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文化祭 (終了後。皆の様子が変)

 文化祭が終わってから、皆が変だ。


「未来の髪って超サラサラ~」

「綺麗だよね。いい匂いもするし。シャンプー何使ってんの? 美容室はどこ?」

「このヘアクリップ可愛いでしょ。未来にあげる。気に入ってるんだから大事にしてよね」

「あ、超似合う! そのクリップ可愛すぎて浦田には似合わなかったけど、未来なら超可愛い」

「ひど。でも私も似合わないの自覚してた。捨てられなかったから丁度よかった」


 「やめて、触るなっていってんだろうひゃひゃひゃ、くすぐったいってばぁあ」


 弁当から帰ってくると同時に五人もの女子に囲まれて椅子に座らされ、髪の毛に指を突っ込まれた。

 遠慮なく触ってきて、三つ編みにされたり結ばれたり、くすぐったくてバタバタしてるのに全然やめてくれない!


「くすぐったくしてるんだもーん」

 ふぅう、と首筋に息を吹き掛けられる。

 ぎゃーこいつら百合より質悪い!


「もうやめろ。これ以上未来に触ったら纏めて襲うぞ」


 噂をすればなんとやら。丁度百合が教室に戻ってきた!

 俺に息を吹き掛けてた浦田の頭を教科書でぽんと叩いて止めてくれる。


「襲うって何? きゃー、百合のエロ女ー」

「襲って襲ってー」


 百合に気が逸れた隙に、立ち上がって逃げ出す。頭にクリップだのゴムだのつけたままだけど。ありがとう百合! でも斉藤、百合に襲ってって言うのはやめとけ。本気で襲ってくるぞ百合は。胸揉まれちゃうぞ。


「あ、未来が逃げちゃった!」

「こら、お前はハムスターか! ちょろちょろ逃げるな! 未来!」


 浦田と徳永に呼ばれるけど、逃げるに決まってるだろ!

 教室から逃げ出して屋上に登る。


 天窓の端に乗り上げようとしたら、

「待て、手、貸すから」

 って竜神が引っ張り上げてくれた。


 手を引っ張られた勢いのまま、デカイ体にぼすりと体当たりする。


「疲れた……」


「どうした? 髪も変だぞ」


 竜神が三つ編みにされた俺の髪を指で摘む。


「女五人がかりで、もてあそばれた……。くすぐったいって言ってるのにやめてくれなかった……」

「災難だったな」

 苦笑する竜神に持たれかかったまま給水塔の影まで歩く。


「文化祭終わってから皆が変なんだ……。「竜神君と付き合ってないの?」って今日一日で十回ぐらい聞かれた……。なんで急にコイバナ? そういうの出来ないよハードル高いよ。冷泉罵る方がマシ」


「……なんて答えたんだ?」


「もちろん、ちゃんと付き合ってないって答えたよ! でも、そしたら今度は「じゃあ浅見君と付き合うの?」って……。浅見にも悪いことした」


 女子の話ってまるで山火事みたいにあっちこっちに飛び火していく。

 俺どころか浅見まで赤くなってテンパって騒いじゃったよ。


「……なぁ、お前、迷惑してない?」


「迷惑?」


「俺と変な噂立てられるの迷惑じゃない?」


「迷惑じゃねーよ」


「ならいいけど……」


 竜神は壁に背を預け、足を伸ばして座った。

 投げ出された足を抱え上げて膝を立てさせ、膝の上に頬を乗せてだらっともたれ掛かる。


「またいちゃついてる……って先輩、髪爆発してますよ?」

 背後から話しかけられる。この声は達樹だ。入り口に背中を向けてたから上がってきたのに気が付かなかった。こいつもしょっちゅうここに来るようになっちゃったなぁ。


「いちゃついてねーよ。もう俺駄目。HP尽きた。瀕死中だからほっといて」

「ニフラム!」

「ホイミをかけてください……。消えたらどうしてくれんだ」


 達樹が俺の後ろに座った。


「変な癖付いちゃうから解きますよ」

「お願いします――――うひゃひゃひゃひゃ」

 ゴムを外して、三つ編みを解こうと達樹の指が通った途端、やっぱりぞわっときて笑ってしまう。竜神の膝に頭を乗せたままだけど。


「何笑ってんですか」

「くすぐったいんだよひゃひゃひゃ」

「もうちょっと可愛く笑ってくださいよー」


 俺の頭に付いてたゴムやクリップは合計で10個を越えていた。こんな一杯つけられてたのか……。


 教室に戻るの億劫……。でも、サボるわけにはいかない。

 二学期になってから、竜神も真面目に授業出るようになっちゃったし。


 予鈴のチャイムが鳴って屋上から降りる。達樹はダッシュで中等部の校舎へと戻っていった。


「……竜神、先に戻ってて」

「どこか行くのか?」

「一緒に教室に入ったら、また、お前と付き合ってるって言われるだろ」

「小学生かよ。過剰反応するから面白がられるんだぞ。気にすんなって」


 俺は気にしないけどさ……。


 後ろのドアから教室に入ったんだけど――――。


「あ、バカップルお帰りー」

 思いっきり言われた!! ふ、ふざけんな誰がバカップルだ! 一瞬で顔を赤くして言い返そうとしたのに、竜神が普通に「おーただいま」って返事して出端を挫かれた。

 お前も反論しろよな! 俺と付き合ってるなんて思われたら、彼女できなくなっちゃうってわかってんのかこいつ!


「バカップルさんお帰りー」

 み、美穂子まで……!


「バカップルじゃねーもん!」

 美穂子の肩をつかんで揺する。

 美穂子はきゃーって笑うばかりで、余裕で俺の頭を撫でてくる。怒ってるんだぞ俺はー!

百合「実に可愛いキャットファイトだな。私も混ざりたい」

竜神「キャットファイトにダダが交じるのは反則だろ」


 ゲシッゲシッ(百合が竜神の足を執拗に蹴る)


竜神「いてぇ、いてえって。悪かった。つい口が滑った」

百合「それで謝ってるつもりか!」

浅見(ダダって何だろ……)携帯で検索してびくっとする。


というやり取りが入れられそうで入れられませんでした。

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