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夕月  作者: 白州藍樹
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ⅩLⅢ

 夕は一角の部屋に逃げ込んでしまっていたから、月にはどうしようもなかった。なにを感じるのか、自分の感情がない不安も、忘れたまま。ただ必死に努力して生きること。それだけで「高原夕月(ゆづき)」の表に出て、存在していたの。ただ、小さな、ブリキの扉だけ、守って。それだけしか拠り所がなくて。守りたいものは、特別なものは、自分といつかは同じだったあの子だけ。

 自分にはない感情に、恋い焦がれるように憧れて。

それでも向き合えなかった。扉はあっても、閉ざされたままで、ノックをするのも憚られた。ましてや鍵の掛かった、泣いている誰かの部屋の扉なんて。それでも外に通じていたのは月の方で、閉め出された、見捨てられる恐怖感から生まれた「私」にしか扉は開きようがなかった。知らない開け方を探しながら、いつまでも見つけられずにいた。

 夕には隔てる一面の壁しか見えなかったの。

 背中合わせのようにお互い、ひとりと一人で居て。

ずっと、そうしていて、長い時間が経って。

だけど、あなたに……奈緒に、出逢ったの。

出逢えたの。

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