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相違

書くのに結構な時間が掛かりました。

文字数はそんなんでもないんだけどなぁ。

「ジャンヌ 」



「はい?」



知識の取得、現状の把握。



よくわからないことだらけの現状に対して、これがまず、今必要な最優先事項であるのは確かなので、人を探す、あわよくば街を見つけられると最高だなと考えた。



「ちょっと聞きたいことがあるんだけど 」



「なんでしょうか? 」



とりあえず、僕と彼女(ジャンヌ)は最初にいた橋から、太陽の見える方向に、人や街を探すことにした。



特に、必ず人に出会えるとか何か策があるわけではないが、立ち止まっているよりかは確実だからである。



橋があるということは、どちらかに人間が住んでいるという証拠ではあるし。



「どうしてジャンヌは、『僕はそもそも魔法というものをしらない』、と断定できたんだ? 」



これには少し気になる点が多く存在した。



まず第一、この薄緑色の表紙をした本。



(これ)についてはジャンヌもよくわからないと言っていたがそれについて、



僕に記憶がないので確証しようがないというのに彼女は、僕が魔法に関する知識を忘れている、もしくそもそももっていない、この二択の推論(インフェンス)に対して彼女は後者だと断定した。



僕はこれを断言するには不確定要素が多すぎる気がするのである。



「主様は鋭いですね、魔法については街についてから、必要になったときにのみ、私の持てる知識をすべてお教え申すつもりだったのですが、そうですね。」



森には橋に続いてずっと、大きな道が広がっていた。



橋を抜けてからは、昼と朝の境目が見れた橋とは違い、もう太陽しか見ることはできなかった。



猫を抱えて、僕の前を歩く彼女(ジャンヌ)は、クルッと僕のほうに振り向き、僕の服に指をさした。



「主様の服装が、ひどく文明、科学の発達したものに見えたからです。 」



「服....? 」



僕はここにきて、初めて自分の服装に目をやった。



僕の服装は大変みすぼらしい、ボロボロな高校の制服を着ていた。



「科学と魔法は対極の関係に存在します。」



また、前に向き直り歩き始める。



妙に封筒を咥えた黒猫が暴れないなと思っていたら、いつの間にかジャンヌの手の中で夢の中に旅立って行っているようである。



のんきな黒猫だな。



「人間は文明の発達をとるか、魔法をとるかを選ばなくてはなりません。」



「なるほど、確かに僕は魔法と聞くより科学と聞くほうが自然と頭の中での知識がある....ということは僕は────」



「はい、やはり主様は察しが大変よろしいですね、そうです....主様はおそらく、文明の発達した時代の者かと思われます。 」



なるほど。



ジャンヌの返答は要点だけを求められていてとてもわかりやすいものだった。



「つまり、科学が現象の原因について追及するものだとしたら、魔法は、現象の確立されていない理論の曖昧さによる後付けか。 」



「はい、一般的には、魔法は概念、科学は理念として分けられますね。 」



魔法はもとよりあるものだが、現象の原因を知ろうとすると消えてしまう曖昧なもの、科学は原因を知ること。



もとより、リンゴは木から落ちるものだが、人間がリンゴは何故木から落ちるのか、その原因を追究して見つけてしまったとき、その曖昧(まほう)は消えてしまうというだけの話である。



「ジャンヌは魔法が使えるのか? 」



「はい、15世紀フランスには魔法が存在しています。ですが、魔法というのは個人が魔法を使うことができるかどうかというものではなく、その世界、時代に曖昧さがあるかで決まります。 」



「ふぅん、じゃあ....ここ魔法が使えるのか ?」



「はい、ここは使えますね。 」



自分については、この制服を見るに、平成の男子高校生であることが分かった。



しかし、ここでは魔法が使えるということは。



「僕は、タイムスリップしてしまったということか....? 」



「いえ.... 」



ジャンヌが少し苦い表情を浮かべる。



「これは私も、大変考え難いことなのですが.... 」



「ここはたぶん....別の世界です 」



「別の...世界....? 」



僕は聞きなれない単語に思考が停止した、いや、思考は逆に聞きなれない単語を理解しようと、思考はフル回転していたのかな?



