ラタンの中身
暑さ寒さも彼岸まで、というのは嘘なのか?!迫り来る極寒の風と花粉の嵐!(なにこれ)
続きを作りました。
お読みいただければ、幸いです
"ソレ"はぽつりとさびしく、寒風吹きすさぶ墓地に置かれていた。師走の外、しかも墓地に置いていくとは非道い輩も居たものだと嘆息する。
よいしょ。
実際はそれほどの重さもなかったのだが、ついそんな声を出してしまった。
ラタンの揺りかごは"中身"が居ても、さして重いというものでもない。"中身"は自身がおかれている状態も知らず、両の目を閉じて寝息をたてていた。泣きわめかれるよりはマシだが。
さて、"コレ"をどうしようか
ラタンを持ち墓地を後にする。買い物籠のように持つのもどうか、と思い両の手でラタンを抱えて行く。村に着くと、当然村の衆に注目された。
「磯良さま、そのややどうなされた。」
「とうとう産みなされたか。」
産めるわけがねえ。
ストーブの前でたむろしている爺たちを軽くいなし、若者が集まる飲み屋の方へ足を進めた。
とりあえず、近所に住む若い衆に訊いていく。しかしながら誰一人心当たりの有るものはおらず、最近出産をした女人で子供をなくしたものもいないという。
「見たところまだ、生後一ヶ月も経っていないと思うのだが。」
「そうですね、うちのちびもこないだ産まれましたがこのくらいだと。何処に置かれていたんですか。」
「上の、村外の墓地、ちょうどお慶の墓の前だ。」
「ああ、奥様の。」
「拾った奴が面倒を見るのが筋というものだが知っての通り俺は自分の面倒すら見るのもやっとの寡夫の身、出来ることなら経験豊富の誰かに預けたいと考えているのだが。」
「皆、磯良さまのお力になりたいと思っていますのでご心配なさらず。あと、里親制度にも掛け合ってみます。」
「ああ、有難う。だが俺も丸投げはしたくない、何か困り事があったら言ってくれ。」
そう言って、ラタンを若い衆に預けた。最後にまた、"中身"を確かめる。
"中身"は自身がおかれている状態も知らず、両の目を閉じて寝息をたてていた。
そういえば"コイツ"、ずっと寝たきりだったな。
お読みいただきまして、ありがとうございました。




