46/50
ⅩLⅥ
「いつもと、逆ね。いつも、あたしの方が泣いていて、あなたはずっと慰めてくれてた」
凛とした方、夕が、月の肩をそっと抱くようにして支える。
「ずっとありがとうね、月。長い間一人きりにしてごめんなさい。あなたは十分頑張ってくれた。あなたが居てくれたから、あたしも此処に居られたの。此処に存在できているの。もう、大丈夫だから」
ね、と言い聞かせるように言う。さながら姉と妹のような姿に、どちらがどちらだか分からなくなる。月は涙を止めて、おそるおそる信じるように顔を上げる。今まで弱いと思ってきた、月(自分)が居なければすぐに消えてしまうと思っていたあの子が、自分が漠然と目指してきた憧れの誰かに見えた。
「私、ちゃんと守れていたかしら」
「もちろん。
もう一人にはしないから。あたしも、頑張るから。だから、大丈夫よ、月ちゃん」
「夕……」
にっこりと向けられた微笑に安心する。
「強くなったのね……?」
思わずそんな言葉が口をつく。そうしたらまた笑われて、
「だって、あたしだってあなただから。あなたのぶんはあたしも同じだけ、強いの。だからあなたも同じだけ、弱っていいのよ」




