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夕月  作者: 白州藍樹
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ⅩLⅦ

「弱って……いいの」

 力強く頷く表情に、お互いが入れ替わってしまったような気がする。それとも、本当はずっと、泣いていたのは私の方だったのかもしれない。見えないふりをしたまま、自分が泣いていることも気づかないまま、いたのかもしれない。夕を扉のなかへ押し込めていたのも、外に救いを求めたのも、臆病だったから。いつか傷ついた自分と向き合えなかったから。傷ついた自分を肯定できなかったから。

 ほんの小さなきっかけで。あんなに小さなことで、こんなに弱る自分を自分だなんて思いたくなかった。私はもっと強いと思っていた。ずっと、思い込んでいた。だけど本当は、夕が私で、私が夕なの。信じられないような気もしたけれど、どこかしっくりと、全てが正しく収まるような感覚がした。

 どちらかが夕月(わたし)なのではなくて、どちらもが夕月なの。

 弱いわたしも、強がるわたしも、どちらも。

 ずっと気づけなかった。やっと気づけた。

 私が結べた、出逢いで。


 無駄では、なかった?

 あんなに足掻いてきたこと。気づけず苦しんでいたこと。こんなにかかってしまったけれど、無駄では……きっと、なかった。

 答えるまでもないというふうに、夕が、もうひとりの、わたしが、頷いた。

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