立てて、スクリーンに映像が映る。
雑踏に混じって話す声が聞こえる。
懐かしいような、新鮮な世界の音が胸を高鳴らせる。
目を閉じる
火曜日/誰かの言葉
言い争う声が真っ赤な壁紙に吸い込まれる。
蛍光灯の光をずっと見つめ、夜が明ける事を願う。
思想も感情も全てベッドの上の絵本に吸い込まれたのだ。
尻尾を振る子犬を抱えて眠るのだ。
水曜日/彼の軌跡
勇み足でコンクリートの階段を駆け抜ける。
手にした拳銃と剣に手汗が染み込む。
朝の光が手についた赤い汚れを浄化してくれるように強く差す。
背中にしがみつく、一回り小さい温もりがとげついた心を和らげてくれる。
巨大な門が今、開いた!
木曜日/彼女の意思
狭い部屋にせわしくなく詰め込まれた机と椅子とタイプライター。
キツツキの様な音が何重にも重なり、オフィスはステージで演奏するオーケストラ。
ピエロの顔をした男が家畜たちの焦る顔を楽しそうに覗いている。
履いていたハイヒールを脱ぎ、屋上から投げ捨てる。
笑って、泣いて、怒って、地下鉄は水浸し。
電車が来た。
金曜日/あなたの思い出
募る想いが砂時計のように少しずつ溶けていく。比例するように胸の鼓動が高鳴り、頬を熱く、赤く照らす。
手を握り、バラバラな歩調で家路へと向かう。
シルクのベッドに落ち、蜘蛛のようにじゃれあう。
身体が突き上げられる度に握りあった手に力が入る。
体内に排出された欲望が希望と不安に変わり、地球が一巡する。
交わり合う影を見て安堵し、微笑んだ。
土曜日/君の情景
誰もいなくなった公園で涙が流れる。
遠くで見える赤と黒の光と影がまた景色を作り変える。
価値観が変わる。
感情が産まれる。
鏡の顔をした人たちが色んな世界を見せてくれる。
だけど声を掛けると地面に消えた。
見上げる。
長い廊下が続く。壁には絵画。
日曜日/もう一度ぼくの記憶
映写機が止まる。
ぼくは瞼を上げた。
ぼくは知ってしまった。
ぼくは知らなかった。
ぼくらは何処から来たのか。
ぼくは誰だったのか?
洗面器いっぱいの氷がフローリングに広がる。
手が触れる。
ぼくだった。
いや、あなたかな?君かな?
やっぱりぼくだった!
もう一度ドアを開いた。