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ⅩLⅧ
その頷いた微笑が、気がつくと夢のように奈緒のそれと重なっていた。白昼夢を見ていたかのような感覚。だけど、実際私はわたしと逢えた。
真っ白で広かった空間が、扉の付いていた壁が壊れてまた広がった。私、月が運び込んだいろいろなものはまだそのままその場にあったけれど、広がったこの場所にはずいぶんものが少なく見えた。わたしのなかには、まだまだ足らない。知らないことも、やっぱり多くて。
涙の止まった目で、瞬きをしてみる。夕の目で、はっきりとした視界で「向こう」を見る。怖いことに変わりはなかった。逃げ出したい気も、消えたわけじゃなかった。でも、そこにはちゃんと居てくれるひとが居るのだ。一緒に居ていいと言ってくれる子が、わたしにも、いる。安心してそばに居られる誰かがいる。見つけてくれる誰かが。いちばんだと言ってくれる子が。




