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ⅩⅦ
嫌、だった。
向き合いたくなかった。だからずっと、見えないふりをしていた。
自分の中に黒い感情があること。癒えない傷があること。
向き合うのは痛いから、そんなことはしたくなかった。
いつまでも弱いままで居たい。誰かに守られていたい。怖い。怖い。怖い。気づきたくない。戦いたくない。
受け入れたくなんか、ない。
そう思って、毎日静かな部屋で泣いていた。この部屋は、誰にも何も言われない。怖いものも辛いこともない。あんなふうに傷つくことも起こらない。全部がやさしい。わたしを知っていてくれるのは彼女だけでいいもの。
わたしより強い、あの子。気丈で、頑張り屋で、弱音なんて吐かない子。何でも完璧で、素敵で、しっかり者の。優柔不断で文句ばかりいうわたしとは違う、生き方のきれいな、理想のあの子。
空想のなかの、理想のわたし。
あの子になりたい。きっと周りのひとたちもみんな、わたし自身よりこういう子を求めてる。
だから、わたしは……わたしは。
でも苦しいのは嫌。あんな思いをするのはもう嫌。変わりたくないよ。苦しいもの。甘えていたい。守られていたい。ずぅっとここに、いたい。
怖いの。拠り所がないの。救われたい。誰かたすけて。
だから、あたしは……。
いつまでもこの場所でうずくまったまま。




