未来の暴走(球技大会(中編))
「三振でした……」
浦田が肩を落として戻ってくる。
運動オンチの未来は、「昔やったことがあるから」という理由だけでソフトボールを選んでいた。
そのかいあってか一点を取る大健闘を見せたものの、ソフトボールの試合は、結局、一回戦で敗退してしまった。
残念ではあったが、竜神の応援に行ける。
未来はジャージ姿のまま校門を出ようとした。
「未来せんぱーい! 竜神先輩の応援に行くんですか? おれも行くから一緒行きましょー」
達樹に呼ばれて足を止める。
「試合、終わったの?」
「二試合目は午後からなんスよ。この時間暇だし、竜神先輩と同級生なんて絶対嫌だから応援に行こうって思って。会えて良かったっス。先輩、携帯持ってないでしょ? 何回も電話しちゃいましたよー」
邪魔になるから、と答えた未来の声に美穂子の声が重なった。
「未来、達樹君! 待って、私も行く!」
「美穂子」「美穂子ちゃん」
駆け寄ってくる美穂子を足を止めて待つ。
「美穂子ちゃんテニスに出場でしたよね? 試合終わったんスか?」
「うん。勝ち進めたから、次は四時間目からの試合になったんだよー」
「勝ったんだ! すごいな、お――私は負けちゃったよ」
人を安心させる美穂子の笑顔に気が緩んで、つい俺と言いそうになってしまい、未来は慌てて言葉を正す。
「竜神先輩、負けてませんよね……?」
「竜神が負けるわけないよ!」
達樹の疑問に未来が食ってかかった。
「普通ならそう思いますよ。竜神先輩つえーし。でもこの学校って割とサドンデスな所あるじゃねーっスか。単位が一点でも足りなかったら容赦なく留年させたりすっし、この大会だってそうですよ。普通のガッコ、バレー部の連中はバレーに出たり出来ないんですよ。なのに容赦なく突っ込んできますからね。バスケの試合見ました? バスケ部が四人も入ってるチームに、トリプルスコアで負けてるチームいましたよ」
「そ、そうなの……?」
言われてみれば、競技の決定の際、部活をしているから禁止だと割り振られることはなかった。
「ちょっと調べたんですけど、剣道も柔道も部活でやってる連中ばっかでしたよ」
「え……!?」
「しかも大会に出た三年だの、インターハイに出た二年だの……結構強かったんですねー。ウチの剣道と柔道」
「この時間だと剣道だよね。百合ちゃんも大丈夫かな……竜神君と同じチームだけど……」
「え!? 百合先輩、剣道に出てるんですか!? 男女混同なのにあぶねーじゃねっスか!」
剣道は男女混同のチームでも許される唯一の競技だ。
逆に言うと、運が悪かったら女子でも男子に交じって試合しなければならないという問題点を抱えた競技でもある。
「うん。百合ちゃん、今回すっごくじゃんけん運が悪くて最終的に剣道になっちゃったの」
「席がえの時はじゃんけんで無双したのに。百合っていろいろと極端すぎるよ……」
「百合先輩、怪我しないといいですけどね……。防具着てても結構いてぇし、痣できたりするし……」
体育館前にある広場の花時計の花壇の横、剣道着姿の女子が一人、竹刀を片手に立っていた。
長い黒髪をポニーテールにして、楚々とした日本人形のような容姿をしていながらもどこかに好戦的な剣士の風格を漂わせている――。
「百合ちゃん! かっこいい! 凄く似合ってるよー!」
美穂子が駆け寄ってはしゃぐ。花時計の横に立っていたのは百合だった。
「未来、美穂子。応援に来てくれたのか」
予想以上に剣道着が似合う百合に、未来もはしゃいで飛びついて行きたかったが耐えて、大人しい女の子の笑顔を作る。
「試合、がんばってね百合」
