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夕月  作者: 白州藍樹
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 時どき、ほんの時どき、誰もいない頃を見計らって、あたしはこちらに来た。そのたびに、何にも変わっていないと思って息をついた。磨けば綺麗な筈なのに手を付けられない家具たち、小物たち、放っておかれたものたち。あたしと同じ、時折り気まぐれに振り向かれるだけのものたち。見つけられ得ないものたち。その場所に、ただ在るだけの。罪なんてきっと持たないのに、そっと離されているものたち。あたしが来るのはたいてい夜の遅い時刻だったから、静かに電気をつけて見つめ合った。それらは、外国製のお人形だったり、頂きものの絵だったり、インテリアの造花だったりした。あたし以外に誰がこうして見るのかなぁ、と思った。手入れをされていないのが勿体なくて、会うたびに声をかけて、座り方を正したり立てかけ直した。せっかくここに在って、素敵でいるのにね。意思を持って、錫の兵隊みたいに恋をしているかもしれないのに。忘れられるのってざんねんね。そんなふうに話をしたりして、一緒に過ごした。

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