熱帯夜に見るホラー映画の恐怖
子供の頃からホラー映画に免疫のない自分はその存在を知っていても手を出すことはなかった。
切欠は何でも些細なものである。
ある暑い夜に涼を求めて近所のレンタルショップに入ったのであった。
この店はレンタルショップは激減している現代でも生き残ってる数少ない店で昔からあるので古いビデオのレンタルも行っているのが嬉しい限りだ。
「暑い夏にホラーで涼しもう?」
かなり古い一枚のポスターが目に留まり書かれている事を無意識に読み上げてしまった。
これも何かの縁と自分はホラー映画のコーナーに足を運ぶのであった。
「結構色々あるもんなんだな…」
そのコーナーに行って品揃えの豊富さに驚いたが一通り目を通して自分は2本の映画に最終的に絞っていた。
一つは有名なテレビから怨霊が出てきてってやつだ。
もう一つは有名な電話がかかってくるやつだ。
さんざん悩んだあげく俺はその二本を借りることにした。
やっぱりこういうモノは環境が大事である。
部屋を暗くしてテレビの前に布団を敷いてそこで早速電話のヤツから見ることにした。
怖かった。
正直ホラー映画を舐めていた。
元々免疫が無い自分はきっと他の人より怖く感じるものなのだろう。
それでも二時間の恐怖に打ち勝った自分には少し余裕のようなものができていた。
「もう一本も見てから寝よう。」
誰に告げるわけでもなく一人で口にするのは恐怖に震えている証拠なのだが、そんな事にも気付かない俺はもう一本の映画をセットした。
その映画もまたかなり怖く自分は暑い夜だと言うのに布団にくるまりながら鑑賞をしていた。
そして、いよいよ問題のシーンだ。
テレビから怨霊が出てくるのをテレビで見ると言う状況はまさに恐怖としか言いようがなかった。
だがそれでも人が死ぬシーンで最後に登場人物が絶叫するのは近所に御迷惑だろう。
俺は自分が怖がっているのを誤魔化す様にテレビのリモコンに手を伸ばした。
もし今テレビから怨霊が出てきたら…
そんな考えが頭に浮かぶ…
そして、そのままボリュームを下げようとリモコンを操作したときであった。
「ぎゃああああああああ!!!!!!!!!?ふじこっ」
部屋に俺の叫び声が響き、俺はそのまま翌朝まで意識を手放すのであった…
人は予期せぬ事態にこそ喜怒哀楽が激しく起こる。
俺は間違いなく見たのだ。
我が家のテレビにも現れたそいつの存在に…
そう…
『オンリョウ』
に…
クレームは受け付けません(笑)