応援をくれる未来に、百合は、庇護しなければならない小鹿でも見るような目をして笑った。
「あぁ……といっても、剣道は勝ち抜き戦だし、剣道部の矢崎と経験者の竜神がいるからな。試合は二人に任せて、私は副将で楽をさせて貰うつもりだ」
剣道の試合は五人の勝ち抜き戦で、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の順で試合をしていくことになる。
「百合ちゃんが副将ってことは、大将って誰なのかな?」
「美穂子ー未来ー! 私を連れて逃げてー!」
騒がしい声が背後から掛けられた。剣道着を着た岩元だった。
一年二組の剣道の人数編成は男子が三人、女子が二人。大将予定は彼女だ。
岩元は未来と美穂子に飛びついて体育館入り口を指差した。
「見て! あのでっかい人! あんなのと試合しなきゃいけないかもしれないんだよ! あんなプロレスラーみたいな男に面されたら、頭までパカってなるよ! スイカ割りになるよ! やだぁあ怖いよぉー!」
「プロレスラー……?」
未来と美穂子が視線を向ける。
岩元の指差す先に居たのは、体重百キロを軽く越えそうな大男だった。剣道着を着ているので間違いなく出場者だ。
美穂子も未来も青ざめて「いやぁああ」「ひぁああ」と悲鳴を上げる。
「いいい岩元が殺される……!」
「ききき、棄権しよう! 棄権するべきだよ!! 百合ちゃんも逃げよう!」
わちゃわちゃと騒いでる女子三人を見て百合が楽しそうに「実に舐め回したい」と答える。そんなどうしようもない彼女の横に書類が差し出された。
「順番の申請終わったぞ」
竜神だ。竜神もまた剣道着姿だった。
「りゅう」
竜神は剣道の道場に通っている。が、見学には絶対に来るなと念を押されているので、未来が竜神の剣道着姿を見るのはこれが始めてだ。
長身も相まった迫力と袴姿の格好良さに未来ははしゃぎそうになってしまうが、それより早く、
「りゅううう!!」
岩元が泣き声を上げて飛びついて行った。
「りゅう、絶対勝ってよ! 私をあんなプロレスラーと戦わせないで!」
「プロレスラー?」
竜神は振り返って、あぁ、と呟いた。
「富田先輩は剣道部の主将だぞ。素人の女子相手に本気出したりしないから安心しろよ」
「絶対嘘! デカイ男にいい奴なんかいないよ! 全部乱暴者だよ粗忽者だよ手加減なんかできるはずないよ! 女の痛みが判らない奴ばっかなんだよ! スイカ割りはいやぁあ!」
とてつもない暴言である。因みに、身長だけでいえば竜神のほうがプロレスラーよりも高い。
デカイ男にいい奴なんて居ないといいながら、更にデカイ男に助けを求めるなど矛盾もいいところだ。
竜神はデカイだけで敵視するのはやめてほしいと切実に願うが、泣きじゃくる岩元に文句も言えなくて黙って聞き役に徹してると、袖を引かれた。未来だった。
「竜神、柔道はどうだった……!?」
「勝ったよ。四点取れたから後二点で留年回避だ」
「……よかったぁ」
「まじスか! 良かった!」
四点も稼いだのなら、後はもう大丈夫だろうと達樹も未来もほっと息をつく。
未来は竜神に抱き付いて泣き続ける岩元を見て、竜神の袖から手を離した。
(本物の女の子は可愛いなぁ)つくづくとそう感じて。
どれだけ女の子になろうと頑張っても、竜神を頼って泣く岩元のような可愛さは自分には無い。
「ほら、お前は大将だ。オレが駄目でも百合もいるからギャーギャー泣くな」
竜神は泣く岩元の額に書類をべしりと押し付けた。
「私が大将……? よかったー、最後の最後まで試合に出なくていいんだ……!」
