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夕月  作者: 白州藍樹
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ⅩⅩⅣ

 相変わらずピアノは磨かれ続けていて、他にもあの子はアンティーク調なものだったり、可愛いお洋服やアクセサリーだったり、あたしの好きなものを集めてもくれていた。

 もっと自由になっていいのに。

 なんて思っても、書けなかった。伝えられるほど強くなかった。彼女がいなくなってしまったら、あたしは。どうなってしまうのか、想像すらできなかった。

 時計が一度鳴る音がする。

 その音で顔を上げて、ああ、こちらにいるのだと思い出す。

 あの場所では時間は経たないから見慣れなくて、高い壁に掛けられている針が進むのをしばらく見つめる。黒に金色の淵と針の、振り子つきの時計だった。文字盤のところに三人、同じ金色で、羽の生えた子供の天使が描かれている。いちばん細い針が止まることなくその子供たちの上を何度も回る。容赦なく、止まることなく、この時間を刻んでいく。

 やっぱりこちらは怖い。ノートをいつもの場所に置いて、そっと立ち去ることにする。

 ここに長くは、居れない。

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