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私は正義

作者: 新兎和真

許せない。


あの女が許せない。


人の心を踏みにじったあの女が。


目障りなことに毎日、毎日Twitterに上がってくる。


鬱な奴が毎日毎日キャス配信なんてできるわけがない!


だって私はこんなに沈んでいて打ちひしがれていて、とても鬱でキャス配信なんて行く気力もない。


鬱のせいで生活もままならず、もうお風呂には1ヶ月も入れていない。


それなのにあの女は1日か2日そこらお風呂に入れなかっただけで鬱だとのたまっている。


何が鬱だ!? 巫山戯るな!



それから更に目障りなのは、あのツイート!



私は小説を書いていて小説投稿サイトに投稿している。


できるだけ明るくて皆が楽しめるような、希望が持てるような小説を。



だけど、あの女の小説は許せない。



いじめや毒親や自殺未遂のことをネタにしている。


そんな話、誰が聞きたいものか!


嗚呼、嫌だ、嫌だ。思い出したくもないことを思い出してしまう……。


本当にあれが実話だとしたら思い出すだけでも嫌で、書くなんて到底できるはずがないに決まっている!



だから絶対に全部嘘だ!



Twitterのタイムラインにあの女は小説の一文を載せてツイートしてるから、嫌でも読んでしまう……。



私は虐められて精神を病んでしまったから、人混みが嫌いだ。


笑い声がすると自分が笑われたようでビクビクしてしまう。


外出すると決まって知らない人から悪口を言われてしまう。


だから外出することができない。


それは私が世の中からしたら異物だから?違う。そんなの妄想に決まっている。


それを、それを、ネタに使うなんて……!


そんなか弱い小動物のような人間が……


殺人鬼に同情してしまう!?


なんとなく人を殺してしまう気持ちがわかる!?



そんなことがあるはずない!



何故あんな女の小説が沢山の人に読まれて私の小説が読まれないんだろう。


これは絶対におかしい。間違っている。


あの女は謝るべきだ。


私を含めてあの女の小説を読んで傷ついている人達全員に……!






私はあの女の質問箱に手紙を書いて出した。


もはや質問でもなんでもないが、一言言ってやるのが世のため人のためだ。


そろそろ非を認めろと言うことと、どれだけあの小説の被害者がいるかということや、被害者妄想をやめてよく考えてみろと言うことも言ってやらないといけない。



あの女、どうも最近人から言われて小説のタイトルを変えたらしい。


せいぜいした。


私もあのタイトルは自分がなじられているようで気に食わなかった。


どうやら非を認めて改める気持ちは持っているようだし、私からの手紙を読んで色々悔い改めるに違いない。




あの女からの返信が来た!!!




私は勝利を確信してその女のツイートを見た。



「まっ、まさか私の小説がそんなに世に影響を与えてるなんて嬉しいです!!!


読んで下さってありがとうございます!!」




私は泡を吹いていた。


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