「先鋒が矢崎で次鋒がお前か。中堅が私……?」
男子が三人で女子が二人だから、てっきり自分が副将で岩元が大将かと思ったのに、もう一人の男子よりも早い順番に怪訝な顔をしてしまう。
「ご、ごめん、花沢さん! 僕、剣道弱いから副将にさせてもらったんだ」
声に振り返るが誰もいなかった。顔を下げてようやく小柄な男子が視界に入った。
身長156cmのクラスメイト、寺戸だ。
「そ、その、ごめんね、花沢さん」
「あぁ、なるほど、お前が居たんだったな。謝らなくていいぞチワワ。お前が出たところで瞬殺されて私に順番が回って来るのがオチだったろうし、私が中堅の方が時間が省けていい」
「チワ……」
「百合」
寺戸をチワワと呼んだ百合の口を竜神が塞いで体育館に引っ張って行くが遅い。がっつりと寺戸は落ち込んでしまう。
「落ち込む事ないっスよ先輩。チワワって結構気が強くてタフなんですから」
達樹がフォローするが内容が完全にチワワのフォローだ。
馬鹿な話をしていたせいで、練習する暇も無く試合開始の時間になってしまった。
一年二組のチームは一回戦に出場する。相手は三年生のチームだった。
この時期のスポーツ大会は三年生は自由参加となる。そんな中参加してくる生徒は既に進路の決定している生徒ばかりだ。特に、スポーツ推薦枠の生徒が大多数を締める。
対戦相手の三年生を見て、先鋒である剣道部所属の矢崎が青ざめた。
「げ、先鋒、曽根瓦先輩じゃねーか! ごめん、俺、負けるわ」
悪びれもせずへらりと笑う矢崎に、岩元が涙目で「うそおおお!」と叫んだ。
「あんた剣道部でしょ! 勝ってよ! 勝つって約束して!」
「いや、無理。あの人、剣道の推薦で大学行くぐらいの人だしさ。女相手でも打ち込み容赦無いから怪我すんなよ」
「いやああああ」
曽根瓦もまた剣道部所属だ。高校から始めたばかりの初心者相手にも容赦なく打ち込んで、退部者を続出させたという逸話を持っていた。
先程のプロレスラーほどではないが体格も大きい。岩元の1.5倍はありそうだ。
言葉の通り、一分程度も掛からずに矢崎は負けてしまった。
「矢崎のばかーばかー! へたれ、根性無し!! りゅう! あんたは絶対勝ってよね!!」
「頑張るよ」
矢崎を防具の上からぽかぽか殴る岩元に答えて、竜神が立ち上がる。
「竜神、がんばれ!」
未来が竜神に声援を送った。
竜神が頷いて答える。
「竜神強志!」
曽根瓦が竜神の名前を大声で呼んだ。
面識のまるで無い相手にフルネームで呼ばれて竜神が怪訝な表情になる。
「この勝負、俺が勝ったら日向未来を貰う!」
「はぁ?」
曽根瓦の宣告に体育館がざわめいた。隣で試合をしていたハンドボールのギャラリーまで、竹刀を持って立つ二人に注目した。
学校のスポーツ大会の勝敗程度で人間を賭けるわけがない。そもそも竜神が負けたからと言って未来が身を差し出す必要がどこにある。
向かい合う竜神はおろか、達樹も百合も、怯えていた岩元まで白けた顔をした。
「なんスかねーアレ。昔の漫画じゃあるまいし、どっからタイムスリップしてきたんだって感じっすよねー……って、」
呆れたように呟いた達樹だったが、未来を見て絶句してしまった。
未来は完全に怯えて真っ青になってしまっていた。
「竜神先輩――!! 半殺し! 半殺しでお願いします――――!!」
「全殺しだ!! 竜神! 殺せ!! 殺しても試合中の事故だ!!」
怯える未来に達樹と百合まで青ざめて、竜神に物騒な声援を送る。
「ち、ちが、ちがう、ちょっとびっくりしただけだよ! 普通に試合して竜神! がんばって!」
