表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夕月  作者: 白州藍樹
27/50

ⅩⅩⅦ

 気持ちが伝わったように、奈緒は微笑んで、わかった、と言ってくれた。こういうところが好きだった。話せるまで、待っていてあげる。そんなふうに言ってもらえた気がして。

 この子は信じていいんだわ。きっと。

 強く確信して、思う。

 だから、安心して出てきていいのよ。夕。

 薄々気がついていたことだけれど、夕は冷たいこちらが嫌で、きっとあの部屋に逃げ込んでいるのだった。奈緒と出会う前に見た、唯物的でさみしい世界。私は嗜好というものがあまりなくて、こちらを良いとも悪いとも感じてはいなかったけれど、ノートと好みに見知った夕は繊細そうで、この場所で友達とも出逢わずたったひとりで居るのはどれ程苦しかったかしら、と考えた。

「月?」

 呼ばれて顔を上げる。他の誰かに呼ばれるよりもずっと、自分の名前に、存在に、意味があるようにふと、感じて。

 あなたはここに居ていいの、と許されたようで。

 頬を何かあたたかいものが伝った感覚がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