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ゴブリンロード

次もまた更新は遅くなってしまうかもしれません。

申し訳ないです。

 なんか、外が少し騒がしい。

 でもカイくんが帰ってきたわけではなさそう。魔物がすぐ近くまで来てる?


 柵の外を見ようと、二階に上る。


「やっぱり……、ゴブリンがいっぱいいる……。しかもただのゴブリンだけじゃない。あれは……、まさかゴブリンロード!?」


 ゴブリンは単体ならかなり弱い魔物だけどゴブリンロードを含む群れとなるとかなりその危険度ははね上がる……。

 でもカイくんがいない今、私がここを守らなきゃ。

 この家を使わせてもらってるんだから、それぐらいはしないと。


 ミーアは、外に行ったカイくんが無事なのか心配だったが、無事であると願ってゴブリン達に意識を向けた。


 今のところまだ入ってきてはいないけどゴブリンロードもいる、おそらく入口を見つけて入ってくるのも時間の問題。

 普通の魔物は知能がそこまで高くないけど、ゴブリンロードは普通の魔物にくらべてかなり知能が高い。


 今のうちに対策を立てなきゃ。

 私に対処できるのは良くてもゴブリンメイジあたりが限界。でもなんとか討伐とまではいかなくても、撃退はさせないと。


 思考を巡らせるが、あの群れを撃退できるような良い策が一つも思い浮かばない。


 色々と考えているうちに、とうとうゴブリンロードが入口を見つけてしまった。


「入ってきた……。でもまだ私には気づいてないみたい。ならゴブリンロードとゴブリンナイトさえ不意打ちでも倒すことができればもしかしたら……。」


 ゴブリンロードとゴブリンナイトがやられたら他のゴブリン達も逃げていくかもしれない。

 最悪、ゴブリンロードだけでもいい。


 今は息を潜めて、確実に不意をつける時を狙おう。


 そしてゴブリン達とは反対側から家の外に出て、屋根の上に昇った。そこからゴブリン達の様子を伺うことにした。


 ゴブリン達は周りを見ながら、ギィギィ言って家に近づいてくる。

 まだこちらには気づいていない。このままもう少し近づいてくるのを待って、上から最大火力の魔法で攻撃。

 それで倒せるといいけど、もし倒せなかったら……。

 いや、それを考えるのはやめよう。


 不安を抑え込み、ゴブリンロードの不意をつけるタイミングを待つ。


 家の前から十メートルほどまで来て、ゴブリンロードが後ろのゴブリン達に指示を出すような動きをしている。

 ミーアはついにこの時がきたと、なるべく小声で詠唱した。


「ストーンブラスト……!」


 大きめの石が雨のようにゴブリンたちを襲った。

 すぐに土煙で辺りは見えなくなったが、ゴブリンたちが叫びながら次々と倒れていく音が聞こえる。


「やった……のかな……。」


 少し安堵した。が、その安堵はすぐに恐怖へと変わる。

 土煙が薄れ、ゴブリン達が見えるようになりよく見てみると、ゴブリンロードが立っているのだ。少し傷は付いているが、全く効いている様子がない。

 しかもゴブリンナイトまで平気そうに立っている。

 見た感じ、倒せたのはゴブリンメイジ辺りまでだ。


 やっぱり私じゃゴブリンロードはおろか、ゴブリンナイトさえ倒せなかった……。


 絶望で座り込んでいると、ゴブリンロードがこちらを睨み、地面に刺さった石を拾った。すると、腕を思い切り振りかぶった。


 気がつくと頬からツーっと血が垂れていた。何も見えなかったが風だけが横を通り過ぎた。おそらく石を投げたんだと思う。もしこれが直撃したら……。


 恐怖が頂点に達し、すぐにその場から逃げようと思ったが、すでに家の周りを生き残ったゴブリン達が囲っていた。


 前にはゴブリンロード、後ろにはゴブリンナイト。左右にもゴブリンメイジやゴブリンアーチャーがいる。ゴブリンメイジやゴブリンアーチャーならまだ戦えるだろう。しかし戦ってるうちにすぐゴブリンロードとゴブリンナイトがくる。


