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ⅩLⅤ
壁の崩れた広い空間の中で。
鏡合わせになったように同じ容姿の二人が、立っていた。
ひとりは泣きはらしたような赤い目で、それでもどこか凛とした雰囲気のある少女だった。もうひとりは気概は強そうな風貌だけれど実際は脆そうな、儚げな少女だった。ふいに儚げな方が両手を顔に当て、わっと泣き出す。声をもらして、なんとか聞こえるほどの明瞭さで、
「ごめんね。ごめんなさい。夕。私が救ってあげなくちゃいけなかったのに。私は貴方を救うためにここにいるのに。肯定してあげられなかった。助けてあげられなかった。私、私ね……、救いたかったの。それが私の存在意義で、その為に生まれたんだから。なのに、何にも出来なくて。ひとつも、何にも、出来なくて。手を引くことすら出来なくて。向き合う勇気だって、あげられなくて。支えられなくて。私に……私は……貴方を……夕を肯定してあげなくちゃいけなかったのに。気がつかなかった。気づけなかった」
月は、ぼろぼろと大粒の涙を瞳を覆った両手の間から零しながら悲しそうにささやく。
「ごめんなさい……」




