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夕月  作者: 白州藍樹
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ⅩⅩⅩ

 電車に揺られながら、色々なことを考えていた。どうして急に泣いてしまったのか、から始まって、派生して色んな考え事をした。今日のこと、ノートに書けるかしら。夕にも伝えておきたくはあったけれど、綴りきれる自信はなかった。答えやまとまった考えも見つからなくて、帰り道ではずっと、ゆらゆらと揺蕩っていた。

 もう大分煌びやかになった、あの空間……ブリキの扉の前に帰ると、猫脚のテーブルの上に見覚えのない小さな鍵がひとつ、置いてあった。ネックレスか何かに付いていたものが落ちてしまったのかと思ったけれど、手に取って確認しても知らない鍵だった。よく見て、思いつくまま鍵穴に差してみることにする。でも、もともとここでは閉められる戸棚もわざわざ封じたりはしていなかったし、なかなか見つからない。試しに差し込んでみようとしてもどうしても大きさが合わなくてできなかった。考えつくところすべてにそうしてみて、やっぱりアクセサリーか、あちらのものを間違えて持ってきてしまったのかと思い始めたとき。

 はっとして、思わず持っていたそれを取り落しそうになる。

 夕の部屋の、鍵?

 もしかして、と扉に近づいてドアノブの辺りを探ってみる。まず空いている手でそっと触れてみると、金属が少しだけ山になっているところがあった。目を凝らして見ると、今までには気づかなかった、縦に細い鍵穴がひっそりと伸びていた。

 持った鍵を一度見つめ直して、強く握りしめる。決心して、握ったままの手で扉を叩く。

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