 だめだ、もう逃げ場がない……。


 そう死を覚悟した時、


「ミーア!」


 声の方を見ると五メートル近くはあるであろう柵を飛び越えている人影が見えた。


「カイくん……?、だめ……。来ちゃだめ!」


 ♢


 前の方が騒がしい、おそらくゴブリン達が来てしまったんだろう。奴らが今いる場所が家の近くでないことを願いたい。


 どうかミーア、無事であってくれ……。


 まだ会って1日だが彼女を見捨てるなんてことはできない。この世界に来て初めて会った人だ。見捨てるなんて出来るわけがない。


 正面に柵が見えてきた。だが入口がそこにはない。大回りすれば入口からいけるが、そんなことをしている時間すらないかもしれない。


 《柵を飛び越えることをおすすめします》


 振り落とされないよう腰に巻きついているフィーネから言われた。

 普通ならできないと思うだろうが、なぜか今はできる気がしている。


 柵の五メートルほど手前に来たとき、勢いはそのままに強く地面を踏み込んだ。


 柵よりもかなり高く飛んだ。飛んでいる途中家の方を見た。ミーアがゴブリン達に囲まれている。


「ミーア!」


 ミーアに呼びかけた。ゴブリンたちが一斉にこっちを向く。ミーアもこっちに気づき何か言っている。何を言っているかは分からないが、ひとまず無事で良かった。


 着地後少し近づき、どうするかを考える。

 ゴブリン達は、今はこっちに意識をむけているがいつミーアに攻撃をしかけるか分からない。

 今のうちに手を打っておいた方がいいかもしれない。

 どんな魔法があるかは散策中にある程度教えて貰っていた。今最適なのは壁が作れるようなものだ。その中でも地属性のものが一番いいだろう。


「ストーンウォール!」


 発動させるとミーアとゴブリン達の間に土の壁ができた。ミーアが少し驚きの声をあげた。

 ゴブリン達は驚いた様子だったが、すぐに壁を攻撃し始めた。だが全く壊れる様子はない。かなりの強度のようだ。

 これでミーアの心配をせずに戦えるだろう。


 ゴブリン達が叫びながら壁を攻撃する中、冷静にこちらの様子をうかがっているやつがいた。おそらくこの二体がゴブリンロードとゴブリンナイトだろう。

 確かにこの群れの中で、明らかに他とはレベルが違うと俺でも分かる。


 一応腰に付けていたブロンズソードを構える。けど剣なんて使ったことがない、補助的に魔法をうまく使いながら戦おう。


 《武具に魔力を込めることにより強度等を上昇することができます。身体にも応用可能で、使用時は身体能力が飛躍的に上昇します》


 魔力でそんなことも出来るのか。けど魔法使う時もそうだが、俺は魔力の操作を自分でやってない。

 武具に魔力を込めるとか、そんなことできないぞ?


 《では発動したい時、武具の場合【アームズブースト】身体の場合【フィジカルブースト】と念じてください》


 これもフィーネが魔力操作してくれるのか。とりあえず両方頼んだ。

 こうなると多分フィーネがいなきゃ俺は生きていけないな。


 《ご冗談を》


 少し照れくさそうだ。やっぱスキルでできた人格だけど人間味があるよな。


 改めてゴブリンロードに意識を向ける。

 武器は鉈のようなものを持っている。見た感じ武装はそれだけだ。だがゴブリンロード自体がかなり大きい。三メートルぐらいだろうか。それだけで脅威だろう。


 だがゴブリンロードは自分ではなくホブゴブリンに攻撃するよう仕向けた。後ろからゴブリンアーチャーとゴブリンメイジがサポートって感じだろう。ゴブリンロードはそれなりに頭が回るようだ。


 だがホブゴブリンぐらいなら余裕だ。後ろからの遠距離攻撃が来る前にホブゴブリンたちを倒せればいいだけだからな。


「ソイルニードル」


 地面から大きめの棘がたくさん生えて、ホブゴブリンたちを一瞬で殲滅した。

 だがゴブリンロードは一切動揺することなくゴブリンナイトに指示を出した。


 ここからは少し手こずりそうだ。


 ゴブリンナイトは人間と同じぐらいの大きさだが大剣をもっている。剣を使う相手に俺みたいな素人の剣は通用しないだろう。それとゴブリンロードとは違い武装している。頭と胸、腕の部分に皮の鎧をつけていた。


