ⅩⅩⅠ
お気に入りのものだった。私にとっても、たぶん夕にとっても。それに、私たちの好みは既製品でもそれなりに値が張って、他の人と偶然持ち揃うなんてことはめったになかった。小物ならまだしも、バッグが揃うなんて。
見ると、服装も少しずつ似ているようだった。襟元にリボンが結ばれていたり、袖口にレース飾りがあったり。その子は青のバッグに合わせて、淡いラベンダー色のワンピースを着ていた。首元に螺鈿のような光沢のある銀色のリボンを結んでいる。リボンの下にはそれを通す、細いレースの刺繍がある。
「可愛い……」
思わずつぶやくと、その子は照れながら微笑んで、
「ありがとう。
そのブラウスも!バッグとよく合っていて、可愛いわ。どこの?」
私の、白くて肩のところの膨らんだシフォンブラウスを見つめ、小首を傾げた。
そのまま会話を続けていくうちにいつの間にか、私とその子は、ずっと昔からの友人のように打ち解けていた。しばらくして、連絡先を交換しましょう、と言われて、長くおしゃべりをしていたのに初めて名乗り合う。
「高原、月よ。月って呼んで」
「きれいな名前ね。
私は、川崎奈緒っていうの。よろしくね」
「こちらこそ」
お互い名前で呼び合うことを決めて、また会う約束をした。別れ際にふと、話し足りない、と感じて、不思議になる。今までこちらでそんなふうに思ったことはなかった。こちらには思い入れも、漠然と惹かれるものも無かったから。だけど、今日は……。この日は、もしかしたら楽しかったのかもしれない。話の合う誰かと、出逢えて、話せて、楽しいと思えたのかもしれないと思った。




