ⅩLⅡ
弱いわたしは夕。最初からそこに居た、見捨てられるのを怖がる怠惰なあたし。
強いわたしは月。たったひとりでも、頑張れる、誰かから好かれるための表の私。
簡単な隔たりだった。それがいつしか大きく広く、なって。
あたしはわたしの中で縮こまって、安心できる場所を見つけて、ずっと泣いていられる居場所をつくってうずくまっていた。ずっとずっと、狂ったやさしさみたいな何も進まない場所で。怖くて怖くて、それ以外のことができなかった。表には、月が居る。要らないあたしよりずっと素敵な女の子が。素敵であるはずの、愛されるはずのわたしが。だからもういい。あたしは此処に居ていい。何もしないでいい。何かしたって、どうせあのときみたいな思いをするもの。それなら表なんて行かない。誰にも見えないときにしか。誰とも会わずに済むときにしか。そうしたらきっとすべて上手くいくの。
私は、小さなわたしの私は、なにも知らなくて、ただそこで使命だけを感じていた。頑張ること。努力をすること。向上して、完璧に、綺麗になること。つらいことなんてすべて忘れて、いいことだけを覚えていること。でも月には、なにもなくて。ただそうしなくちゃならない気だけで、存在していたの。自分のことを知らない。なにも感じない。感情は閉じこもった夕のものだから、分け隔てられた「私」には、空虚な場所しかなかった。ただ広いだけの、あの空間。




