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黒猫

遅れてすいっっっまっせん、、!!!!

「いいですか主様、現状での最優先事項とはなんですか。 」



ズイッと差し迫ってくるジャンヌ、彼女の暑さは、現状僕たちを照らし、まわりの青草を無作為に茂させる真夏の太陽が如く、いやそれ以上の熱さが彼女の瞳にともっている。



「ちっ...知識の、取得....」



そんな彼女の瞳の奥にやどる熱に気圧されて出た僕の言動は、彼女に苛立ちという薪を投入して、怒涛の炎へと変貌していく。



「それでも私の主様ですか?バカです?第一前提はそこじゃないでしょう、私はあなたに仕えますが、いくら私があなたの護衛しても、その最優先事項を弁えていない限り、今後の主様の命運に保証しかねます。 」



彼女(ジャンヌ)の言葉遣いにいっそうとげが増す。



本当に彼女は、かの有名なフランスのヒロインなのだろうか....僕はもっと、何をしても怒らない天使のような人だと思っていたのだが....



ただ、彼女の言葉のおかげで少し頭が冴えた。



彼女の言わんとする最優先事項とは、『生きる』ことだ。



僕たちの前にある城壁は僕に万里の長城を彷彿とさせたレベルの果ての見えない壁である約8000km以上の長さがあるかまではわからないが、高さといい、長さといい、とてもじゃないが、人間の僕には、上によじ登ることはもちのろん、壁の果ての先まで歩いていくのですら、食料などの準備なしでは、おそらく無理である。



そもそも、壁の果てまで行けば安全に侵入できるかどうかも、確証しうる要素(エレメント)が足りなすぎるため、リスキーなものとなってしまう。



唯一望みがあるとすれば、ジャンヌの魔法だが、それができるなら、彼女の現在の反応からして、それはできない(できたとしてもしてくれない)のだろう。



「はぁ、わかったよ....じゃあ、ジャンヌ、僕たちが『生き延びるため』に、何かいい策はあるの? 」



ため息交じりに、少々の自棄(やけ)感をいれて、彼女に、自身の思考に対する敗北の意を示す。



その言葉を聞いたジャンヌは満足気にニヤッと──────



『にゃぁ~』



の前に黒猫が目を覚ましたようである。



そういえば寝ているときも、咥えている封筒は、器用に咥えたままだった、この子は相当賢いだろう。



いままでちょっと忘れかけてた猫の唐突の自己主張に、僕とジャンヌの時が一瞬止まった気がしたようなしなかったような気がするが、猫がジャンヌの手の中で前足を必死に動かしておろしてほしいとアピールしているので、ジャンヌはそれでハッと正気に返った。



まぁ、ここで、少々話が脱線してしまうのは仕方ないが....その、



「おろしてあげなよ、オチビさんも可哀想だ。 」



彼女(ジャンヌ)が猫をなかなか降ろさないのはどうだろうか。



「主様っ!!私は主様の命令には基本絶対服従ということになっておりますが、この件は別です!!こんなかわいい子をなぜはなすのですか?」



ジャンヌのお淑やかなイメージががりがりと削られていくようなあわただしい発言であるが、しかし彼女の容姿は美少女という言葉の体現者といっても過言ではないものなので、いかな場合であれ、彼女の言動、行動、しぐさすべては基本的な男子の『萌え』へ通じるだろうと思う....



ジャンヌの方に歩み寄って、ここまで来て初めてこの猫をなでる。



ふさふさした毛並みは、野良とは思えないほど整っていて、この黒猫には、少々の上品さがある。



もしや飼い猫?とかも想定に入れたいところだが....その場合、どこから城壁の外に出てきたのかという話になるので、飼い主を探すために連れていくというのにもこの子を連れていく理由にならない、ましてや現状無一文の僕たちがこの子の飼い主にはなってあげられるわけがない。



「かわいいからだよ、ジャンヌは知らないかな....日本では、かわいい子には旅をさせよっていうんだよ。 」



「....知りませんよ、そんなの」



ちょっと、ジャンヌが、ムッとした顔になる。



そして僕に猫を渡してきたのだが、この行動は少し謎である?



いや、先ほどから思っていた節があるが、彼女は僕の言動に対して、少し強制的な何かが掛かっているようである、故に、僕の、猫を降ろせという指示に対して無理くり解釈をし、とりあえず僕の腕に『降ろす』ということで、一件を過ごしたようである。



この子のかわいさをつかって、僕の情に訴えかけて、何とか連れて行こうという姿勢は見え見えだが、関心はする。



まぁ、それでもこの子は連れて行かないけどなんて思いながら、黒猫に目をやる。



ん?



「この子....オッドアイだったのか。 」



先ほどまで、ずっとジャンヌが抱えていて、一度も触れてなかったから気付かなかったが、この黒猫は、虹彩異色症(オッドアイ)だった。



「はい、変わった瞳ですが....緑と青、どちらも優しい色で....この子もきっと、優しい子でしょうね」



ジャンヌは少し夢見がちな少女だなとおもった。



猫の緑と青の双眸はこの子の黒を引き立たせて、黒が魅せる謎の神秘さに優しいイメージをともす、2つの寒色は、確かに栄える。



彼女の表現はとても率直なもので、どこか詩的である。



物語チックなものにあこがれる女の子の言動だなと思うが、しかし



やっとぱり連れてはいけな───



「あっ....主様、城壁へのいい侵入方法おもいつきました。猫を連れて行っていいというのでしたらお教えしますが、どうなさいます。 」



「....わかった、連れていく。 」



彼女の人生の幕が閉じたのは、19歳である。



「本当ですか!あぁ、主よ、感謝します」



今の彼女は、19歳には見えない、15歳~16歳っていうような風に見えるが。



それゆえに、夢見がちな少女の夢を守りたいとおもった。



でも、生きるために必要なものはそれではない。



僕たちのこれからの道筋、必要な生きるための糧は、彼女の言っていたように、生きるための意思、そのための一つとして。




「ただし、この子の名前は」




現実と夢の境は必要なのだ。




怨念の主人殺し(プルト)、だ」

猫っていいですよねw

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