殺せなどと、剣道に相応しくない危険な野次だが、ことの発端は曽根瓦だからか審判に注意されることはなかった。
「始め!」
主審の合図に両方が動く。曽根瓦が踏み込んだ途端に竜神の剣が翻って、パン、と音が響いた。
「え」
審判も、観客も、同時に驚きに息を呑んだ。
曽根瓦の手から竹刀が消えていた。
かしゃ。からから。
竹刀は曽根瓦の手から高くはじき飛ばされ、ギャラリーの床底に当たってカラカラと体育館を転がった。
「ま、巻き上げ!」
「おぉおおすげー! はじめて見た巻上げ! つか竜神先輩の竹刀の切っ先、全然見えなかった……。上手い人がやると目で追えないってマジだったんすね……」
「何今の!? 何で竹刀があんなに飛んだんだ!? 竜神何したんだ!」
しがみ付いてくる未来に、達樹がこう、と竹刀を構えるような格好をして説明した。
「相手の竹刀を絡め取って吹っ飛ばすんですよ。かっけーですよねあの技。おれ、体育でやるたび挑戦するんですけど全然できねっス」
「すっげー、剣道ってかっこよかったんだなー!」
未来に体を揺すられて、「先輩、口調戻ってますよ」と指摘しようかと考えたが、止めた。
昨日、未来から、『女の子らしくなりたいから、協力してください』とメールが来た時は、「ようやくかよ」とメールに向かって一人突っ込みを入れてしまったものの、ここまで極端に変わるとは予想外だった。
女の子らしくするのは良い事だが、性格まで変えては別人のようで違和感がある。さすがに未来らしさまで失って欲しくはない。
竹刀を拾いながら、曽根瓦は屈辱に顔を歪めて竜神を睨みつけた。
竜神は表情一つ動かさずに開始位置に立っている。
今回は油断したが次は無い。
剣を構えて立ち、審判の合図で試合を再開する。
曽根瓦は腕を高く上げ上段から打ち込んだ。
面越しだろうと頭に衝撃が響くぐらいに強烈な一撃になるはずだった。
だが竹刀が竜神の面を叩くより早く、曽根瓦の竹刀に竜神の竹刀が叩き込まれた。
(な……!?)
竜神の攻撃を受けた瞬間、取り落としてしまいそうなほど竹刀が重たくなって驚愕に息を呑む。
(ば――馬鹿力にも程があるだろうが!)
しかも恐ろしく早い。曽根瓦はじんと痺れる指先に力を入れた。瞬間に、「胴!」パンッと胴を打たれた。
え。
「――――――し、勝負有り」
しばし沈黙があり、審判が旗を上げる。
試合再開の合図から一秒で全てが終わってしまって、曽根瓦は剣を構えた状態のまま呆然と立ち尽くすしかなかった。
「ふむ。殺さなかったのは不満だが……プライドを叩き潰しにかかるえぐい手段か。まぁ、良しとしてやろう。巻上げも面返し胴もやられたほうは屈辱感がハンパ無いからな」
「竜神! かっこいいぞー! その調子で勝ってねー!」
岩元がテンション高くはしゃぐ。
竜神が一人で大将まで勝ち抜き、第一回戦は終わった。
挨拶をして、退場。二回戦は二年生同士の試合となるので、竜神達のチームは体育館の端へと移動した。
未来はいやな気配を感じて顔を上げた。
纏わり付くような視線の曽根瓦と目が合い、慌てて顔を逸らす。
慣れない経験に未来の視界がぐらりと回る。女として値踏みする視線で見られるのが怖い。
未来は容貌も美しいがスタイルだって他に類がないほど扇情的だ。
制服姿で道を歩くだけでも足に胸にと視線を受けていたのだけど、傍にはいつも竜神がいて、竜神しか見ていなかったので未来本人が全く気が付いていなかった。
男からの視線に足が竦む。
(もう竜神には頼れないから、これから先、ああいう男も自分で何とかしなきゃいけないんだ。できるかな? 殴られても、ちゃんと、抵抗できるかな……?)
