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ⅩⅩⅤ
書きつけられたその文章にほんの少し期待をしたけれど、夕は変わらず、こちらに来てはくれなかった。扉も微動だにせず、閉じられたまま。
私と奈緒はあれから、何度か一緒に出掛けては買い物をしたりお茶をしたりしていた。一を言ったら十、というくらい、話が合って、話題はいつまでも尽きなかった。奈緒はブランドやお店に詳しくて、聞きたい話も行きたい場所もたくさんあった。会話も側にいるのも楽しい。
私は、自分ではまったく意識していなかったけれど、きっと初めてできた友達のような気がした。この子以外にもこちらで出会うひとは何人かいたけれど、何もわだかまりなく近くに居られるのは奈緒だけだった。他の人たちへ向けるのと同じように適当に繕った言葉を掛けたり、嘘をついたりはしたくない、と、初めて思った。
夕もここにいたらいいのに、と二人で出掛けるたびに思いながら。




