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夕月  作者: 白州藍樹
14/50

ⅩⅣ

 こちらは乱雑で冷たいところだったけれど、私は何故だかよく、呼ばれた。呼ばれてはやってきて何となくそのときに合わせた返事をして済ませた。こちらも、顔を合わせる誰かも、好きでも嫌いでもなかった。興味も湧かなくて行動を求められたら、いちばん無難そうなことを選んだ。例えば、好きなものを訊かれたときとか。見聞きして知った、一般的なものを答えてはやり過ごした。

 私はあまり好みというものがなくて、しいて言うなら夕の好みそうなものを察しては手を伸ばすようなことばかりをしていた。夕の好きそうな本、夕の好きそうな雑貨、夕の好きそうな服。それらを見つけては手に取って、扉の前まで運んでいった。そのたびにノートにも綴って、あの子が出てきてくれるのを待つ日々。

私が夕の好みばかり追うから、こちらの人たちはそれが私の好みなのだと思い始めたようだった。別に構わなかったし、案外その方が都合のいいこともあった。

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