誤作動
お読みいただければ、幸いです。
第三者目線になるよう頑張りました(`・ω・´)
起動します
視覚機能 異常なし
身体機能 異常なし
情報処理機能 異常なし
燃料の残量が残りわずかです
燃料の補給を要求してください
現在の実働可能時間は三十分です
空気中の酸素濃度が不足しています
室内の換気を行うか
室外に出ることを推奨します
人形の、頭内部で機械的な女性の声が聞こえた。
人形は目を開けて頭部を動かし、辺りを見まわす。
そこはその人形の他にも数体ほど、人形が保管されている部屋、倉庫だった。
人が暮らす環境ではない為掃除をろくにしていないのであろう、埃がいたるところに積もっている。
人形は座っていた椅子から立ち上がり、自らが入っていたガラスケースの扉に手を掛けた。
扉の蝶番に油が不足していたのであろう、ギギッという音ともにガラスケースの扉が開く。
室内の酸素濃度が正常になりました
室内の環境を劣悪と判断しました
すみやかに清掃を行うか
室外に出ることを推奨します
・・・検索しています・・・
室外への出口を発見しました
室外へ出ることを推奨します
再び女性の機械音が頭部の中に響く。
人形はゆっくりではあるものの、倉庫の出入り口を発見し出入り口の方へ歩を進めた。
ドアノブをつかみ、ひねる。
人形は、そのまま扉を押したが出ることは叶わなかった。一度ドアノブから手を離す。
またドアノブを握り、ひねる。
今度は、そのまま扉を自分の方へと引くと扉はいとも簡単に開いた。
「あっ起動しちゃったのか。誤作動かなあ。」
扉を開いた先にいたのは、壮年の痩せた男性だった。
男は人形の目の前に手を持ってきて、左右に振る。
手がちゃんと見えているか、視覚機能を確かめているのだ。
人形は手の動きに合わせて、瞳を動かした。
「目はしっかり機能しているなあ。よしよし。」
男は満足そうに頷いた。
「足は、ここまで歩いてきたから大丈夫だろう。手は動かせるか?試しに俺の手、握ってみな。」
男は、人形の腹あたりに手を開いて差し出す。
・・・検索しています・・・
握手を求められています
男性の手を成人女性の平均握力で
握ってください
人形は、男の手を握る。
ふわりと柔らかく、男性の手を握りつぶさないように。
「力の制限も出来ているようだな。まあ、家事の最中に制限できなきゃ食器がいくつあっても足りねえし赤ん坊なんて世話させた日にゃあ、抱き殺されちまう。」
・・・発言を処理しています・・・
「力の制限」人間の力を超える能力を要求されていません
腕力および脚力ならびに視力を成人女性の平均値に設定しました
「家事」家事をすることを要求されています
「炊事」「洗濯」「清掃」機能を更新しました
「赤ん坊」育児をすることを要求されています
「育児」機能が不足しています
情報の取得を要求してください
「さて、「育児」は・・・育児書でも買ってきてプログラムさせるしかないかあ。」
男は大分、めんどくさがりのようだ。
実働可能時間を超えました
活動を終了します
人形の視界がブラックアウトする。
「あっ」
次の瞬間人形は、両の目を閉じてその場に倒れこんだ。
お読みいただきまして、ありがとうございます。
台風が立て続けに襲来しておりますが、皆さま大丈夫でしょうか
どうかご無事でありますように。




