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神話の終わりと4人の魔人  作者: ヴィランズ
1章永遠の楽園の始まりと終わり
7/17

楽園の終わり

神界戦争が終わり、天照を始め多くの神々が傷つき、療養を余儀なくされていた。そもそも神々は不死というが死ぬ時は死ぬし、傷つきもする。ただ少しばかり死ににくいというだけだ、そんな訳で神界全体は長期休暇よろしくみんな働くことをやめてゆっくりとした時間を過ごしていた。主神クラスの神々はというと、今後同じ様な事が起きないように連日話し合いを続けていた。


戦争以降、神界はそれ程変わらない日常に戻っていた。しかし、アーリマンを倒して以降、彼は自室へと籠り誰の前にも姿を現さなくなっていた。主神達は話し合いの中で、神帝は先の大戦でどこかお身体の具合が悪くなったのではないか?まさか御隠れになられたのではないだろうな?と心配する声が出るくらい彼は姿を全く見せなかった。そんなある日、彼は突然神界にいる神々全てに集まるように命じたのでした。彼の事を心配していた神々は一目彼の無事な姿を見ようと大勢集まりました。玉座の間に集まった神々の前に堂々と現れた。

皆には心配をかけた、全ては生みの親である自分の責任であると。今後このような事が無いように管理を徹底していこうと思う、その為に、全ての神々に与えている様々な力を1度神帝である俺に返してもらいたい、そう伝えました。神々は戸惑いざわついた、それもその筈である、神々にはそれぞれの役割がありその役割の為に存在し、その為に力を与えられている。それを1度とはいえ返すとなると、神々の存在意義を失う事になる。極端に言えば消えろと言っているようなものである。そうゆうものだ、そうゆう存在なのだ、というのが神の在り方であり、それを変えることは神でなくなることと同義だ。戸惑う神々に神帝はこう続けた。

1度消えてしまうかもしれないが、必ずまた役割を与えて復活させることを約束する。だから安心して俺に力を預けて欲しい、全ては神界をより良いものにする為なのだ。

不安がる神々だったが、全ての主である神帝が仰るのだ、従う他あるまいと主神達を初めとし従う意志を示した。しかし、そこに異を唱える者が一人。


神帝よ!何故かような嘘を仰るのか!貴方様がくださったこの「眼」が!今貴方様が言ったことを嘘だと訴えているのです!


それは、多くの罪人達を裁き、多くの死者達を楽園・・・・・・いまは神界と呼ばれるその場所に導く大王、広大な地下は今や脱出不可能の大監獄、地獄を総べるヤマラージャその人だった。ヤマラージャが知る限り、彼は嘘をつくような方ではなかった。ましてや1度消した命を元に戻すと言っておきながら戻す気などサラサラないなんて。きっと何かの間違いだ、彼は疲れているに違いない。ヤマラージャは自分の眼が嘘を言っているのではないかとすら思う程彼の言葉が信じられなかった。彼なりの考えがあったのかもしれない、もっとよく話し合うべきだと思った。しかし、それを遮るように天照が告げる。


ヤマラージャよ!地獄の門を開くのです!神帝はご乱心なされた!地獄の最下層に氷漬けにして頭を冷やさせるのが良い!急ぎなさい!


今まで聞いたこともないほど険しい天照の声にヤマラージャは驚愕した、天照が叫ぶと同時に神帝は天照に目掛けて鋭く尖った氷の(つぶて)を何百もの数を放った。天照は正面に手をかざし自分の熱で礫を溶かす、それと同時に腰にぶら下げている剣、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を引き抜き構える。すかさず神帝は空間から誰も見た事がないくらい巨大な怪物を生み出した。元々巨大に作られた玉座の間の天井を突き破り、上半身は人のそれと変わらないが両手を広げるととてつもなく大きかった。髪は全て蛇の頭であり、煌々と輝く赤い眼、口からは炎が吹き出ていた。下半身はこれもまた巨大な蛇の尻尾がとぐろを巻いていた。

おぞましく恐ろしい怪物の姿を見た神々はあまりの恐ろしさに人の姿を捨てて様々な動物の姿となって一目散に逃げ出した。その一部は地上へ真っ逆さまに落ちていったが、鳥の姿となって逃げていったので多分大丈夫だろう。

殆どの神々は逃げ出したが、天空の神、ゼウス率いる十二神は勇ましく残っていた。あと、一人状況が飲み込めてないヤマラージャも。


ゼウスよ!あの怪物の相手を頼みます!わたくしはヤマラージャと共に神帝を地獄に堕とします!ヤマラージャ!!早く地獄の門を開くのです!


天照はそう告げると神帝と激しく斬り合う、ヤマラージャは焦りながも地獄の門を開きにかかった。ゼウスとその他の神々は怪物を神帝から引き離すように誘導しながら激しく戦い始めていた。ゼウス率いるオリュンポス十二神は体が大きく、戦いも慣れているのか非常に頼りになった。


神帝は天照と斬り合いながら問う


あの石を何処にやった、これでは(むくろ)と変わらぬ。最後にお前と話をしていたのは分かっているんだ。


貴方にお話することは何も御座いません、地獄で己の行いを悔いてください。


そうか、答えぬのならお前を生かしておく道理も無い。今すぐにお前もアーリマンの様に斬り捨ててやろう。


そういうと、神帝は天照の天叢雲剣を弾き飛ばす。天照はこれまでかと諦めたが、それと同時に神帝の足元に巨大な門が出現する、地獄の門だ。地獄の門は出現すると同時に開き神帝を飲み込もうとする、しかし、神帝は飛ぶ事が出来る為落ちることは無かった。


無駄なことを、全てを創った俺が地獄ごときに閉じ込められる訳がないだろうに!


神帝は全身から黒い霧を噴き出しながら禍々しい姿に変貌していく、巨大な腕となったその手で天照にとどめを刺そうと振り上げる。


────堕ちよ!!


天照の首飾り──八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)が光り輝き、それと同時に天照が叫んだ。神帝の身体は天照の言葉に従う様に徐々に門に引きずり込まれていく。


こっ、この力はぁ!!そこにあったのか!くそがぁあああああ!!!!!!


神帝は断末魔の叫びを上げながらそのまま地獄の門の中へと吸い込まれていった。バタン!と門が閉じてそのまま消えていった。

天照は終わったと安堵し深くため息をついた。遠くを見るとゼウス達も終わったようだった、どうやらあの怪物を巨大な山で押し潰したらしい。なんとも豪快な倒し方だ。なんにせよこれで終わった、とりあえずなんて説明したら良いのかと、涙と鼻水とヨダレでぐしゃぐしゃになっているヤマラージャを見て思う天照だった。







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