「はい、時間というものは概念...──────っと、つきましたね。 」



僕は「え? 」っと言葉が漏れた。



ジャンヌへの視線を外して周囲を見渡してみる。



ジャンヌとの会話に夢中になっていて気付かなかったのだろうか、?



前方には、巨大な城壁が佇み、道の先には赤塗の巨大な鉄製の門、



周りにはシャボン玉のようなものがふわふわと浮いている。



「これは.... 」



「やりました!大都市のようですね、とりあえずそこの門番に話をつけましょう。 」



テケテケとジャンヌは猫を抱えて、門の横にいる門番?の方に向かっていこうとするが。



もちろん僕は、そんな彼女の襟をつかんで、こっちに引き戻す。



「待てジャンヌ。」



「....なんでしょうか? 」



問題でもございましたか?というような顔をするジャンヌに少し顔を近づけて圧をかけ、門番までにはまだ距離があるので、そそッと近くの木陰に隠れる。



「....まず第一、僕たちはまだ、そんなに歩っていないよね 」



今、目の前にある城壁は、中国の万里の長城が如くの大きさ....かどうか今のところ確認できないが、横を見やったところ果ては見えない。



現在。門までの距離は100mほど、それとこの城壁のでかさである、これならもっと早く見えているはずだ。



さすがに会話に夢中になっていたとはいえ、これに気付かないわけがない。



門番に見つからなかったのは奇跡的であろう。



「主様には先ほど....ここでも魔法は使える、という話をしましたよね? 」



「....何か、したのか? 」



「はい、ずっと距離の簡易化をさせてもらっておりました。 」



「距離の...簡易、化....?」



また聞きなれない熟語である。



読んで字の如くであれば、距離を簡単にできるのだろう。



この場合距離を短くする、といったほうがいいかもしれないが。



「魔法の一種です。本当は瞬間移動(テレポート)や、魂体指定転送(ワープ)とかで移動したかったのですが....私は主様から100m圏内にはいないといけないので、距離の簡易化が一番得策でした、此処で魔法が使えると解ったのは何よりの収穫です。 」



テレポートとワープの何が違うのかはわからないが、現状で魔法の話をされても、理解不能である。



辛うじて、魔法が使えるというのは、さっきの説明もあってか、理解はできるが....



「街のなかにワープできればいいのですが、あの城壁....魔法干渉不可領域になっているので、門を通らないと中には入れないんですよね。 」



おそらく、ジャンヌはわざと僕がわからないの話をしているのは容易に理解できた。



彼女は僕の指示には従うようなので、指示をされる前に強引に事を運びたいんだろう。



「じゃぁ、距離の話はもういい、第二に、この城壁の大きさと門の位置だ。 」



「はい? 」



城壁の大きさは、その国の敵対する者によって比例する。



例えば、万里の長城なんかはいい例である。



そして、一個軍隊みくぐれるだろう、この門の大きさと位置、それと先ほどまで歩っていた道である。



妙に整備されていて、一個軍隊も通れそうな巨大なこの道は。



見渡しもよく、最初にいた太陽と月の分かれていた橋の方向に真っすぐとつながっている。



これはおそらく、



「おそらく、こっち側にこの国の敵国が存在してる、そこの門番は簡単に入れてくれるどころか、殺される可能性が大いにあるぞ。 」



そう、このまま門番の前に行くと、僕たちの来た方角的に僕たちが敵だとみなされることになるのだ。



僕の説明を聞いて、ジャンヌがはぁ、とため息を吐く。



割と大事な話をしたつもりなのだが彼女は「なんですか? そんな話? 」みたいな顔をしている。



ジャンヌは状況を把握するのが苦手なようである。




「主様....主様は状況を把握するのが下手くそみたいですね 」




(それ、僕のセリフ....)

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