閑話:考えるのをやめました?
エナ視点です。
「エナさん、木で作って貰いたいものがあるのですけれども。」
「いいよ。」
私は最近、カリンのおかげで取柄を一つ持つことができた。それは植物の錬成。普通金属しか錬成できないドワーフ族の錬成魔法ではなく、植物を操るエルフの自然魔法でもない、私だけの魔法だ。
しかも錬成した植物は鍛造というかなんというか叩いたり、別の植物を混ぜたりして性質を変えることができる。自然を愛するエルフ族が知ったら大激怒だろう。
練習も兼ねて様々な木製品を作っていた。カリンにも家具や櫛など作ってあげたらとても喜んでいた。まあ大体は私の世話をしてくれるための物だから、申し訳ない気持ちもあるのだけれども。
「凄く小さいものなのですけれども、大丈夫ですか?」
「まかせて。」
そして、カリンに細かい注文をされながら錬成して、一本の小さな棒ができた。
「何、これ。」
「出来上がるまで秘密です。」
そう言うと、カリンは台所に消えていった。
それから数日経ったある日のことである。
「ついに、ついに出来ました!」
掲げたその手の先に見えたものは、先日作った木の棒だった。
「どうしたの?」
「まあ、物は試しです。こちらに来ていただけませんか?」
「来た。」
「それでは、こちらに体を横にして、頭をのせていただけますか?」
ぽんぽんとカリンは自分の太ももをを叩く。
私は指示された通りに太ももに頭を置く。柔らかい。良い匂いもする。私は直感でこれはまずいやつだとわかった。しかし抗うことはもはや出来ない。
「ふふっこちら向きなのですか。甘えんぼなのですね。」
どういう意味かはわからないがとりあえず否定しておいた。ちなみに今は、顔をカリンのお腹の方に向けている。
「それでは、いきますよ。」
途端、頭に何か柔らかいものが当たる。これはあれだ。そう、あれだ。
それとほぼ同時に私の耳に快感が走る。
「ふあ!こ、これ!?」
思わず声が出る。忘れていた。エルフの血を持つ私は耳が、あれなのだ。そうあれなのだ!本当に悪い所ばかり受け継ぐ自分を呪う。
「な、なに!?」
「これは耳かき棒です。ここに来てから無いなと思いましたが、やはり習慣になっていないようですね。」
習慣になってたまるか!こんなこと続けられたら体がいくつあっても足りない。
「や、やめ・・・」
「はい、危ないので体を動かさないでくださいね。」
体を手で押さえるカリンを、何故かわからないが押しのけられない。力は何倍も私が強いというのに、逆らえない。
「ふっ!?ふぐぅ!?」
耳かき棒が私の耳の外側をカリカリと円を描くように細かく動く。堪らず声が出る。
「ここがいいのですか?」
カリンは慣れた手つきで的確に私の気持ちいい所を攻めてくる。我慢できなくなった私は自分の指を噛み痛みで耐える。
「いたいいたいしちゃ駄目ですよ。ほら」
カリンは私の手首をつかむと優しく口から離れさせる。いつの間にか口調も変わっている気がしたが、惚けている私に気付ける余地はなかった。
「あっ!?ああっ!」
手を離され、抑えられなくなり情けない声を出す。まずい、これはまずい!!
「じゃあ、中の方やっていきますね。本当に危ないので、動いては駄目ですよ。」
その声と同時に耳とおしりに強烈な快感が加わる。えっおしり!?なんで!?
ただでさえ敏感になった体に、撫でまわすおしりの快感が追撃をかけてきた。
「な、なんえ!なんえぇ!?」
「動かないでください。ほら、もうすぐ大きいのが取れますからね。」
目の焦点が合わなくなり、涎まみれになった私の口から出した必死の抗議は、諸行無常、カリンの動きを止めることはできなかった。
「らめっ!?もうらめぇぇ!」
「もう少しで終わりますからね。我慢してください。」
悪魔かこいつ!?もう駄目って言ってるじゃない!!
私は考えるのを止めた。無意識になり、目の前の光景が真っ白になる。あっこれ啓示なの?違うか。
「はい。じゃあ最後に息を吹きかけて終わりですからね。」
どれぐらい時間が経ったのであろう。と何度私は言うつもりだろう。
耳にかかる息によって、陸に挙げられた魚のように小刻みに震えていた私の背筋に電気が通る。
「終わりました。お疲れさまでした。」
「終わっ・・・たの?」
涎まみれになった太ももに情けなさと申し訳なさを感じながらも、私はやっと終わったと安堵し、立ち上がろうとする。
その時、カリンに両手で頭をつかまれた。
「な、何?」
「次は反対側ですよ。」
何度私は考えるのを止めればいいのだろう。
でもたまに、その時のことを思い出してまたやってもらおうと思う自分がいる。
結構危なそうなところ削りましたが満足です。特にハートを使うのを自重しました。