 両者が向き合うとゴブリンナイトが先に動く。

 かなりのスピードで距離をつめてきた。とても大剣を持ってるとは思えない動きだ。

 やはりゴブリンナイトもかなりの脅威なのだろう。

 目の前まで来るとゴブリンナイトは大剣を上から振り下ろした。それを後ろに避けつつ魔法を詠唱する。


「フレイムバレットッ!」


 牽制ぐらいにしかならないかもしれないが魔法を放った。予想通り大剣でほとんど弾かれた。だが当たった分は効いているようだ。


 少し怒ったような様子でまた斬りかかってきた。さっきよりも速い。が、さっきよりも隙が多い気がする。


 大剣を横に振った瞬間に上に飛ぶ。これで終わりだ。


「エクスプロード」


 空間魔法の応用で、爆発の範囲は小さめに抑えたが威力はそのままだ。

 一瞬で跡形もなくなった。


 それを見ていたゴブリンロードがついに動き出した。

 その顔は怒っているとかではなく、にやけているように見えた。

 ずいぶんと余裕そうだ。少しイラッとした。


 剣を腰にしまい最初から全力で魔法を使うことにした。

 ゴブリンロードも鉈を構える。


 ッ!?


 ゴブリンロードが鉈を構えたと思った瞬間その場から消えた。一瞬で距離を詰めてきたのだ。そのまま鉈で斬りかかってくる。なんとかギリギリでかわせたが、フィジカルブーストしていなかったら危なかったかもしれない。

 やっぱランクAは伊達じゃないようだ。


 これはどっちにしろ最初から全力じゃないとだめそうだ。

 相手はかなり速い。魔法を当てることすら難しいかもしれない。なにか作戦を立ててうまく当てられるよう誘導しなければ。

 だが考える間もなくゴブリンロードは追撃してくる。

 攻撃速度も速く、当たったらさすがにひとたまりもないだろう。今はかわすのだけで手一杯だ。

 今は耐えて、この連撃が終わってから仕掛けよう。


 やっと一旦止まった。一分ほどずっとかわし続けていた気がする。

 次はこっちからいかせてもらう。


「ソイルニードル!」


 魔法を放つと、予想通りゴブリンロードは察知して上にジャンプした。それを求めていた。


「インフェルノ! これで終わりだ!」


 空中で逃げ場のないゴブリンロードに向けて最上級魔法を放った。


 ゴブリンロードが地獄の業火に包まれる。炎の中から今まで聞いたことも無いような叫び声が聞こえる。

 自分で放った魔法だが、少し怖かった。


 炎が消えたあと、ゴブリンロードも何も残らずに消滅した。


 直後、レベルアップしたとフィーネから告げられた。

 そういえばゴブリンナイト倒した時も言っていたな。

 今日でかなりレベルが上がってそうだ。

 確認しようとも思ったが、まだゴブリン達の残党がいるので一応後にした。


 残党は攻撃してくるようなら倒すつもりでいたが、ゴブリンロードが倒されたことで、森の中へ逃げていった。


 全てが終わり、家の周りの【ストーンウォール】を解除すると、ミーアは屋根の上で気絶していた。

 起こさずにそっとベッドに連れていき寝かせておいた。


 家の中で一息付き、レベルの確認をすることにした。


「ステータス」


【名前】カイ・アベール

【種族】人族 【性別】男 【年齢】17歳

【称号】異世界人 創造神の友人

【加護】創造神の加護

【レベル】190

【体力】10595/10595

【魔力】10695/10695

【攻撃力】4825

【防御力】4875

【素早さ】1990

【知力】70

【運】90



「はぁぁぁぁ!?」


 あまりの上がり具合に、声に出して叫んだ。

 声に出して叫ぶというのはこの世界に来て、初めてのことだった。

魔法の等級や、細かい設定が気になるって方がいれば後々ある程度出揃ってきたらまとめて出したいと思います。

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