「未来? 行こう」
美穂子に呼ばれて顔を上げる。
竜神と百合が面とタオルを脱いで、こちらに視線を向けていた。
「ごめん、美穂子。具合悪いから保健室行くよ……」
未来は吐き捨てるように言って、出入り口に一歩を踏み出す。
「待って未来。私も行く。竜神君、百合ちゃん、未来が具合悪いんだって。保健室に連れて行ってくるね」
前半を未来に、後半を竜神と百合に向かって美穂子が言った。
「未来、大丈夫なのか?」
竜神と百合と達樹が駆け寄ってくる。
「大丈夫。大したこと無いんだ。ちょっと眩暈するだけ」
それに、ここにいたらまた竜神が絡まれてしまうかもしれない。
恋人が出来た竜神に、これ以上、『女』である自分が迷惑を掛けたくなかった。
「そうか」
竜神はごく自然に未来の手を取って、一緒に体育館を出ようとした。未来は慌てて止めた。
「まだ試合あるでしょ! 留年掛かってるんだからちゃんと試合に専念しなきゃ駄目だよ! 一人で大丈夫だから」
「けど……」
「竜神君、私に任せて。ちゃんと連れて行くから」
竜神はしばし躊躇したが、美穂子に任せて引いた。
「美穂子、未来を頼む」
「うん。さ、行こう未来」
扉を少しだけ開けて、未来と美穂子が体育館から出て行く。
二人の姿が消えてから達樹が竜神を向いた。
「未来先輩になんかしたんっスかぁ? あれじゃ女の子になるってより、別人になっちゃったみたいじゃねーっスか」
「なんもしてねー……と、思う」
「思うって……」
「何もしてなくても、体デカイから動作一つ間違っただけでも怖がられることあるんだよ。お前にはわかんねぇだろうけどな」
「あー。怖がるほうの気持ちならわかります。デケー人って横に立たれただけでもギョッとしちゃいますからね。でも先輩の問題点は体のでかさってより人相の悪さだと思いますよおれ」
達樹は脳みそを通さず思うがまま口に出していたが中々の暴言である。ぶん殴っても罪には当たらないだろうが、剣道着で暴力は振るいたくないので竜神は堪えた。
「ついでに言うと、恋人の理想の身長差って十五センチらしいっすよ。ってことは百合先輩っスね」
「私だ」
「あーもう、話聞くつもりないなら傍来んな」
「珍しく本気で参ってますねー」
「まぁ、ある朝突然、恋人が別人になっていたら混乱するのも判らなくはないぞ。まさかとは思うが、お前、未来に告白を断った事を話してないんじゃなかろうな」
「ちゃんと言ってあるよ」
「じゃ、百合先輩に嫌われないように、女の子らしくするの頑張ってるんじゃねーっスか?」
「なんだと」
達樹の言葉に百合が絶句した。
「ちょっと待て! 今の未来は今の未来で可愛いと思うが、前のバカでアホな受け答えをする未来がいじりがいがあっていいだろうが! 大体、今の未来ではコミュニケーションセクハラが単なる嫌がらせにしかならないし、私の為に無理して変わられても何一つ嬉しくない!!」
「セクハラはコミュニケーションじゃねえよ。犯罪だ」
「何を暢気に構えているんだ! さっさと何とかしてこい!」
百合が竜神の胸倉を掴みあげた。
「出来たらやってるよ」
「ぐ……!」百合が真っ青になって俯く。
「竜神先輩も百合先輩も、お気に入りの子相手だとマジヘタレっすよねぇ」
再び余計な事を言った達樹の腹に、百合の重い一撃が入った。




